▲長友さんは、愛犬の似顔絵イベントや、生徒を集めた絵画教室などを全国で開催している
▲水彩画やアクリル画、ペン画、水墨画……、様々な表現で長友さんは作品を創造し続けている。『天国のクジラ』などの代表作も多数
▲ときにはカラフルに描いたりモノトーンに描いたり、そのコの個性や、そのコから感じとれるもの全てを絵に昇華していく
最初に描いたのは正面やお座りの姿だったが、「やっぱりあの夜に見た背中を描きたかった」。あの日、モネはただ歩いていたのではない。自らの生きた時間を、一つひとつ確かめるように、静かに、誇らしく歩いていた。その姿は、長友さんの目にはまるで神々しいまでに映った。
モネのことを誰かと話していると、
また会いたくてたまらなくなるよ。
キミと共に過ごした日々に感謝を込めて、
また全ての命に畏敬の念を持ちながら、
これからも僕は犬を描いていくね。
さらに絵の奥には、教会のステンドグラスのような窓を配した。「最初は白く描いた窓でしたが、やがて真っ黒に塗り替えた」と語るその黒は、悲しみではなく、命の奥行きを象徴する色だったのかもしれない。
「この絵を描き終え、人前に出すことで、一つの意味が飛び立っていきました。飼い主とか犬とかを越えて、生き物同士のやりとりに近い感覚だったんです」
▲2025年春に個展作品として描いたモネの似顔絵。「モネはとても人懐っこかったんです」と長友さん
保護団体から迎えたモネ。モネを選んだ理由を聞くと、「亡くなった母の面影と似ていたから」と長友さん。モネの名前の由来は、印象派を代表するフランスの画家・モネから
展示を終えた後、ふと背中しか描けなかったモネの顔が、自然と浮かぶようになったと、自身の不思議な感覚を振り返る。
「こうあってほしいっていう理想じゃなくて、モネの“呼吸”が見えたんです」。その瞬間、長友さんはようやくモネと正面から再会できたのかもしれない。
かつては、亡き犬の似顔絵を依頼されても、「自分だったら到底乗り越えられない」と、悲しみがよぎった。しかし、モネを見送り、この絵を描き切ったことで、今は「自然と寄り添いながら描けるようになった」と長友さんは言う。
長友さんの絵には、たしかに“時間”が宿っている。寄り添い、見送り、また出会う──。その静かな奇跡を、キャンバスにそっと閉じ込めながら。
▲「モネの後ろ姿には、最後の命をふりしぼって歩く尊厳がありました」。モネの別れに向き合い、魂を込めて描いた作品『最後の散歩道』を抱える長友さん
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<構成・文/小出健太郎、写真/小澤義人、協力/Deco's Dog Cafe 田園茶房>
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