■てんを中心に家族が集まり気づけばみんなが笑っている
祖母・民子さんは、てんと暮らすようになって“夕食後、てんにオヤツのボウロをあげる”という新しい日課ができた。
「祖母が投げたボウロをてんがキャッチしたり、転がしたボウロを追いかけたり。ボウロの袋を開ける音を聞くと、てんよりも先に祖母が手を差し出すくらい、毎晩、楽しみにしています」
大人ばかりの暮らしは、ある意味で落ち着いている。そこにてんがきて、家族の会話や笑顔が増えた。大笑いすることもよくあるという。

「乳歯のうちは噛みぐせがひどくて家族全員傷だらけ、椅子も畳もボロボロ。いつの間にか全員のパジャマが盛大に破れていたときには、みんなで大笑いしました。あとは、かじった畳の上に寝そべったり、両足で押さえたりして一生懸命、隠そうとするてんの姿をみたときは、あまりの可愛さに怒るのも忘れて、笑っちゃいました」
仲のいい家族だからこそ、意見がぶつかることもあるが、そんなときもてんがいれば自然と丸く収まる。
「けんかをしていても、てんのことであれば話もするし、笑っちゃうこともあります。そうやって、私たち家族を結び付けてくれています」
てんとの暮らしは、地域とのつながりも広げてくれた。兄弟犬の家族をはじめ、ご近所さんとは犬の話題で会話が弾む。奉納神楽や花田植など、地域の伝統行事にも積極的に参加している。
▲てんは、畑仕事や農作業にお供するのが大好き
「一人とつながると、みんなとつながる。そんな田舎ならではの温かさ、豊かさを実感しています」
安芸高田の厳しい冬も、てんがいれば楽しみな季節に変わる。
「てんは雪が積もった中を散歩するのが大好き。走り回って、雪に顔を突っ込んで、鳥や獣の足跡をたどってと大忙しです。それに付き合うのは大変ですが、喜ぶてんを見ると幸せな気持ちになります」
移ろいゆく季節を感じながら畑仕事をしたり、お茶や保存食をつくったりと、豊かで充実した日々を送る水戸家。互いを思いやり、ともに笑う家族の中心には、いつもてんがいる。
▲雪の中の散歩が大好き。「でも実は寒がり(笑)。 家の中では、薪ストーブの前とこたつの中がてんのお気に入りの場所です」
▲離れて暮らす文恵さんの弟一家が遊びに 来ると水戸家はより賑やかに。「てんは家族 以外には懐きませんが、人が好きなので輪の 中に入ってきて、記念撮影にもちゃっかり参加します」
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<文=成田美友>
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