■ミラーレスは“完成”から“成熟”のフェーズへ

今年は、大手メーカーからサプライズ的な新型カメラの発表こそなかったものの、各社のミラーレス一眼システムのラインナップは改めて充実してきたと感じました。
初心者向けからプロ機までボディの選択肢は広がり、レンズのラインナップもかなり充実しています。各社のレンズは第2世代へと進化し始め、小型軽量化やさらなる高画質化など、着実なブラッシュアップが進んでいる印象です。

ミラーレスの強みでもある設計自由度の高さを活かしながら、システム全体がより洗練されてきている。そんな空気を会場のあちこちで感じました。
性能面の安心感がすでに確立されたことで、いまは“どこまで高性能にするか”という競争よりも、“どんな個性を打ち出すか”という段階へと移りつつあるのかもしれません。会場を歩きながら、そんなことをぼんやり考えていました。
■性能だけじゃない。写真の楽しみ方もより多様に


パナソニックのLUMIX(ルミックス)は“DISCOVER YOUR COLOR”をテーマに掲げ、撮って出しの色を手軽に楽しめる機能を前面に押し出していました。
「趣味カメラの世界」の連載でも紹介した「LUMIX S9」のリアルタイムLUT機能のように、撮影後にパソコンで細かく調整するのではなく、カメラの中で自分の好きな色味を見つけていく。そんなアプローチは、写真をもっと身近なものにしようという提案のようにも感じられます。

一方で印象的だったのが、Canon(キヤノン)のウエストレベルファインダーを備えたコンセプトモデル。上から覗き込むスタイルは、往年の中判フィルムカメラを思わせる構造でした。

デジタルカメラでありながら、撮影姿勢や体験そのものに新しい(あるいは懐かしい)感覚を取り入れるという試みは、単なる性能とは別の方向から、写真の楽しみ方を広げているように感じました。
■盛り上がりを見せる“アナログ的”な側面

会場内で特に目を引いたのが、富士フイルムのチェキをはじめとするインスタントカメラの展示でした。チェキはカメラだけでなく、スマホの写真を印刷できるプリンターのラインナップも豊富です。

キヤノンのブースにもコンパクトプリンターのコーナーが設けられていました。いつもはSNSにアップして終わりになってしまう写真も、実際にプリントとして手にすると、画面越しとは少し違う重みを感じます。
データとして保存するだけではない、“触れられる写真”の価値を改めて実感しました。


さらに、Kodak(コダック)やLOMO(ロモ)といったフィルムカメラやトイカメラのブースも賑わいを見せていました。
最新スペックとは少し違う、偶然性や不完全さを楽しむ文化。そうしたアナログ的な写真体験が、特別な趣味というより、自然な選択肢のひとつとして広がっているようにも感じられます。
■成熟の先に見えてきた、これからの写真体験

デジタルカメラの進化が止まったわけではありません。むしろ性能面での成熟が進んだからこそ、メーカー各社は「写真という文化をどう楽しむか」という方向へ視野を広げ始めているように感じます。
アナログへの単純な回帰というよりも、アナログ的な楽しみ方が自然に共存していく未来。撮る性能が十分に成熟したいま、写真は「どう撮るか」だけでなく、「どう残すか」「どう味わうか」へと重心を移しつつあるのかもしれません。
2026年のCP+は、そんな“次の写真体験”を予感させるイベントでした。
>> CP+
<取材・文/田中利幸>
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