ブームは塗装不可!プラの質感をいかに消すか…【達人のプラモ術<タダノ ラフテレーンクレーン>】

■研磨処理でプラの質感を消す

無塗装でいくとは言ったものの、さすがにそのままではブーム部分だけがプラスチック然としてしまうので、接着が硬化した後、パーツの表面を研磨して質感を整えます。

ブームは個々に組み上げたのち、パーツ表面の研磨は、プラ板に貼り付けたフィニッシングペーパーを使って800番→1000番→最終的はクルマの板金塗装でも使われているコバックスの研磨シート(トレカット)の2000番でエッジを立てつつ磨き上げていきます。その際にはブームの伸縮方向(縦方向)に研磨シートを動かすことでパーツ表面にヘアラインを入れます。作業は難しくはないのですが削りすぎないなように、ブームのエッジがダルにならないようように注意が必要です。

研磨したことでパーツ表面の成型色の黒が白っぽい感じになります。そこで前回も使用したコーティング剤でブームパーツの表面を磨き上げます。そうすることで黒の質感を取り戻せると同時に、へアラインを入れたことでプラスチック感を抑え、塗装したような硬質な質感を再現できます。またコーティング剤を使用したことでパーツ表面の滑りが良くなるで、ブームの伸縮がスムーズに行えるようにもなります。

完成させたブームは、無塗装仕上げながら思っていた以上に良い質感となり、黒部分と黄色のパーツとのコントラストも良い感じになりました。これぞクレーンといった感じです。

▲伸縮可能なブームは6パーツで構成。いちばん先端のパーツN6を除いてL字型のパーツ2個を組み合わせてボックス状に組み上げる構成となっている。パーツの角が接着面となるので、合わせ目消しの作業がやりやすい。パーツはをブーム伸ばした際に荷重がかかるので、接着後しっかり乾燥させる。応力に弱い瞬間接着剤の使用はおすすめしない

▲箱型に組み上げたブーム。右側の爪の部分でロッドアンテナ状の構造になっている各ブームが抜けるのを防いでいる

▲インストの工程18でブームを組んでいくのだが『塗装しないでくださいDo not paint.』の注意書きが!

▲ブームは、成形色の黒を活かしたまま金属的な質感を再現、塗装はしていない。実際の作業では、各ブームパーツを組んだのち、面出しのためフィニッシングペーパーを1ミリのプラ板に両面テープで貼り付けてパーツの表面を研磨。エッジ部分もしっかりと角を立てていく。研磨はフィニッシングペーパーの800番→1000番と目を細かくしていき、今回は仕上げにクルマの板金塗装などで使用されている2000番相当のコバックストレカットグリーンシートを使い研磨し、パーツ表面をヘアライン仕上げとしている。通常のフィニッシングペーパーの2000番でも同様の仕上がりを得ることはできる

▲トレカットP2000を使ったブームの研磨は、パーツに対して縦方向(矢印の方向)に研磨シートを動かすことで均一なヘアラインを入れられる

▲研磨とヘアライン加工が完了したブーム。先端となるパーツN6は突き出しピンの跡が目立つので、丁重に研磨して消しておきたい

▲研磨処理を完了させたのち、ハイコーティングⅡを使いパーツの表面をコーティングすることで、研磨で白くなった素材色の黒がぐっと引き締まり、ヘアライン加工と相まって硬質な質感を得られる。また表面が滑らかになるので、ブームの伸縮が楽に行えるようになる

▲コーティングが完了したら、ブームを組み上げていく。ブームの外装パーツを取り付けた後では分解できなくなるので、ロッド式に差し込んだ状態で伸縮させて、スムーズに可動するかを確認しておく

▲ブームを収納した状態(仮組み)

▲ブームを最大まで延ばした状態(仮組み)

▲ブルーの整形色の外装パーツは下地を塗装したのちボディカラーの黄色で塗装。ブームの一段目は接着面を研磨処理したので下地の白から再塗装した

▲ブームに黄色で塗装し外装パーツを取り付けた状態。指定の青×白も良いが、黄色×黒の建機らしいコントラストが良い感じだ

▲黒の整形色を活かし、へアライン仕上げたとしたブームの質感も良いプラスチックの質感が消えて良い感じなった

▲コバックス(KOVAX)「トレカット グリーンシートP2000」(50枚入り 3410円〜 ※単品販売をしているショップもある) 実車の塗装の際に使用されている研磨シートで、塗装肌の凹凸になじみ凸部のみを滑らか仕上げることが可能。プラモの塗装面、あるいは今回のようなプラスチック表面の研磨にも効果が高い。シートの裏側は粘着剤付きなのでプラ板などに貼り付けて面出し作業ができる。本来は水研ぎで使用するが、今回はパーツ表面にヘアラインを入れるため、あえてカラ研ぎで使用している

▲Mr.ホビー「Mr.ハイコーティングII」(1430円) 前回もクリアパーツの光沢アップに使用した水系光沢コーティング剤。本来は塗装面の艶出しに使用する。特殊レジンコートが滑走膜層を形成するので、滑りが良くなる効果がある。プラスチックやゴムなどを侵さず保護効果もある

 

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