このひと手間が楽しい。「PENTAX 17」と過ごす、フィルムカメラのある日常

■やっぱりフィルムカメラって良い。偶然も失敗も、全部ひっくるめて楽しいんです

基本的に、露出はカメラ任せでパンフォーカスの「AUTO モード」と、露出は自動でフォーカスをゾーンフォーカスから選べる「P(標準)モード」で撮影しました。

▲ フィルム:フジカラー100

久しぶりのフィルム撮影、1枚目は抜けのいい青空をパシャリ。

現像から上がってきた写真を見て、「フィルムって、こんな感じだったなあ」と懐かしくなると同時に、思っていたよりもシャープな写りにびっくりしました。

▲ フィルム:フジカラー100

▲ フィルム:フジカラー100

▲ フィルム:Kodak ColorPlus

▲ フィルム:Kodak ColorPlus

何を撮っても、なんだか絵になってしまう不思議な魅力があります。

露出はオートでカメラ任せですが、思ったよりもいい感じに撮れていました。筆者の腕前のせいで、ゾーンフォーカスは微妙にピントがずれていることも多かったのですが、それもまた味というか、フィルムならではの雰囲気として楽しめます。

▲ フィルム:フジカラー100

▲ フィルム:フジカラー100

▲ フィルム:フジカラー100

現像をお願いした家電量販店では、ハーフサイズのデータ化を「1枚ずつ」にするか、「2枚一緒のまま」にするかを選べました。

個人的には、ハーフカメラの楽しさって、連続する2枚にストーリーを持たせて撮れることだと思うので、今回は2枚一緒にデータ化してもらいました。

▲ フィルム:フジカラー100

▲ フィルム:フジカラー100

▲ フィルム:フジカラー100

似たような構図で違う場所を撮ってみたり、寄ったり引いたり、同じ場所を2枚続けて撮ったり。どう並ぶのかを想像しながらシャッターを切るのは、撮った写真がすぐに確認できないフィルムならではの難しさがあります。

でも、それこそがデジタルカメラにはない、ちょっとしたワクワク感でもあるんですよね。

▲ フィルム:Kodak ColorPlus

▲ フィルム:Kodak ColorPlus

デジタルでもフィルムライクな調整が流行っていますが、本物のフィルムには、やっぱりデジタルにはない独特の味があります。

デジタルで“フィルムっぽさ”を求めるのも分かるけれど、本物はひと味もふた味も違う。そんなことを考えながら、現像した写真をじっくり眺めてしまいました。

そして、何を撮ってもどこか儚げで、ストーリーが生まれそうな写りにじんわり惹かれ、「PENTAX 17」をつい持ち歩きたくなります。

▲ フィルム:フジカラー100

指が写り込んでしまいました。一眼レフではないので、レンズの前に指がかかっていても、ファインダー越しには気づけません。

それと、レンズキャップをしたままでも、ファインダーを覗いていると気がつかないことも(※)。撮影するときは、うっかりミスに気をつけましょう(笑)。

(※)ファインダー横の警告ランプが点滅して教えてくれます

▲ フィルム:フジカラー100

▲ フィルム:フジカラー100

途中から2枚の組み合わせがズレていて、意図した並びになっていないことに、現像してから気がつきました。

でも、こういう偶然のズレも、フィルムならではの味というか、醍醐味なのかもしれません。デジタルになって失敗は減ったけれど、写真の本質って“日常の記録”。それって、うまくいったものだけじゃなく、ちょっとした失敗も含めての思い出なんじゃないかなと思います。

■「PENTAX 17」と歩む日常。フィルムカメラだからこそ見える景色がある

フィルムが1本約1500円、現像とデータ化で1600円。ハーフカメラでも、1枚あたり約43円かかります。

デジカメなら、1日で1000枚以上撮ることもあるので、そう考えるとフィルムのコスパはお世辞にも良いとは言えません。さらに、現像するまでちゃんと撮れているかも分からないとなると、今の言葉でいう「タイパ」も悪いと感じるかもしれません。

でも、あえて今フィルムで写真を撮る意味って、そういうことを超えた何かがある気がします。世の中の流れがどんどん速くなっていくなかで、そこから少し距離を置いて、ゆっくり写真と向き合うことで見えてくるものがあるのかもしれません。

「PENTAX 17」を使って改めて感じたのは、フィルムだからこそ味わえる 「偶然性」 や 「ストーリー性」 。

撮影後すぐに確認できないからこそ、現像までのワクワク感。
フィルムならではのやさしい発色と、ときに思いがけない仕上がり。
2枚を並べたときに生まれる、ちょっとした物語のような面白さ。

フィルムには、時間をかけて楽しむからこそ感じられる「特別な瞬間」があります。「PENTAX 17」を持ち歩いて、日常の記録をもう少しゆっくり味わってみたくなりました。

>> PENTAX「PENTAX 17」

>> 趣味カメラの世界

<取材・文/田中利幸 モデル/飯窪千遥(@chiharuiikubo) 取材協力/リコーイメージング>

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