■ラージフォーマットをもっと身近に。スナップとの好相性を実感

先述の通り、本機はけっこう小ぶりなボディ。小さめのカメラバッグにもすんなり収まるので、街をふらっと歩きながらのスナップ撮影がとてもはかどります。
▲シャッタースピード1/100秒、F11、ISO800、フィルムシミュレーション:クラシッククローム
▲シャッタースピード1/160秒、F8、ISO100、フィルムシミュレーション:クラシックネガ
▲シャッタースピード1/250秒、F10、ISO80、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
作例は、ラージフォーマットと広角レンズの組み合わせを活かした1枚から。
WEB用にリサイズしてはいるんですが、それでも建物の細かいディテールには、1億200万画素の精密さがちゃんと残っていて、ちょっと感心してしまいます。
▲シャッタースピード1/640秒、F5.6、ISO80、フィルムシミュレーション:ベルビア
▲ シャッタースピード1/30秒、F8、ISO80、フィルムシミュレーション:ブリーチバイパス
▲ シャッタースピード1/125秒、F8、ISO80、フィルムシミュレーション:クラシックネガ
35mm(35mm判換算で28mm)の広角レンズは、ゆがみもほとんどなくて、画面の端っこまでシャープです。小型軽量ながら、フルサイズよりもひとまわり大きなセンサーを積んでいる本機は、街の細かいところまでしっかりと描いてくれます。
WEB用に小さくリサイズされた写真でも、その高精細さの片鱗は感じられるのですが…やっぱりこれは、実際に撮ってみてこそわかる“すごさ”があります。
ちょっと個人的な話になりますが、じつは私、スナップで広角レンズを使うのがちょっと苦手でして。「GFX100RF」使い始めたときも、しばらくはこの広い画角に戸惑っていました。
▲ シャッタースピード1/500秒、F5.6、ISO200、フィルムシミュレーション:クラシックネガ
でも、しばらく使っていくうちに気がついたんです。
ラージフォーマットとレンズが持つ圧倒的な描写力で、街並みを“平面的に捉える”というのが、だんだん面白く感じるようになってきました。
隅々までシャープに写るこのレンズは、壁とか看板とか、そういう平らな被写体をすごく濃密に描いてくれます。そしてその感じが、どこか絵画っぽいというか、ちょっと不思議な面白さを生んでくれる気がするんです。
▲ シャッタースピード1/640秒、F8、ISO100、フィルムシミュレーション:プロネガハイ
▲ シャッタースピード1/200秒、F5.6、ISO100、フィルムシミュレーション:クラシッククローム
GFXシリーズらしい高画質なセンサーは、ハイライトからシャドウまでの光のグラデーションを、とてもきれいに表現してくれます。豊かな階調は、平面的な構図の中にもたくさんのディテールを描き出していて、そこに立体感や空気感のようなものがふわっと生まれてきます。
私自身、以前から「GFX50S」を使っていたので、FUJIFILMのラージフォーマットの画質については「もうだいたい分かってるつもり」だったのですが…1億200万画素という最新の描写力には、正直ちょっとびっくりしました。
このコンパクトさに加えて、広角レンズの描写もすばらしいので、ふだんから持ち歩いたり、旅のおともに連れていきたくなるカメラだなと感じました。
■気軽に試せるスローシャッター。「内蔵NDフィルター」のありがたみを感じる
このカメラには、4段分のNDフィルター(減光フィルター)が内蔵されています。
NDフィルターというのは、いわばレンズにつけるサングラスのようなもので、入ってくる光をちょっと暗くしてくれるものです。
これがカメラの中にあらかじめ入っているので、外付けする手間もなく、サッと露出をコントロールできて便利。4段分なので、晴れた昼間に極端なスローシャッターを切るにはちょっと足りないのですが、たとえば絞りを開けて動画を撮りたいときなんかには、ちょうどいい存在です。
▲ シャッタースピード1.0秒、F16、ISO80、フィルムシミュレーション:クラシッククローム
もちろんスチール撮影でも、NDフィルターはしっかり役に立ちます。たとえば、少しずつ日が傾いてきた夕方前。絞りをグッと絞れば、1秒のスローシャッターも切ることができます。
そのくらいの時間になると、横断歩道を渡る人の動きがブレて、ちょっとアーティスティックな雰囲気に。普段の街の風景が、少しだけ特別に見えてくる瞬間です。
▲ シャッタースピード1.0秒、F5.6、ISO160、フィルムシミュレーション:クラシックネガ
こちらも同じく、1秒のスローシャッターで撮ったカットです。さきほどの写真は三脚を使っていましたが、こちらは手持ち。WEB上のサイズではあまり目立たないかもしれませんが、実はちょっと手ブレしています。
「GFX100RF」には手ブレ補正機能がついていません。おそらく、小型軽量を優先した結果なんだろうなぁ…とは思うのですが、これだけの高画素を気軽に楽しむには、やっぱり手ブレ補正はあってほしかったなと思います。
■「GFX100RF」と過ごすうちに、ふと旅に出たくなっている自分に気づいた

「GFX100RF」を手にして街を歩いてみると、いつもの見慣れた風景が、どこか違って見えてきます。軽くてコンパクトなボディに、1億200万画素のラージフォーマットセンサー。そんなすごい解像感を、気軽に持ち運べるというのは、自分にとってまったく新しい体験でした。
アナログっぽい操作感や、メカっぽいデザインも楽しくて、写真を“撮る”という行為そのものがちょっと特別に思えてきます。細部まで丁寧に作られた外装や、ダイヤルを回したときの気持ちよさには、カメラという道具を超えたような、なんとも言えないよろこびがあります。
最初は少し戸惑った広角レンズも、だんだん「この画角で何を切り取ろうか」と考えるのが楽しくなってきました。さらにデジタルテレコン機能もあって、撮影の幅はぐっと広がります(このあたりはまた次回、詳しくご紹介する予定です)。
豊かな階調と、細やかなディテール。そこには、街の空気ごと写し取ってくれるような感覚さえあります。どこへでも気軽に持ち出せて、撮るたびにちょっとした発見がある「GFX100RF」。このカメラを持っていると、なんだかふらっと旅に出たくなってきます。そんな、不思議な魅力をもった1台です。
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸 取材協力/富士フイルムイメージングシステムズ>
【関連記事】
◆ポケットに収まる355g。FUJIFILMの最新ミラーレス「X-M5」が最強のスナップシューターである理由
◆“5000万画素”の圧倒的描写力に脱帽。ハッセルブラッド×OPPOが切り開くスマホカメラの最前線
◆このひと手間が愛おしい。「PENTAX 17」と過ごす、フィルムカメラのある日常
- 1
- 2


































