オートモビルカウンシル2025で見つけた1980〜90年代を彩った名車たち

■三菱 ディアマンテ(初代/1990〜1994年)|時代の変化の中で登場したプレミアムセダン

1989年4月に改正された税制は、自動車市場にも多大な影響を与えました。この改正では購入時にかかる物品税が廃止され、新たに消費税が導入されたのです。税制改正前、乗用車は5ナンバーの小型乗用車と3ナンバーの普通乗用車で物品税の税率が異なっており、多くの人が小型車を選んでいました。

しかし物品税が廃止されたことでボディサイズが税額に影響を与えることがなくなります。そんな中、いち早く全車3ナンバーサイズで登場したのがディアマンテでした。

3ナンバーだからこそ実現できたふくよかなフォルムは、ドイツのプレミアムブランドのセダンのような雰囲気でした。室内も3ナンバーサイズらしいゆとりある空間になり、快適なクルージングが楽しめるようになったのです。

搭載エンジンはすべてV6で、2L、2.5L、3Lの3タイプが用意されました。

高嶺の花だった3ナンバー車が一般的なものになっていく。その口火を切ったモデルに憧れた人も多かったはずです。

 

■日産 マーチ(初代/1982〜1992年)|若者に走る楽しさを教えてくれたリッターカー

デートカーやハイソカー、大排気量のスポーツカーなど、当時の若者を虜にするモデルがたくさん登場した80年代。しかし現実的にはそれらは高価で、免許を取得したばかりの20歳前後の若者が気軽に手に入れられるものではありません。

だから軽自動車やコンパクトカーのスポーツグレードなどに乗りながら、将来はラグジュアリーカーやスポーツカーに乗ることを夢見ていました。

1982年に登場した初代マーチも、そんな需要を満たすモデルとして大ヒットしました。デザインを担当したのは、初代フォルクスワーゲン ゴルフや初代 フィアット パンダなど実用性に優れデザインも秀逸なハッチバックを多数世に送り出したジョルジェット・ジウジアーロ氏です。

マーチにはファミリーカー需要を満たすグレードだけでなく、マーチターボやマーチスーパーターボといったスポーツモデル、競技仕様車のマーチRも用意されていました。マーチのCMキャラクターに抜擢された近藤真彦さんは1984年にマーチで富士フレッシュマンレースに参戦し、レースキャリアをスタートさせました。

 

■フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ(初代/1979〜1992年)|オシャレな女子大生御用達のハッチバック

ジョルジェット・ジウジアーロ氏が生み出したゴルフは、1974年のデビュー以来「ハッチバックのベンチマーク」であり続けています。カブリオレがラインナップに加わったのは1979年。1983年にハッチバックが2代目へとフルモデルチェンジした後も継続生産されていました。

当時はスポーツグレードのGTIに走り好きが乗る一方で、育ちのいい女子大生がゴルフカブリオレや赤いハッチバックのゴルフ、アウディ 80などに乗っていたイメージがあります。

初代カブリオレのモデル末期、限定モデルとしてクラシックラインが登場。これが中古車市場で人気に火がつき、相場がなかなか下がらないモデルの代表となりました。ゴルフ2とは異なるカブリオのシルエットも、適度なユルさがあって可愛いですね。

 

■アルファロメオ スパイダー(初代/1966〜1993年)|ロードスターとは一味違う洒落たオープンモデル

現在、60歳代後半から70歳代の方だと、このクルマを見て映画『卒業』のダスティン・ホフマンを思い出す人も多いはず。27年にわたり生産されたスパイダーは何度か大規模なマイナーチェンジが施されていて、シリーズ1〜シリーズ4と分類されることもあります。

『卒業』で使われたスパイダーはボートテールのシリーズ1。そして今回オートモビルカウンシルで発見したのは、シリーズ4のスパイダー ヴェローチェ ファイナルエディションになります。

1989年にマツダがユーノスロードスターを発売して世界的な大ヒットモデルになると、2シーターのライトウェイトオープンモデルに注目が集まります。

スパイダーにはクルマ好きだけでなく、当時何かと注目を集めていた“ギョーカイ人”も乗っていました(筆者がよく飲んでいた某女性週刊誌の芸能記者もこれで張り込みをしていました)。シリーズ4のスパイダーにはAT仕様も用意されたので、選びやすかったのだと思います。

一時期は100万円台の中古車が数多く出回っていましたが、現在は流通台数が激減し、中古車相場も大きく上昇。取材したクルマには478万円のプライスタグがつけられていました。

>> オートモビルカウンシル

<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

 

 

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