■日本メーカーのトップ、レグザは画質・録画・生成AIの付加価値で勝負
迎え撃つ国内メーカーの代表格が、昨年の国内薄型テレビ市場でトップシェアを誇るTVS REGZA社です。
▲国内ブランドとしてシェアNo.1を走るTVS REGZA社のレグザ
2025年モデルは、miniLEDバックライト搭載モデルとしてハイエンドの「Z970Rシリーズ」とスタンダードモデルの「Z770Rシリーズ」を投入。「Z970R」は前世代比で輝度が1.2倍、Mini-LEDの分割数も1.3倍と輝度性能を進化させただけでなく、レグザ人気の理由である最高峰の高画質エンジン「レグザエンジンZRα」を搭載。なお、TVS REGZA社は有機ELモデルの「X9900Rシリーズ」も発売しています。
▲miniLED液晶ハイエンドの「Z970Rシリーズ」(右)と有機ELモデルの「X9900Rシリーズ」(左)
▲スタンダード機の「Z770Rシリーズ」もMiniLEDバックライト採用
そしてレグザならではの差別化として、地デジ番組を最大6チャンネルまるごと録画できる「タイムシフトマシン」、Googleの生成AI「Gemini」と連携した音声操作機能「レグザAIボイスナビゲーター」も搭載。
▲AIによりコンテンツ検索を進化させる「レグザAIボイスナビゲーター」も搭載
miniLED液晶テレビというデバイス勝負のみならず、実際の見た目上の画質や作り込みの総合力で差別化していくところが日本メーカーらしい。
販売台数としてのヒットモデルはやはりスタンダードな「Z770Rシリーズ」ですが、高くても良いものを求める人はぜひ「Z970Rシリーズ」に注目してほしいところです。
■2025年はminiLED高輝度化とHVAパネルで勝負するTCLが大躍進!?
2025年のテレビ市場で、最も大きなインパクトを与えそうなブランドがTCLです。世界市場で培った技術力と生産力を背景に、まさに「常識破り」とも言えるスペックの製品群を日本市場にも投入してきました。
▲miniLED液晶テレビを国内で多数投入したTCL
98V型専用のフラッグシップモデル「X11K」は、ピーク輝度6500nitsという規格外の高輝度。また現実的に購入検討対象となるプレミアムモデルの「C8Kシリーズ」はピーク輝度5000nits、スタンダードモデルの「C7Kシリーズ」はピーク輝度3000nits、エントリーモデルの「C6Kシリーズ」ですらピーク輝度2000nits(98V型で512ゾーン)と、10万円以下を見込まれる機種までMiniLED液晶テレビとしての高輝度で全面勝負。
▲98V型の1サイズながら6500nitsという超高輝度を実現したX11K
▲実質的なハイエンドモデルにあたるC8Kでもピーク輝度5000nitsとハイスペック
上位モデル(X11K、C8K、C7K)には、TCLグループの液晶技術である「HVAパネル」が採用されているのも特筆すべきポイント。HVA液晶パネルはVAパネルのコントラストと広視野角を両立。液晶テレビの画質進化としても最注目です。さらに、サウンド面ではデンマークの高級オーディオブランド「Bang & Olufsen」と共同開発したスピーカーシステムを搭載するなど全方位に進化してきました。
ヒットの予感のするモデルは、やはりスタンダードモデルとして規格外に高輝度な「C7Kシリーズ」か、MiniLED最安値を見込まれる「C6Kシリーズ」。圧倒的な輝度性能にブランド知名度が追いついてくるかがポイントです。
▲スタンダードモデルのC7KとエントリーのC6Kでも他社上位クラスの性能
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始まったばかりの2025年のテレビ商戦ですが、最高画質に挑むMiniLED液晶テレビから10万円以下のコスパ重視モデルまで、MiniLED液晶テレビですべてをカバーできるほどにラインナップが充実してきています。
2025年のテレビ市場はこの後、日本メーカーのソニー、パナソニック、シャープ、そしてLGによる有機ELテレビでも新機種の登場が予想されます。
全価格帯をMiniLED液晶テレビが独占していくのか、映画視聴などハイエンドテレビの黒の締まりと趣味性の高さから有機EL人気も持ちこたえるのか、テレビの技術トレンドとしても注目の1年となりそうです。
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年よりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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