■どんなレンズと付き合うか。Lマウントで広がる「BF」の楽しみ方

本モデルはLマウントを採用していて、レンズの選択肢が豊富なのも魅力のひとつ。今回は、同じSigmaの「Iシリーズ」を組み合わせて使ってみましたが、やっぱり見た目の統一感もあって、このセットがいちばんしっくりきます。
撮影は絞り優先オートに近い設定で行っていたのですが、レンズ側に絞りリングが付いているおかげで操作もスムーズ。手になじむ感覚も心地よく、撮っていて楽しい組み合わせだなと感じました。

ただ、今回借りたレンズの中では比較的小ぶりな「24mm F3.5 DG」(価格未定)ですら、やはりフルサイズ対応ということもあって、それなりのサイズ感はあります。
ふだん仕事で大きめのレンズを使い慣れている自分からすると「全然コンパクトじゃん」と思うのですが、「BF」のボディがあまりに小さいので、どうしてもレンズだけちょっと大きく見えてしまう気はしました。

本モデルとiシリーズレンズの一体感は本当に見事で、「このカメラにはやっぱりこのレンズだよなぁ」と思わせてくれる組み合わせです。
とはいえ、フルサイズ対応のレンズだけあって、それなりに存在感があるのも事実。見た目のバランスとしては、ややレンズ側が主張強めに感じられるかもしれません。

それでも、フードを外してしまえば、見た目は意外とコンパクトに収まります。さらに、LマウントはSigmaだけでなく、パナソニックやライカといった他メーカーのレンズも使えるので、選択肢の幅が広いのも魅力。
小ぶりなオールドレンズを合わせてみるなど、いろいろ試してみたくなる楽しさがあります。
■見た目だけじゃ語れない。「Sigma BF」の奥深さと魅力

今回のカメラは、いわゆる“カメラっぽさ”をぐっとそぎ落として、ちょっと不思議な魅力を持った1台です。
手にしたときのひんやりした金属の質感とか、意外とずっしりくる重みとか、「あ、これは何かが違うぞ」っていう感じがするんです。でも、見た目のミニマルさとは裏腹に、ちゃんとカメラとしての性能もバッチリで、そのギャップがなんとも面白い。
私も最初はちょっと戸惑いましたが、使っていくうちに「このシンプルさ、けっこういいかも」と思えてきて。慣れてくると、むしろ余計なものがないぶん、写真を撮ることにだけ集中できるというか。なんだか不思議と“ちょうどいい”感覚に落ち着いてくるんですよね。
さて、このあとに載せているのは、実際に「BF」で撮ったスナップとポートレートの写真たち。見た目はストイックだけど、中身はしっかり“写せるカメラ”なんだなあと感じてもらえたらうれしいです。
▲ Sigma BF+35mm F2 DG、シャッタースピード1/2000秒、F5.6、ISO100、カラーモード:POWDER BLUE
スカッと爽やかな青空のグラデーション、木々の細かいディテールなど、フルサイズセンサーらしい緻密な描写です。
カラーモードのPOWDER BLUEは少し浅めでややハイキーなトーンで青空との相性が良いと感じました。
▲ Sigma BF+50mm F2 DG、シャッタースピード1/800秒、F2、ISO800、カラーモード:WARM GOLD
フルサイズセンサーならではの自然なボケ感がしっかり出ています。スマホの画像処理とはまた違う、やわらかくて奥行きのあるボケは、一眼カメラならではの魅力ですね。
感度を少し上げてもノイズが目立たないので、手ブレ補正がないこのカメラでも、シャッタースピードを稼ぎやすくて安心です。
▲ Sigma BF+50mm F2 DG、シャッタースピード1/640秒、F4.0、ISO125、カラーモード:MONOCHROME
開け放たれたシャッターの前に、きれいに並べられたスニーカー。夕方の光と影が直線的に差し込んでいて、なんとなく気になって撮った1枚です。
こういうちょっとした瞬間も、軽くて起動が早いこのカメラなら、バッグからサッと取り出して、すぐにシャッターが切れます。
▲ Sigma BF+50mm F2 DG、シャッタースピード1/125秒、F2、ISO3200、カラーモード:FOV CLASSIC YELLOW
大型センサーらしい、ふんわりとしたボケと細かなディテールが印象的な1枚。AFの人物検出もとても優秀で、しっかりと瞳にピントを合わせてくれました。
室内で少し暗めの環境でしたが、ISO3200でもノイズは気にならず、センサーの力を改めて実感しました。

スマホではちょっと物足りない。でも、いかにも“本格的”なカメラはなんだか気後れしてしまう。そんな人にこそ、一度このカメラを手に取ってみてほしいです。
徹底的にそぎ落とされたミニマルなつくりは、一見するととっつきにくいかもしれません。でも、そのシンプルさの中にこそ、写真を撮るたのしさの“はじまり”が詰まっている気がしました。
趣味としての写真に、静かに、でもしっかりと寄り添ってくれる。そんなカメラです。
>> 「Sigma BF」
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸 モデル/田淵瑚都(@tako_ism) 取材協力/Sigma>
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