■デザイナーに聞く、その開発経緯とは
今回は、meanswhileデザイナーの藤崎尚大さんに、ブランドのなりたち、そしてこの「UltraWeave Minimal Body Bag」の開発経緯、そして特徴について伺ってみました。
▲meanswhileのデザイナーの藤崎尚大さん
─meanswhileは生地やパーツなど、かなりのにこだりを持っているというブランドイメージですが、まずは立ち上げた経緯を教えてください。
藤崎尚大さん(以下、藤崎さん) 流行を作って、常に新しいモノを作りつづけるという、現状のファッション業界のビジネスのやり方に疑問を持ったのがキッカケです。洋服って大きく分けると衣装の側面と道具としての側面があると考えていまして、衣装の側面を強調するから、前年にカッコイイと思ったものが、次の年にはもうダサい感じになってしまう。そういう賞味期限ができる売り方になっているんですよね。だから、その面を排除して、道具としてブランドをはじめようというのがmeanswhileの始まりです。
─生地やパーツなどにとてもこだわられていますが、もともと生地やパーツに関わるようなお仕事をされていたのでしょうか。
藤崎さん もともとアウトドアが好きで、アウトドアブランドから出てくる新しい素材を常にチェックしているんです。そして、その素材が日常にも活かせる場面が多いというのが実感でありまして…それをファッションとして提案していくというコトで、さまざまな素材を使っています。
─今回のこの「UltraWeave Minimal Body Bag」についてですが、結構繰り返し再販されているというコトで、いわゆるヒットアイテムということになると思います。これを作ろうと思った経緯、そしてこの形にしようと思ったキッカケはなんですか。
藤崎さん 毎日着用できて、あまり目立たないけれど、きちんとモノが入るというバッグの形状を考えたときに、腰部分に付けられるものが一番目立たず、そして体にもフィットしていいのでは、というところがキッカケです。たとえば、夏はアウターを着ないから、ポケットが少なくなりますよね。そういう時にモノをしっかりと入れられるようにつくったのが「Minimal Body Bag」です。
─現状、High Power Mesh(ハイパワーメッシュ)、Dyneema Composite Fabric(ダイニーマコンポジットファブリック)、そしてUltraWeave(ウルトラウィーブ)の3種類の生地でリリースされていますが、今回はこのUltraWeaveという素材の特徴についておしえてください。
藤崎さん このUltraWeaveという素材は軽量で耐久性があり、高いストレッチ性とキックバック力も持ち合わせていて、もともとの素材の伸縮性を活かして蛇腹状にしたことで、ミニマムだけれど見た目以上に拡張して収納力を確保できるんですよ。
─その"蛇腹状にする"というアイディアはどのように生まれたのでしょうか。
藤崎さん 実は、一番最初にそこから考えはじめました。モノの入れ方によって拡張できるつくりにしたかったという点で、伸縮性のない素材でも収納力が確保できて、しかもさまざまな素材を当て込める。そういう考えの部分からこの蛇腹状のアイディアに至りました。
▲蛇腹状に折り畳むアイディアは最初に考えたそう
─通常のバッグは、最初から形が出来上がっているものが多いかとおもいます。
藤崎さん シンプルにベルトとしても使用できるという考え方があったから蛇腹状というアイディアが生まれたのですが、ウエストバッグとしての収納力も欲しいという部分もありました。もともとウエストバッグのあの舟型みたいな形が好きなんですよね。だから、モノを収納したときに舟型になるようしています。
─用途としては、腰にベルト的に使用したり、あとは肩に斜め掛けしたりとかがメインになると思いますが、機能的な特徴はありますか?
藤崎さん このダンパーという本体横に設置されている波型の樹脂のおかげで、密着していても伸縮して体をあまり締めつけずに、多少の動きを持たせられるという機能を持たせてくれているんです。たとえば腰での装着時、しゃがんだときって体に厚みができるのですが、そういう体の動きにも対応してくれるんです。あとは、きちんとロックされるけれど、Dカンを引っ張ることですぐに緩む機能とか。このふたつの機能をつけたことで、さまざまな使い方の可能性が生まれました。そういった感じで、いろんな付け方ができるように想定してパーツを選んでいるんです。
▲コチラがダンパーというパーツ、多少の伸縮性をもつ樹脂だとか
─いちばんの用途としては斜め掛けが多そうですね。
藤崎さん 僕自身は、今日もつけていますが、ウエストバッグ的な使い方が好きです。しかもシャツがかぶるのでバッグが見えないという点もいいかと。ランニングするのが好きなのですが、最近は空き時間に「いま走ろう!」という感じで、この服のまま走ることが多いんですね。そういうときにこのボディバッグがあれば財布やスマホなどの一式を収納できるし、走っているときもブレづらい。ちなみにそれって、ランニング好きの先輩に「スケーターってスケートするときに着替えないから、ランニングもそれでいいじゃない」と言われて、「たしかに!」って。その考え方にもマッチするんですよね。
▲藤崎さんはウエストバッグ的な使用で毎日つけているそう
─走るとどうしても汗の問題が生じるかと思うのですが、その辺りの対策みたいなものはありますか?
藤崎さん これは防水ではないので汗を吸ってしまいますが、丸洗いが可能なので、汚れた場合はそのまま洗っていただければ問題ないです。
─丸洗い可能はいいですね!装着した時に、ジップ部分が前面になるようにしたのは意図的なデザインですか?
藤崎さん 装着したときにジップが真上に来ると開けづらいので、前面にくるようにデザインしました。
─本体部に装備されているDリングは、どんな使い方を想定されたのですか?
藤崎さん いろいろな使い方はあるとおもいますが、パンツによってはベルトループのないイージーパンツとかもありますよね。そういう時にカギを引っ掛けて使用しています。
─ちなみに、そういったパーツ自体はどのようにセレクトされているのでしょうか。
藤崎さん パーツには結構こだわっていまして、海外のメーカーから直接買い付けて仕入れているんです。よく買うのは、韓国とかドイツ、アメリカですね。
─このダンパー部分、この機能を使用しているブランドさんをあまり見たことがないかもです。
藤崎さん たしかにあまり見たことはないですね。腰はかがんだときをはじめ、食事の前後や呼吸によっても前後しますから、このダンパーを使用することで、締めつけすぎずにフィットしてくれるというパーツなんです。
─これからも再販はつづく予定なのでしょうか。
藤崎さん 定番として作り続けているアイテムですので、再販していく予定です。





























