■LCCはどう利用するのがお得なのか
ーーではLCCを使う最大のメリットってなんでしょうか。
鳥海 やはり料金が安いことと、ヨーロッパなんかでは同じ区間で1日5便とか便数があるのでスケジュール的にLCCのほうがいい場合もある。今、ヨーロッパはライアンエアー、イージージェットなどたくさんLCCがあるので。

中山 イージージェットといえば昔の話なんですが、荷物のサイズは決まってたのに重さの制限はなかったんです。残念ながら今は違いますが。
鳥海 でもそれって理にかなっていて、上の荷棚に入るか入らないかですからね。重いものが入っていようが、軽かろうが。
中山 我々はPCとかカメラとか小さいけれど重いモノが多かったから(笑)。
ーーあとは片道チケットが取りやすいというのもLCCのメリットだと聞いたんですが。
鳥海 それは大きいですね。アメリカの航空会社は、米国内でも日本発でも片道を取りやすくはなっていますが、日系のANAやJALは片道チケットは往復チケットと比べて高くなってしまう。だから例えば香港に行くときに、行きはマイルの特典航空券が取れたからFSCに乗って、帰りはLCCの香港エクスプレスとかは私もしますよ。
中山 行き帰り別で買えるというのもLCCのメリットですね。往復で取るではなく。
鳥海 それで成功したのがZIPAIR。アメリカ・カナダ行きの片道がリーズナブルに買える。だから留学生がすごく喜んだ。帰る便がかなり先だし予定もわからないから。

ーー機材(飛行機)に違いはありますか?
鳥海 大型機も増えてきましたがが、やはり座席は狭いですね。

中山 はい(笑)。でもね、これもヨーロッパ系に多いんですが、座席が倒れないんで圧迫感はないんですよね。前が倒れてこないから。それにLCCの路線って多くが2~3時間程度だから、さほど気にならない。ただ、以前乗ったあれはキツかったな~。某LCCのドバイーマニラ便。座席指定しなかったら真ん中の席で。しかも椅子が倒れない。
ーーそれはしんどい。やっぱり5~6時間とかになると、座席がリクライニングしないのはキツそうです。長距離LCCといえば、ソウル仁川空港からヨーロッパに飛ばしている韓国のLCCがありますよね。
鳥海 ティーウェイ航空(2026年上半期からトリニティ航空に社名変更)ですね。アシアナ航空が大韓航空に吸収合併されることに伴い、空港の発着枠が空くんですが、そこで手を挙げたのがティーウェイなんです。新しいビジネスモデルで新生・大韓航空に対抗しようという流れです。このようなカタチでLCCがいきなりFSCやそれに準じた航空会社になることもあります。カナダのウエストジェットやヴァージン・オーストラリアなんかもそう。このようなことがあるため、一概に「こうだからLCCです」と言えないというのが現状なんです。
▲MWCの取材で毎年バルセロナに行っているという中山さん
中山 今は日本に飛んできていないですが、ベトナムのバンブー・エアウェイズはLCCなみにめっちゃ安くて座席指定も有料だったけど、機内食出たりしてましたし。
鳥海 韓国のエアプサンも以前はビール飲めたりしましたよね。
ーーLCCとFSCの境目がなくなってきているという感じなんですね。ただ、国内海外問わず旅行の時にLCCを使うのは、やはりお得であることは間違いないでしょうか。
鳥海 これは時と場合によります。LCCのほうが金額高くなることもありますから。
ーーたしかに。直前で残席数わずかとかだとかなり高くなったりします。となると、LCCはどう利用すべきか。
鳥海 国内線で言うと、実はコロナ禍後にANAとJALがタイムセールというのを1カ月に1回ぐらい行うようになりました。だから、あらかじめ休みが取れるなど先の予定が組みやすい人はFSCを早割で買っちゃうのがいいかもしれません。8000円とか1万円で買えちゃいますから。じゃあLCCはというと、これは私がかねがね言っていることなんですが、高速バスがライバルなんですよ。2000円とか3000円とかの価格帯です。
中山 突発的にものすごく安いセールがあったりするので。そういうのを狙って買うと、激安ですよ。
ーーでは海外路線はどうでしょうか。
鳥海 それはもうLCCです、お得に行きたいなら。東南アジアはとくにです。FSCはタイのバンコクが往復15万円とか20万円とか高くなりすぎちゃったので。LCCだと7~8万円とか、もっと安かったりもします。
(編集部注:ちなみに安いチケットというと中国系の航空会社で中国乗り継ぎという手もありますが、今回は考慮しない前提で話をしています)
中山 韓国へは韓国系のLCCがオススメです。韓国のLCCって、日本路線は基本的にほとんどの会社が機内持ち込み10kgまでOKなんですよ。ちなみに日系LCCは7kgです。
ーーでは、お得なチケットを探すコツを教えてください。
鳥海 私はスカイスキャナーでひたすら探す、ですね。
中山 僕はスカイスキャナーとGoogleフライトをよく使います。例えばスカイスキャナーで、<日本ー目的地>で検索するんです。そうすると日本各地から目的地までの価格が出てきます。安い出発地があれば、そこまではマイルで国内線のチケットを取ったり、関空からが安ければ東京から大阪まではバスで行ったりしてもいいわけです(笑)。スケジュールに余裕があればそういうこともできますよ。あとANAを使う場合は、直前に発表される「今週のトクたびマイル(※2)」まで待つこともありますね。
※2 ANA国内線を通常の設定マイル数より少ないマイル数で特典航空券を取れるサービス。毎週火曜日に対象路線が発表され、翌日水曜日から翌週火曜日までのチケットが対象となる
* * *
LCC=安い、FSC=サービスが手厚い、というイメージは世界的には崩れてきているというのが現状のようです。ただ、例えばANAやJALのマイルを貯めているという人や、遅延や欠航になったときが心配だという人は、FSCを選ぶのが無難なのかもしれません。
とはいえ、工夫すれば激安で海外旅行にだって行けてしまうのがLCCの魅力のひとつ。短い日程で荷物を減らせば韓国や台湾、香港あたりなら国内旅行よりも安く行けてしまう場合もあります。それに近距離ならば、少々座席が狭くてもそこまで苦ではありません。
国内線はFSCでも安く航空券を入手する方法はありますが、国際線となるとやはりLCCに分があります。だいたいのチケット相場を知るためにも、一度スカイスキャナーやGoogleフライトといった航空券検索サービスで調べてみるのもアリですよ。
<取材・文/円道秀和(GoodsPress Web)>

円道秀和|&GP編集部所属。担当ジャンルはITデジタル、オーディオビジュアル、ホビー他。好きなものはコーヒー、旅行、キャンプ、乗り物全般、カレー、ラーメン、アジアのローカル料理、小さいギア。好きが高じてSCAJコーヒーマイスターの資格を取得
【関連記事】
◆LCCでお得に移動!台湾&ベトナムでローカルメシ満喫のITワーケーション4泊5日10万円旅
◆旅行ライターも実践!お得に国内旅行できる4つのコツ
◆旅のエキスパートたちが選ぶイチオシスーツケース5選【&GP 旅モノグランプリ2024】
- 1
- 2



























