今なお世界中で絶大な支持を得ているイタリア・ピアジオ社のベスパ。特に1996年以前の、いわゆる「鉄スクーター」モデルは人気が衰えず、年々減少しつつある個体数とのバランスで、モデルによっては「高級四輪外車の新車が買える」ほどのプレミアム価格で取り引きされることさえあります。
そんな中、ベスパの「鉄スクーター」モデルで、しかも35年以上前のキープストック(新車)が横浜で販売されていると聞きつけました。
▲どこからどう見ても、クラシックベスパなのですが…
しかし、実はこの鉄スクーター、正確にはピアジオ社のオリジナルモデルではなく、インド・バジャジ社のライセンスモデルの「チェタック125」。
どこからどう見てもベスパそのものですが、いずれにしてもその時代の鉄スクーターが新車で買えることのほうが衝撃です。さっそく、このバジャジ社の鉄スクーターを販売しているという、横浜にあるモト・ビート シフトアップへと試乗に行ってきました。
■世界中の国々でライセンス生産されたベスパの「インド版」
かつてのベスパは世界中の国々でライセンス生産された歴史があり、実用車として「スーパーカブ以上に、有名なバイクとして知られるエリア」もあるほどだと言います。インド、台湾、タイ、ベトナムなどでのライセンス生産モデルが有名ですが、この「インドベスパ」こそが、バジャジのライセンスモデルというわけです。
しかし、日本のバイクシーンでは、バジャジ製ベスパを大量輸入し、販売した歴史はありません。どうして、そのバジャジのキープストックが、横浜のモト・ビート シフトアップで販売されているのでしょうか。同店代表の山本慎一郎さんに聞きます。
「元々は、30ccのキットバイク『仔猿』の開発者でもあるCKデザインの佐々木伸夫さんが、このバジャジ製ベスパを90年代初めに輸入し、販売していました。一定台数を販売した後、販売終了となったようですが、佐々木さんから『キープストック(新車)がほんの数台だけ残っている』と聞き、当店で販売させてもらうことになりました」(山本さん)
余談ですが、筆者も数台のベスパを乗り継いだ経験があり、このバジャジ製ベスパが販売されていた当時のことをよく覚えています。
当時のオリジナルベスパのうち、旧来型のデザインのクラシカルなモデルは、125cc以下のスモールボディのみ。ラージボディのベスパはプラスチックパーツなどが多用された、近代的なデザインのモデルのみだったことから、クラシカルデザインそのままであり、ラージボディでもあったこのバジャジ製ベスパは、眩しく映った記憶があります。
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