◾️トップシェフたちの特別メニューや佐賀の食材が集結した「食の祭典」を開催
▲しろいしレンコンや梨、自然薯、原木しいたけなどの青果の逸品のほか、海苔や牡蠣などの魚介、ジュースや肉加工品などバラエティに富んだ食材が店頭を賑わせた
会場は、佐賀県立博物館・美術館と、そこに隣接するカフェ。多彩なテーマでの「TALK SESSION」を目玉に、気鋭のシェフやパティシエによる特別メニューが味わえる「FOOD PARK」や、佐賀が誇る食材が集まる「MARCHE」がお祭り気分を盛り立てます。
▲東京・赤坂の「Nirvana New York」はカフェにてスパイスカレーを提供
まずは腹ごしらえ。モダンインディアンの人気店『Nirvana New York』がこの日のために考案したスパイスカレーと佐賀のクラフトビールをいただきます。洗練されたおいしさは、さすがの一言。
▲佐賀の銘酒を使ったカクテルも人気を集めた
▲東京の『現代茶寮 銀座風月堂』はパテアンアンクルートなどを提供(上)。東京の『Night Market』は生春巻きやフォー(下)をその場で調理して販売した
さらには、東南アジア各国の屋台料理に特化したレストランとして注目を集める『Night Market』のブースを発見。生春巻きをいただきました。なんと具材には佐賀特産の嬉野茶がたっぷり。ミャンマーの発酵茶サラダを思い起こさせる斬新なおいしさは感動ものです。
▲有明海特産の牡蠣・スミノエガキは蒸し立てでの販売も
◾️3人の人気シェフと語り合った【ローカルガストロノミー】の魅力
さあ、当イベントのメインコンテンツ「TALK SESSION」を観覧する準備は整いました。『食楽web』は、「TALK SESSION」の中でも、注目度急上昇中のシェフ3人が語り合う「【ローカルガストロノミー】食の未来を拓く、ローカルの力」に焦点を当てました。熱いトークが繰り広げられた内容をダイジェストでレポートします。
「ローカルガストロノミー」とは、地域の風土、歴史、文化を料理に表現すること。地域経済を活性化させ、持続可能な食環境の保全や伝統文化の継承につながる考え方として広がりつつあります。観光客にとっては、その土地の魅力を食を通じて深く体験でき、旅を豊かなものにできるメリットがあります。
登壇したのは現在、「ローカルガストロノミー」を第一線で実践する3人のシェフです。
▲富山県富山市のイタリアンレストラン「ひまわり食堂2」のシェフ・田中穂積さん
田中シェフは「自分は小さい頃から何も考えずに行動するタイプ。そのせいでかなり遠回りして料理の世界に入ることになった」と自己紹介します。富山出身の田中シェフは20代をバックパッカーや建設作業員として過ごしました。イタリアで食べたステーキのおいしさが忘れられず、27歳で一念発起し料理人になることを決意したそうです。
「行けば何とかなるとイタリアへ行っそものの、語学力も調理技術も皆無だったので3ヶ月で帰国。すぐに就職情報誌で見つけた求人に応募し、六本木で働き始めました。10年働き、その間イタリアでの修行なども経て、かなり自信をつけていた頃に、富山でのシェフのオファーがあり、引き受けました。たまたま富山だっただけで、佐賀でも沖縄でも自分はどこでもやっていけると調子に乗っていたんです。ふたを開けてみると、オーナーとソリが合わず、わずか半年で店を離れました。仕方なく自分の店を富山で開業させたというのが事の真相です」(田中シェフ)
富山はローカルガストロノミーの舞台として積極的に選んだわけではないものの、地域に根差して料理するうちに、類まれな食の宝庫であることに自然と気付かされていったと言います。
2024年に移転しメニューを一新した「ひまわり食堂2」は、2025年のデスティネーションレストランオブザイヤーを受賞しました。
▲静岡県焼津市のフレンチレストラン「馳走 西健一」のシェフ・西健一さん
西シェフは広島県の出身。広島や東京、本場フランスでフランス料理の腕を磨いたあと、広島の名店「馳走 啐啄一十」で和食の技術も会得します。2018年に広島で独立開業しますが、日本全国はもとより世界の料理人から厚い支持を集める静岡県焼津市の鮮魚店「サスエ前田魚店」の魚に惚れ込み、2022年に焼津に移住し、「馳走 西健一」をオープン。2024年にデスティネーションレストランを受賞しました。
「サスエさんが扱う魚は、定置網からわざわざ1匹ずつタモで丁寧に掬い上げるところから始まり、漁港に設置した専用いけすでの管理、神経締めの技術、どれをとっても別次元の仕立てによって完璧なクオリティが確立されています。たとえばアジやサバなどの大衆魚が、既成概念を覆す食感、香り、水分で唯一無二の食材に変貌します。正直、知らなければよかったと思います。けれど、存在を知ってしまった以上、料理人としてこの魚を使わせていただき料理したいという欲求に抗うことができず、焼津での再出発を決めました。今なおサスエさんの魚には驚かされるばかりです」(西シェフ)
▲新潟県糸魚川市のフレンチレストラン「mûrir」のシェフ・渡辺光実さん
渡辺シェフは新潟県糸魚川市の兼業農家に生まれ育ちました。帝国ホテルで鉄板焼きやフランス料理のレストランで修業を積み、地元へUターン。「修業時代に雑誌で読んだフランスの有名シェフ、ミッシェル・ブラスのオーベルジュの記事に憧れ、自然の中で自分で野菜を育てて料理する店を開きたいと思いました」と話します。
イタリアンレストランの料理長などを経て、2023年に「mûrir」を独立開業。見渡す限りの田んぼの中にポツンと建つ一軒家レストランです。渡辺シェフは奥様の実家である米と果樹栽培を行う農園に入社。老朽化したビニルハウスが建っていた土地を活用し、6次産業化施設として、レストランへと大胆にリニューアルしたのです。
「みんなから絶対に失敗すると言われ、父親にも縁を切るとまで反対されましたが、10年願いを口に出し続ければ、口偏に十で“叶う”という信念で、多くの人たちの助けを借りながら店を形にしてきました」(渡辺シェフ)
2024年には新潟ガストロノミーアワード若手シェフ部門特別優秀賞を受賞し、早くも脚光を浴びています。




























