日本の食のトップランナーが集結!食の未来を考える「SAGA ガストロノミー会議」に行ってきた

◾️ぞれぞれが作るローカルとは?

▲はじめは緊張の面持ちだった3人も次第にリラックスムードに

 

日本のローカルで思い思いのレストランを構えたシェフたちは、一体どんな料理を出しているのでしょうか?

理想の魚を追いかけて焼津にやってきた西シェフが作るのは、ほとんどが地元の魚で構成されたコースです。朝獲れの魚はランチに、夕獲れの魚はディナーに提供されます。スペシャリテの一つがパイ包み焼き。たとえば、シラスが揚がれば、生シラスを包み込み、飛び切りの鮮度を堪能できるレア状態で味わえるように焼き上げます。

「生のアジの身を大きいままお出しして、あえてナイフとフォークで切って召し上がっていただくことも。みなさん、その肉の厚みや弾力、身質、そして香りに驚かれます。サスエさんの魚の持ち味を生かす調理というのが前提です。実は、漁港での仕入れでは毎度、サスエさんと付き合いのある料理人たち同士でジャンケンをして、持ち帰る魚を決めています。勝った時はいいですが、負けるとろくに持ち帰れないので本当にヘコみます(笑)」(西シェフ)

 

▲ファシリテーションは『食楽web』プロデューサーの大西健俊が担当した

 

「ひまわり食堂2」が立地する富山市は、間近に標高3000m級の立山連峰が迫り、目の前の富山湾は水深1000mまで一気に落ち込む高低差の激しい地形の中にあります。栄養分をたっぷり含んだ山水が流れ込む富山湾は「天然のいけす」と呼ばれ、対馬海流に乗って湾に入ってくる魚を滋味深く育みます。田中シェフは、富山湾が誇るブリや白エビ、ホタルイカなどを巧みに使い、オリジナルのイタリアンに仕上げます。

「深い海と高い山が近距離にあるのが富山の特徴。山菜も豊富で、野菜のおいしさも抜群です。種類は多くはないけれど、味の良いきのこもアイデアを刺激してくれます」(田中シェフ)

1万8,000円のコース1本のファインダイニングでありながら、街の食堂のような気さくな雰囲気。一見何の料理かわからない様相の皿も多いですが、一口運べば素材の味をぐっと感じられるのが魅力。個性派イタリアンと称される所以です。

海洋深層水を味わうアイスクリームを紹介した西シェフに、すかさず「パクっていいですか?」と聞くところも、田中シェフらしい茶目っ気です。

 

▲店のロケーションや地域性について各シェフが解説

 

「mûrir」もまた相当な個性派です。富山湾に続く海岸線に面する糸魚川は、甘エビや紅ズワイガニをはじめとする魚介の宝庫。標高2400mの新潟焼山を擁し、山の幸も豊富な地です。同店では地元猟師から仕入れるイノシシやシカ、カモ、アナグマなどの上質なジビエもよく使います。しかし、主体とするのは農園で育てたお米と果物。コースは田んぼの雪解けから、田植え、米の収穫、精米、熟成までを、薪火焼きを駆使したフレンチの技法と器で表現しています。食楽webプロデューサーの大西は、マスクメロンのカラリと揚げたフリットの斬新なおいしさに感動した自身の体験を紹介しました。

そして何より、ゲストを驚かせるのは、フレンチのコースのメインが「ごはん」であること。自家栽培の2種類の米を、土鍋で炊いた白米と焼きおにぎりで食べ比べます。

「自分たちのアイデンティティはあくまでも米にあります。最高の米を育て、最高の状態で味わっていただきたい。これからもとことん追求していきます」(渡辺シェフ)

 

▲トークは次第に熱を帯び、あっという間の1時間半となった

 

最後に、ローカルにあるレストランとして今後実現したいことは? というテーマが掲げられました。地域に向き合い、日々全力で料理をしている3人は答えに窮する様子を見せます。そこで、言葉を選びながら話す田中シェフのコメントが印象的でした。

「お客様を笑顔にして帰らせる。究極の目標はこれに尽きると思います。それをずっと続けていければ、次の目標が見つかるかもしれません」(田中シェフ)

西シェフと渡辺シェフも頷きます。

日本各地にローカルガストロノミーが生まれ、育っていく現状を象徴するようなトークセッションとなり、会場も温かい拍手に包まれました。

登壇後は、3人のシェフがトークセッションで語り足りなかったのか、互いの活動についてさらに質問し合う姿が見られました。そして、お互いの店へ食べに行きますねという約束も。それぞれローカルで自分の道を突き進む気鋭のシェフが集ったこの時間は、新たな化学変化を生みそうです。

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2日間で開催された食の祭典SAGAガストロノミー会議。『食楽web』では、「【ローカルガストロノミー】食の未来を拓く、ローカルの力」というトークセッションを深堀りしましたが、5つのテーマが用意された各回は「美食地質学が紐解く、佐賀の食」や「九州の海から考える。海と食のサステナブルな関係」、「料理の世界を現場から変える、わたしたちの挑戦」、「器と料理の創造性に溢れた共創のかたち」と、どのセッションも食のプロフェッショナルが様々な視点から白熱のトークを展開し、学びのある有意義な時間になりました。

もちろん、マルシェやフードパークの充実ぶりも好評。おいしく食べ、語り合う。難しく考える必要はなく、そんな食への関心が、日本の食の未来を変える一歩になるのではないでしょうか?

食の魅力あふれる佐賀。足を運べば、きっと“おいしい”の概念が変わる体験が待っています!

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