▲ペン先の樹脂製チップのわずかなしなりが、トメ・ハネ・ハライなどの抑揚を生む
とは言え、ネットでポチッと購入すれば明日にでも届いてしまう世界だ。困ることはない。わざわざ出向いたのにお目当てのリフィルが見つけられないなんて苦い経験はもうしなくていい。そんなインターネット上でもなかなか買えない文具がある。KOKUYO WPの「ファインライター WP-F100」だ。
クラウドファンディングサービスMakuakeでまず販売され、3000本以上を売り上げる。そして2023年10月に抽選販売を実施。もちろん申し込んでみたのだが、しっかりと外れた。当選倍率は26倍を超えたらしい。
その後もKOKUYOの公式オンラインショップでは常に売り切れ状態。ネットを検索したら売っているにはいるのだが、倍以上のプレ値が付けられていたりする。スニーカーや服ならよくある話かもしれないが、文房具で、しかもサインペンで。うーん、これは圧倒的に欲しくなってくる。枯渇状態が作戦なのだとしたら大々成功だろう。でも、無いもんは無い。増え続けていく他のペン達のおかげでその気持ちも和らいでいった。
そして昨年の中頃、パイセンの友人と八重洲で食事をした後、近くの丸善丸の内本店に行こうという流れになった。いつも通りウキウキしながらエスカレータを降り、文具コーナーに直行する。あった。売ってる。「ファインライター WP」。えっ? 買えるの? 突然のことに動揺する。お1人様1点限り。4400円。箱だけが飾られていてそれをレジに持っていくと奥から店員さんが持ってきてくれる人気商品ムーブだ。当然ながら試し書きはさせてもらえない。迷いが生じる。試し書きもせずに4000円以上するサインペンを買う…に決まってるだろボケコラァ! 俺が買わずして誰が買うんじゃい! いや、皆んな買っていくから売っていなかったのだ。領収書の但し書き「文具代」が異様に嬉しかった。
帰宅して早速試してみる。良い、けど想像していたよりだいぶ細かった。そうかぁ、ちょっと残念。たまに思い出したように使ってみる程度だった。のだが、ここ最近、日課であるモーニングノートはほぼ毎回これ。インクの持ちも非常に良い。使うことによりペン先が自分好みに「育ち」、達筆ではない俺が好きな文字を書ける1本になっていた。やはりトメ、ハネ、ハライができることを謳うペンに間違いはない。まだまだ未開拓、高級サインペンの世界。拡がってくれ。全世界の俺、大歓喜確定だ。
※2025年2月6日発売「GoodsPress」3月号121-122ページの記事をもとに構成しています
<写真・文/ KREVA 写真(キービジュアル)/藪内 努 ヘアメイク/結城 藍 スタイリスト/藤本大輔(tas) 構成/ TOMMY>
【関連記事】
◆dexas「Slimcase 2」【KREVAの文具PRESS】
◆呉竹「カラー文鎮 黒」【KREVAの文具PRESS】
◆CANARY「段ボールのこ ダンちゃん フッ素コーディング キャップ付き」【KREVAの文具PRESS】
- 1
- 2















