■この夏、大人が狙うべき「推しプリントT」5選
ここまでプリントTの着こなし方について紹介してきましたが、では実際、どんなブランドのTシャツを選べばいいのか。今の気分にフィットしていて、大人でも品よく着られる、そんな一枚をセレクトしました。ここからは、今季おすすめしたい「推しプリントT」5枚を紹介します。
【アイテム1】渋みと知性をまとう。植物をアートに昇華した一枚
ブランデット マキノ イチゴウ スガワラ
「MAKINO T-SHIRTS」(9680円)
▲カラーは左のMidoriと右のSakuraの2色をラインナップ。右のSakuraは裏返した状態
写真家・菅原一剛氏が、植物学者・牧野富太郎博士の標本をモチーフに撮影した写真集「MAKINO 植物の肖像」シリーズから、ビロードムラサキをプリントした一着。1億5000万画素の超高精細カメラで捉えた繊細な陰影と質感が、Tシャツを静謐なアートピースへと昇華しています。
裏面には博士のメッセージもプリントされ、自然へのリスペクトを感じさせるリバーシブル仕様。知的で奥行きのあるスタイルを演出してくれる一枚です。
【アイテム2】 あのピカソの名作が“日常に着られるアート”に昇華
UT(ユーティー)
「パブロ・ピカソ UT」(1500円)

毎年話題を集めるUNIQLOのUTコレクション。今年は、20世紀を代表する芸術家パブロ・ピカソとのコラボが実現しました。ピカソは絵画にとどまらず、彫刻や陶芸、舞台美術にまで活動の幅を広げた稀代のアーティスト。数ある作品の中から4点をセレクトし、Tシャツという日常的なアイテムに落とし込んでいます。
なかでも注目したいのが、1922年作「ギターのある静物」をモチーフにした一枚。キュビズムならではの構成美と静かな色調が印象的で、装いに落ち着きと奥行きを与えてくれます。300点以上を展開するUTコレクションの中でも、クラシックかつ新鮮な存在感を放つシリーズ。アート好きもファッション好きも手に取りたくなる一着です。
>> UT
【アイテム3】コンビニで手に入るとは思えない 上質&アートな一枚
コンビニエンスウェア
「フォトTシャツ TOKYO SEQUENCE #1」(1998円)
▲カラーは写真のホワイトのみの1色展開
写真家・映画監督の奥山由之氏と「FACETASM」デザイナーの落合宏理氏によるプロジェクト「TOKYO SEQUENCE」と、ファミリーマートの「コンビニエンスウェア」がコラボレーション。8mmフィルムカメラで撮影された映像から、わずか0.0何秒という瞬間を切り取った3コマを並べ、東京の移ろいを連続的なビジュアルで表現したアート性の高い一着です。
素材には上質なUSAコットンを使用し、肩の落ち感やステッチ幅など細部まで丁寧に設計されています。さらに抗菌防臭加工も施され、日常使いにも最適。「いい素材、いい技術、いいデザイン。」を掲げるブランドコンセプトを、気軽に体感できる一枚となっています。
>> コンビニエンスウェア
【アイテム4】“手刷り”だから生まれる、アートの深みを纏う一枚
THE INTERNATIONAL ART COLLECTION(ザ インターナショナル アート コレクション)
「【RK】SHORT SLEEVE T-SHIRT / Dancing, Kobe」(2万2000円)
▲カラーは写真のホワイトのほか、ブラックをラインナップ
“Homage to Art and Photography=芸術と写真への敬意”をコンセプトに掲げるTHE INTERNATIONAL ART COLLECTIONは、ロサンゼルスのINTERNATIONAL IMAGES社との提携により2021年に誕生。2022年秋からは“ウェアラブルアートTシャツ”という新たなコレクションを展開しています。アートごとにインクを調合し、職人が一枚ずつ丁寧に手刷りすることで、ギャラリー作品のような深みのある仕上がりを実現しています。
本アイテムは、幻想的な色彩と独自の視点で国内外から高い評価を受ける写真家・RK氏の作品をプリントした一枚。デザインに惹かれてから作家を知る、そんな出会いが楽しめるのも、フォトTならではの醍醐味です。
>> THE INTERNATIONAL ART COLLECTION
【アイテム5】松田優作の“スピリット”をまとった、ダークでエモーショナルなシネマT
SILAS(サイラス)
「MONOCHROME PHOTOGRAPH YUSAKU S/S TEE」(7150円)

好きな映画や心動かされたシーンをファッションに取り入れられるのも、プリントTシャツならではの魅力です。「MONOCHROME PHOTOGRAPH YUSAKU S/S TEE」は、リドリー・スコット監督作『BLACK RAIN』の世界観を、ダークに表現した一枚。故・松田優作氏の印象的なシーンをモノクロでプリントし、無機質でありながらエモーショナルな佇まいに仕上げています。
劇場映画としては、松田氏の遺作でもある『BLACK RAIN』。このグラフィックTは、その深い余韻を纏える特別な一枚です。Tシャツは気軽に着られるぶん、趣味や美学を自然に表現できるアイテム。だからこそ、“ただのファンアイテム”で終わらせない、センスとストーリー性を意識して選びたいものです。
>> SILAS
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最近のトレンドは、無個性より“さりげない個性”。「無地Tシャツ」一強だった時代を経て、今またプリントTが再び注目を集めています。アートや写真、タイポグラフィなど、表現の幅も広がり、選ぶ楽しさがぐっと広がった今が、まさに絶好のタイミング。
今回ご紹介したのは、その中でも“大人が着てサマになる”プリントTのほんの一部。感性にフィットする一枚に、きっと出会えるはずです。
<メイン写真/田中利幸>
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