【達人のプラモ術】
エアフィックス
「1/48 ブリストル・ブルドッグMk.Ⅱ」
01/06
■複葉機のモデリングは難しい?
これまで<達人のプラモ術>では、飛行機のスケールモデル、第二次大戦の戦闘機、飛行艇、最新のステルス戦闘機や大型輸送機、はたまたエアレーサーも製作してきましたが、考えてみると古き良き時代の複葉機(※1)は、まだ一度も製作していませんでした。
複葉機が活躍したのは第一次世界大戦。飛行機が大きく発達した時代です。第二次世界大戦では、より高性能な単葉機が主流となり、複葉機はごく限られた機体が使われただけです。今回製作するブリストル・ブルドッグ(Bristol Bulldog)は、イギリスのブリストル社が開発した複葉の戦闘機で、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に活躍した機体です。
スケールモデルの中でも複葉機は、派手なカラーリングや、第一次世界大戦ではエースパイロッットの逸話が多いこともあって、人気があり、キットも数多く発売されています。とはいうものの、スケールモデル的には複葉機はちょっとハードルが高いと言われています。
なぜか、と問えば、翼間にワイヤ(張り線)があるからだという答えが返ってきます。そして大抵のキットは、この張り線を自作で工作しないといけないこともあり、複葉機は敬遠されていることが多いのです。
しかし昨今は張り線に適したアイテムなども発売されており、工作にしてもハードルは低くなっています。
というワケで今回のお題は複葉機、テーマは張り線! いざ製作開始です!(全6回の1回目)
<※1>複葉機(ふくようき)とは揚力を得るための主翼が2枚以上ある飛行機を指す。揚力は速度の2乗、密度、翼面積に比例するため、エンジンが非力で速度が小さい初期の飛行機は、機体を飛ばすのに必要な揚力を確保するため翼面積を大きくする必要があった。しかし当時の翼は布張り木製で機体強度がなかったため、単葉機の製作が難しく、そこで短い翼を上下に配置した複葉とし、その間に桁やワイヤーをめぐらすことで、強度を保ちつつ翼面積を大きくした。より揚力を求めるために翼が3枚以上の飛行機も存在する。狭義として主翼が2枚のものを複葉機、3枚のものを三葉機、4枚以上の翼があるものは多葉機と呼ぶ。
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。