絵画用のアクリル絵の具を筆塗りして生物の質感を再現【ジュラシック・パークIII スピノサウルス 】

■サーフェイサーで下地を塗装

「U-35」は定着性が高いので、プラスチックにそのまま塗布しても定着しますが、より定着力をアップさせるためにサーフェイサーで下地塗装をオススメします。使用したのはタミヤのオキサイトレッドのサーフェイサー。本来は戦車などのAFVモデルで使用するものです。ちなみにこの下地塗装のみ、缶スプレー使用となります。

▲定着力が高い「U-35」だが、プラスチック素材のような表面が平滑な素材の場合、より定着性をアップさせるためにサーフェイサーで下地塗装をしておくことがオススメ

▲今回使用した筆は水彩画用のインターロン。ナイロン毛と獣毛のハイブリットで、水性アクリル絵の絵の具のみならず、ラッカー系塗料との相性も良い。形状記憶ナイロン使われているので、よくある毛先に曲がり癖がついてしまったり先割れるといった筆あるあるトラブルも、熱めのお湯に筆先を漬けることで元の状態に戻せる。価格が手頃なのもありがたい

▲アクリル絵の具塗装であると便利! ターナー色彩「ペーパーパレット SS 50シート入」(484円)パレット紙の表面には特殊なコーティングが施されており、水彩画、アクリル画、油絵、インクなどを伸ばせて染み込まない。模型用塗料などの塗料の混色に適している使い捨て紙製パレット

▲体は、黒に近い茶色の「U-35」の“ローアンバー”をメインに、明るい茶系の“バーンシェンナー”を混色したもので塗っていく。コツは水で薄めすぎないこと。「U-35」は伸びが良いので、穂先を水で濡らした程度の水分で十分。またキレイに塗るのではなく、濃淡陰影をつけていくのがポイント

▲塗り上げた頭まわり。このままでは色味が暗すぎてせっかくのディテールが目立たない

▲「U-35」の“ローアンバー”と“バーントシェンナー”。混色はペーパーパレットを使うとやりやすい

▲“ローアンバー”と“バーントシェンナー”の塗装が乾かないうちに、“バーントシェンナー”単色を塗り重ねて陰影をつけていく

▲さらに体の下側やお腹まわりは明るめの“イエローオーカー”を重ねて下地の色とブレンディング

▲ブレンディングしつつ自然なグラデーションとなるように塗っていく

▲“ローアンバー” “バーントシェンナー” “イエローオーカー”の単色それぞれを表面でブレンディング。ドライブラシも併用することでウロコのディテールが際立つように塗り上げた状態の頭部

▲3色を重ねて、頭→胴体→背ビレ→腕と脚→尻尾の順に塗っていく。ブレンディングで陰影をつけて塗り上げた状態。ウロコなどのディテールが秀逸なので、この状態でもいかにも恐竜らしい感じになった

▲先に塗った色が乾いたら、さらに“アンブリーチドチタニウム”(ややくすんだ暗めのホワイト)で体全体にドライブラシを入れることで、ウロコのハイライトを強調していく

▲ウロコなどのハイライトを活かしてくれる“アンブリーチドチタニウム”。ドライブラシは、模型用塗料と同じく、筆に含ませた塗料をよく拭き取ってディテールの凸部分に擦り付けるように、塗るというより乗せる感じで

▲ドライブラシでハイライトを入れることでより生物的な質感が活きてくる

 

■派手な恐竜がいたっていいじゃない

『ジュラシック・ワールド/復活の大地』のスピノサウルスは、背ビレから胴体にかけてオレンジ色の縞が入り、前作と比べて見た目が随分と派手になっています。

まあ恐竜の体色なんてのは化石からは分からないので、そこはそれ、映画製作サイドの創作なんでしょうけれど、しかしこれが説得力あるんですよ。オレンジの縞が入った背ビレが海面を割って迫ってくる映像はインパクト大です。

というわけで塗り上げた地味目のスピノサウルスに、オレンジ色の縞を描いていきます。先にも書きましたが、今回は群れで襲ってくるスピノサウルス、よく見ると個体ごとに微妙に縞のパターンが違うんですね。

スクリーンだと動きが速いので、なかなか全体像が掴みにくい。そこでトイ○らスで、映画公開に合わせて発売されたスピノサウルスの塗装済みフィギュアを買ってきたんですが、あんまり参考になりませんでした。なのでオレンジの縞々は、こうだろう的な推定が入っております。

そこで使用したのは鮮やかな“パイローオレンジ”。わずかに“バーントシェンナー”を加えて彩度を下げて塗っています。

▲“パイローオレンジ”に僅かに“バーントシェンナー”を加えることで、彩度を落として不自然な色にならないように調色。「U-35」は下地色の隠蔽力(下地を隠す力)も高い

▲オレンジは数回筆で塗り重ねて、不自然医ならないように抑えめに発色させている。ちなみに劇中のスピノサウルスはオレンジの縞も鮮やかでかなり派手

▲背ビレと尻尾にオレンジの縞の塗装が完了したスピノサウルス。尻尾の縞はオモチャのスピノサウルスを参考にしたのだが、なんかアライグマみたいになってしまったので、塗り直しを考慮中

 

■スピノサウルス、体の筆塗り完了!

オレンジの縞も入り、しっかり『ジュラシック・ワールド/復活の大地』版のスピノサウルスになりました。次回完成編では口腔内や爪、悪そうな目どや細部の塗装を仕上げて完成を目指します。お楽しみに!

▲いかにも凶暴そうなスピノサウルスに塗りあがった

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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