【達人のプラモ術】
ハセガワ
「1/12 カワサキ GPZ900R(A1)1984)」
今回の「達人のプラモ術」は久々にバイクをピックアップ。今年1月にハセガワから発売された「1/12 カワサキGPZ900R」を製作します。

1984年に日本国外市場向けとして発売されたカワサキGPz900RはNinja(ニンジャ)の愛称で呼ばれ、国内外で今でも高い人気を誇っているバイクです。また映画『トップガン』(1986年公開)において主人公マーヴェリックの愛車として登場し、さらにその人気を集めたことでも広く知られています。

ハセガワ
「カワサキ GPZ900R(A1)(1984)」(4070円)
スケール1:12
発売中
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。タミヤ公式YouTubeチャンネルなどでもハウツーレビューを
■達人とバイク
GPz900Rが発売されたのは1984年。もう42年も前になるんですね。達人は当時バイク雑誌の編集をしていたこともあり、GPz900Rともなにかと縁がありました。
80年代といえばバイクブームが国内で大いに盛り上がっていた時代で、国内はホンダNSR250、ヤマハTZR250、スズキRG250γなどが次々と登場してレーサーレプリカブーム真っ盛りの時代でもありました。
そうした中にあって、“新世代のスーパースポーツ”を開発コンセプトにカワサキが日本国外市場向けモデルとして発売したのがスポーツツアラーGPz900Rです。
水冷908cc大排気量エンジンをダイヤモンドフレームに搭載。発売当時、公道バイクとしては世界最速(最高速は250km/h以上)を誇りました。フルカウルながらレーサーレプリカとは一線を画したフロントからリアカウルまでなだらか繋がる個性的なスタイリングのGPz900Rは、Ninja(ニンジャ)の愛称で人気に。
余談ですが、和名愛称の先駆け的存在といえば、1981年に発売されたスズキGSX1100S KATANA(刀)でしたね。NinjaにしてもKATANAにしても愛称は現行モデルにも引き継がれています。
■憧れだったオーバー750ccバイク
当時は免許制度の関係で大型二輪免許の取得試験はとても厳しく、試験場で行われる一発試験は“落とすための試験”だなんて言われてました(現在は教習所経由での取得が可能)。また日本国内では750cc超の大排気量車販売が自主規制されていたため(1992年に廃止)、当時の中型限定免許ライダーにとって大排気量バイクは、憧れでありステイタスでもありました。
■国内仕様のGPZ750R
GPz900Rは日本国外市場向けモデルであったため、日本国内では逆輸入車扱いとなっていました。カワサキは国内仕様として、GPz900Rと同一の車体にボア・ストロークをダウンしたエンジンを搭載するGPz750Rを発売しています。GPz750RのパワーはGPz900Rの115PS/9500rpmに対して77ps/9000rpmでしたが、ゼロヨン10秒台、最高速250km/h以上という当時最速の“ナナハン“”でした。それだけに国内でも人気を博しました。
しかしNinjia本来のオリジナルを求めるユーザーの需要も多く、多数のGPz900Rが逆輸入という形をとって日本国内で登録されています。
当時バイク雑誌制作の関係でGPz900Rには試乗する機会もありましたし、また知人にはGPz900R乗りが多かったものです。当の達人はといえば、偏屈なのでドゥカティパンタ600SLというマイノリティかつマニアックなバイク(元のパーツはフレームとエンジン外観だけという原形を留めない改造しまくりのNCR仕様)を愛車としていたので、GPz900Rに関しては「パワーもトルクあるし、ライディングポジションも楽で乗りやすいバイクだなぁ」といった当たり障りのない印象でした。今にして思えば、パンタ600SLにつぎ込んだパーツ代と改造費&修理代で新車のGPz900Rが2台は買えたなぁ…とまぁそんな話はおいといて。
GPz900Rはカワサキを愛してやまない硬派なライダーたちの熱い支持に支えられ、マイナーチェンジを重ね、20年もの間販売され続けたロングセラーマシンになります。
またまた余談になりますが、2年ほど前に実車が欲しくなってリサーチしたのですが、折しも映画『トップガン・マーヴェリック』(2020年公開)で再びGPz900Rが登場したこともあり、中古車の価格が跳ね上がってしまい、程度の良い車両となると200万円超! いや、素直に諦めましたです。
■バイクプラモの楽しさ
今回製作の「1/12 カワサキ GPZ900R」は、今年1月にハセガワが発売したキットで、同社のバイクモデルの最新作です。本連載『達人のプラモ術』では、2021年に同じくハセガワの「1/12 TZR250」を製作して以来ですから、5年ぶりのバイクプラモとなります。
ハセガワのバイクプラモの特徴として、実車のディテールを細部まで可能な限り忠実に再現している点が挙げられます。逆を言えばパーツは細かく組み上げるのが大変とも言えるのですが、これが実に楽しい。エンジンを組み、フレームに組み込んで、足回りを組み上げて、車体に組み込んでいく。ある意味、実車を組み上げていく感覚が味わえます。
▲フレームに組み込んだエンジンとリアタイヤ周り。アッパーカウルとアンダーカウル、シートとシートカウル、カウルフレーム、そしてフロントタイヤとフロントフェンダーといった各パーツを実車のごとく組み上げていくのがバイクプラモの楽しみ方といえる
フルディテールのカーモデルにも通じるものはありますが、より本物をいじっている臨場感を味わえるのが最近のバイクモデルの特徴だと言えます。
GPz900Rオーナーならば「そう! ここはこうなっているんだよ!」と声を上げたくなる、完成後には見えなくなるタンクやシートの裏側、カウルステー、リアサスペンション周りなどの緻密なディテール。そして各パーツが組み合わされて完成形となる。まさにGPz900Rのメカニズムを感じさせてくれるキットとなっています。
完成後もカウルをはじめタンクやサイドカバー類を外して内部を見られるのもバイク好きにはポイント高いですね。
▲燃料タンクは3分割で、完成後には見えなくなる裏側のプレスラインも正確に再現されている。また完成後も取り外し可能
しかしリアルの代償として、先にも書きましたが補器類等のパーツは極小サイズで、眼には厳しく、また精密ピンセットの使用は必須です。
キットは初期型となる GPz900R(A1)をモデル化したもので、車体色はファイヤークラッカーレッド×メタリックグレーストーンが指定されています。ファイヤークラッカーレッドは、ややオレンジみががった印象なのですが、作例では個人的な好みから、より赤味の強いフィニッシャーズカラーのリッチレッドとタミヤラッカーのガンメタルで仕上げています。
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