まず、カーボンを織り込むことで得られる効果は4つ。汗をすばやく吸い上げる吸湿性、空気を通して湿気を逃がす通気性、動きながら体温を整える冷却性、そして臭いを抑える防臭性。どれも冬のアクティブウエアに欠かせない要素ですが、汗かきハイカーとしては“冷却性”が特に気になりますが、この中でキーとなるのは“吸湿性”でしょう。

多くのアクティブインサレーションが“蒸気を外に逃がす”ことを重視するのに対して、このフーディは“汗そのものを吸い上げて動かす”構造。原理としてはカーボン表面の細かな溝を通って水分が毛細管現象で移動し、ベースレイヤーの汗をスッと吸い取ってくれるというもの。いわば能動的に吸湿してくれるわけです。
実際、熱がこもるような場面でも、汗が生地に吸われていく感覚を想像すると納得がいきます。こうしてウエア内の水分が効率よく外へ引っ張り出されることで、蒸れによるオーバーヒートを防ぎ、表面で気化した水分が体温をちょうどよく下げてくれる。カーボンが吸湿性を持つからこそ、通気により身体の熱を冷ますことにまでつながっているんですね。

冬のウエアで“熱を冷ます”というと違和感がありますが、蒸れによる体温上昇は冬のアクティブシーンではよくあること。そして汗が汗を呼ぶ事態になって、休憩中に汗冷え、なんてことになるので、そう考えると効果的な熱吸収はむしろ冬にこそ嬉しい機能かも。ランならこれ1枚、低山ハイクならウィンドシェルを合わせるとちょうど良さそうです。
ちなみにカーボン繊維を織り込んだことで、防臭性も期待。カーボンがにおいの元を吸着してくれるので、行動中はもちろん、活動後も含めて快適に過ごせるのは嬉しいポイント。
最後にもう1つ印象的なのが耐久性。通気性を重視するアクティブインサレーションは、どうしても繊維がゆるく、摩耗に弱い印象があります。その点、「M IBTHoody」は、リサイクルポリエステルにカーボンを織り込むことで、軽さと柔らかさを保ちながらも強度をしっかり確保。軽量インサレーション特有の心もとない印象がなく、日常のランやトレイルはもちろん、ザックを背負ってのハイクでも安心して使えそう。

その他の仕様としては首まわりを包むバラクラバフード、手首の冷えを防ぐニンジャカフス、夜間ランでのリフレクターを装備。約290gという軽さながら、動くための工夫が随所にあります。
冬のウエアは、寒さを防ぐためではなく、動きを止めないためのもの。走ってもムレにくく、止まっても冷えにくいというアクティブインサレーションを、吸湿性と冷却性から実現した「M IBTHoody」の設計思想は、汗に悩む人たちの新しい選択肢と言えるでしょう。
<文/山口健壱(&GP)>
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