2025年4月16日、ロボット掃除機ルンバの新モデル全6機種が発表されました。その中でも、子育てファミリーや複数の間取りの家庭を主なターゲットとするミドルクラスの製品が「Roomba Plus 505 Combo ロボット+ AutoWash 充電ステーション」(12万8400円/以下、「505 Combo」)です。
吸引と水拭きを同時に行う2in1で、これまでのルンバにはなかった回転式のモップパッドを搭載し、ゴミの回収はもちろん、モップパッドへの給水・洗浄・乾燥を自動化した充電ステーションも付属する“全部入り”。既に情報量が多めですが、さっそくレビューしていきましょう。
▲自動ゴミ収集とモップパッドの洗浄・温風乾燥を行うAutoWash 充電ステーションが付属
▲拭き掃除用には大判のDualCleanモップパッドを搭載。これはパッドが伸びている状態。このギミックにより壁際や障害物の際まで水拭きできるようになっている。吸引性能はルンバ600シリーズの最大70倍で、メインブラシはメンテナンス性が高いゴム製シングルアクションブラシを採用
■LiDARセンサー搭載でマッピングが超高速に!
まずは、AutoWash 充電ステーションを部屋に設置。上段にはルンバ本体に給水するためのタンクと、洗浄後の汚水を入れるタンクがあります。右側の給水タンクに水と洗剤をセット。中段には回収したゴミを溜めておく紙パックをセットします。電源に接続し、ルンバ本体を押し込むと充電が始まります。
▲花王「マジックリン」と共同開発した専用洗剤「iRobot 床用洗剤 Supported by マジックリン」(1900円)も発売
▲水タンクに指定された割合で投入する
次に、スマホアプリをインストールします。今回、本体の刷新に合わせてアプリも「Roomba Home アプリ」へと生まれ変わっているので、従来のルンバユーザーも新たにインストールする必要があります。家のWi-Fiを指定して、ルンバのボタンを押すことでアプリとルンバが接続されます。
▲「Roomba Home アプリ」
今回の新モデルは全機種、レーザー光を使用して物体までの距離や形状を計測するセンサー「ClearView LiDAR」を採用しています。この威力を知ることになるのが、初回に部屋の間取りを認識するマッピングです。
▲いざ出動
▲無駄のない動きで部屋の壁を認識していく
わが家の2DKのスペースをマッピングしましたが、かかった時間はわずか3分ほど。アプリの説明には「自宅の大きさによっては最長30分かかります」とありましたが、我が家が狭いとはいえ早すぎです(30分かかる家に住んでみたい)。
▲ご帰還。なぜだか満足気(に見える)
▲あっという間にマップが完成。線が直線で気持ちがいい
従来の機種では、マップが完成するまで何度も部屋を走らせる必要があったため、この早さは衝撃です。しかも、LiDARセンサーでは離れた場所の壁をそのまま認識できるため、床に家具や荷物が置かれていたとしても、壁がちゃんと直線で表されています(従来はギザギザのマップになりがちだった)。細かいことですが、気持ちが良い点です。
▲AIによってダイニングテーブルなどの家具も認識してマップに反映
■壁際、家具の脚まわりもしっかり拭き掃除
「505 Combo」の吸引力はルンバ600シリーズの最大70倍で、ホコリや髪の毛などのゴミをしっかりと吸引したうえで、見るからに強そうな回転式のモップパッドで水拭きしていきます。汚れの多い場所では、本体を前後に動かす「スマートスクラブ」機能も作動します。
▲壁の際までモップパッドが伸びて拭き掃除する。出たり入ったりするのが亀の足みたいでカワイイ
さらに、壁際や家具の横などに来ると、片側のモップパットが本体の外側へと伸びる「PerfectEdge」機能で、汚れが残りがちな場所もしっかりと拭き掃除をします。この動きは見ているだけでも楽しい。また同じくゴミやホコリがたまりやすいテーブルや椅子の脚まわりでもこの機能が作動します。
▲ダイニングのテーブルやチェアの間でもモップパッドが良い仕事をします
イスと言えば、かつてのルンバは脚の間にはまり込み脱出できないことがありました。そのため、掃除前にイスをテーブルの上に乗せるなどしていたのですが、この「505 Combo」ではLiDARセンサーによる効果でしょうか、脚にぶつかることもなくスマートに入って出ていきます。カメラで障害物を認識してケーブルや靴下などを巻き込まないよう回避する「PrecisionVision AI テクノロジー」とあわせて、ルンバをスタートする前の準備がほとんど要らなくなりました。
▲LiDARセンサー+カメラというルンバ最強のナビゲーションとPrecisionVision AIテクノロジーによって、床を這うケーブルを認識してしっかり回避
掃除が完了し、充電ステーションに戻る際の挙動もスマートです。一直線に充電ステーションに戻ってバックで入るのは、クルマの駐車を一発でキメるような達人感がありますね。
■モップパッドを自動洗浄・温風乾燥
充電ステーションに戻ると、まずはゴミが回収され、次にモップパッドが洗浄されます。洗浄自体にかかる時間は3分ほど。洗浄が終わると、温風による乾燥が始まります。乾燥時間は3時間・4時間・5時間から選択でき、初期設定は3時間に設定されています。
温風乾燥と聞くと、ドライヤーのような音を想像する人もいるかもしれませんが、音はかなり控えめ(空気清浄機の弱ぐらい?)。ルンバと充電ステーションの隙間に手を当てると、ほんのりと温かさを感じます。こんな控えめな乾燥で、厚手のモックパッドが3時間で乾き切るか少し不安でしたが、終わってみれば完全に乾いていました。
▲しっかり乾いてます
まだ使い始めなので当然かもしれませんが、鼻を近づけてもイヤな臭いはありません。氷点下の環境とかなら乾燥しきらないかもしれませんが、そんな環境なら水拭きしたときに床が凍りますね。
▲モップパッド洗浄と乾燥・セルフクリーニングサイクル・自動給水・自動ゴミ収集と全てをこなす機能満載のAutoWash 充電ステーション
充電ステーションに溜め置けるゴミは最大75日分。水タンクは、拭き掃除とモップパッド洗浄あわせて4週間分とスペックにはありますが、これは「週に1回の拭き掃除を基準とした数値」なので、4回分です。個人的には洗浄後の汚水をあまり長期間溜めたくないので、こまめに捨てていきたいですね。
▲左が汚水を溜めるタンク
ちなみに、汚水はイヤな臭いがするかと思いきや、マジックリンと共同開発した専用洗剤の香りがして気持ちよく作業できました。
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「Combo 505」の特徴をまとめるならば、2in1としての性能と利便性に優れたモデルと言えるでしょう。日常的にはほぼ手間いらず、給水などの作業も時間に余裕があるときにできるので、家を不在にしがちな人、リモートワークで忙しくしている人などを含めて、多くの家庭環境で満足できるモデルではないでしょうか。
>> アイロボット「Roomba Plus 505 Combo ロボット+ AutoWash 充電ステーション」
<取材・文/小口 覺 写真/小口 覺、逢坂 聡>
家電ライター・コラムニスト/小口覺さん
日本では2003 年に発売されたルンバ初代モデルから使用。自慢できる家電「ドヤ家電」の名付け親。著書に『ちょいバカ戦略−意識低い系マーケティングのすすめ−』など。































