全部“10万円以下”がうれしい。150年を迎えた老舗が提案する、今の気分に合う機械式時計

空気がひんやりとして、吐く息がかすかに白くなる。街を歩けば、ショーウィンドウには厚手のコートやマフラーが並び、人々の装いにも冬の気配が濃くなってきた。

そんな季節の変わり目に、ふと鏡の前で去年と同じ服を着ている自分に気づく。着慣れた安心感はあるが、どこか新しい変化も欲しくなる。そんなときは、腕元に新しい表情を加えてみるのがいい。

とはいえ、大人が選ぶ時計に中途半端なものは似合わない。理想は、語れる背景を持ちながら、デザインも洗練されていて、さらに懐にもやさしい一本。そのすべてを満たすのが、2025年で創業150周年を迎えた「BULOVA(ブローバ)」だ。

■信頼を積み重ねて150年。ブローバが示す時計づくりの原点

▲世界初の音叉式電子時計「アキュトロン」/ブローバ提供

1875年、アメリカ・ニューヨーク。産業と文化が急速に発展する時代に、ブローバは“正確で、美しい時計”をつくることを信条に創業した。

以来150年、同社の歩みは、時代の変化に応じながらも一貫して“信頼”という価値を軸に積み重ねてきた歴史である。

1960年に登場した世界初の音叉式電子時計「アキュトロン」は、その象徴だ。音叉振動による高精度な計時を実現し、NASAの宇宙計画にも採用されたアキュトロンは、ブローバの革新性を世界に知らしめた。

▲世界初、カーブしたクロノグラフムーブメントを搭載したコレクション「CURV(カーブ)」/ブローバ提供

以降も、ムーブメントそのものをカーブさせるという大胆な発想から生まれた「CURV(カーブ)」など、時計づくりの常識を更新し続けている。

そうした革新の根底にあるのは、“人の時間を豊かにするための技術”という哲学だ。派手な装飾ではなく、日常に寄り添う精度と上質さを追い求めてきたからこそ、ブローバは今も変わらず信頼の象徴として受け継がれている。

その精神は、150周年を記念して登場した最新モデルにも、たしかに息づいている。

■150周年にふさわしい存在感。2つの新作が語るブローバの真価

150周年という節目に合わせて登場したのは、ブローバの理念をいまの時代に再定義する2つの新作だ。

ひとつは、力強さと気品を兼ね備えた「マリンスター」。もうひとつは、機械式の魅力を上品にまとめ上げた「クラシック サットン」。方向性は異なりながらも、いずれもブランドの真価を体現する存在である。

■マザーオブパールの“移ろう黒”に宿る気品と力強さ。日本限定「マリンスター」150周年モデル

「マリンスター 98A332」(8万2500円)ケースサイズ45mm、厚み13.45mm、自動巻き、 パワーリザーブ約42時間、SSケース、20気圧防水

ブローバを代表するスポーツエレガンスコレクション「マリンスター」に、150周年を記念した特別モデルが登場した。1970年代に誕生したこのシリーズは、上品なデザインと高い防水性能を兼ね備えた人気コレクションとして知られている。

光の角度によって表情を変える文字盤のマザーオブパールは、漆黒というよりも“移ろう黒”。天然素材ならではの唯一無二の輝きを宿し、見るたびに異なる印象を与えてくれる。

さらに、4時位置に配された赤いスモールセコンドが全体の印象を引き締め、7時位置のオープンハートからは機械式ムーブメントの鼓動をのぞかせる。

▲左から:「マリンスター 98A227」(7万5900円)、「マリンスター 98A332」(8万2500円)

なお、ラバーストラップには汗を逃がす波模様を施し、日常からレジャーまで安心して使える実用性を備えている。

写真左にあたる、既存のマリンスターが持つラグスポ感を受け継ぎながら、ケースやインデックスを中心に、ピンクゴールドカラーからシルバーカラーへと刷新することで、より都会的な表情に仕上がっている。

▼洗練されたブラック×シルバーはカジュアルアップのお供に最適

短丈のブルゾンに、スウェットとシャツを重ねた抜け感のあるスタイル。生成り色のタック入りパンツが軽やかさを添え、リラックスした雰囲気を生んでいる。

そこに、本モデルを合わせることで、装い全体がほどよく引き締まっている。ブラックカラーのマザーオブパールが放つ穏やかな艶と、シルバーベゼルの落ち着いた輝きが、カジュアルな装いに上品な印象を添えているのだ。週末の何気ない時間にも、滲み出る大人の余裕と品が漂うだろう。

ブルゾン 7万4800円/ドアトロク(ヘムトPR)、スウェット 1万4960円/J.プレス オリジナルス(J.プレス & サンズ 青山)、シャツ 2万7500円、パンツ 2万9700円/コノロジカ(ヘムトPR)

▼クラシックな装いに調和するモダンなアクセント

モスグリーンのツイードセットアップに、ハイゲージのジップアップニットを合わせた装い。クラシックな素材感にほどよい抜けを与えながら、インナーから覗くブラックシャツが全体を引き締めている。

腕元に添えた本モデルは、写真のようなキレイめスタイルとベストマッチ。ブラックのマザーオブパールが上品な光沢が、ツイードの柔らかな質感と絶妙なコントラストを描いている。

ジャケット 7万9200円、パンツ 4万6200円/J.プレス オリジナルス(J.プレス & サンズ 青山)、ニット 8万8000円/ヘリル(にしのや)、シャツ 4万1580円/マナベ(ヘムトPR)

■40mmが生み出す端正なバランス。「クラシック サットン」が示す上品のかたち

▲左から「クラシック サットン 96A330」(6万4900円)「クラシック サットン 96A331」(7万400円)「クラシック サットン 96A329」(7万400円)/ケースサイズ40mm、厚み12.2mm、自動巻き、パワーリザーブ約42時間、SSケース、3気圧防水

マリンスターに続き、ブローバの人気自動巻きスケルトンシリーズ「クラシック サットン」に、3本の新作が加わった。

“クラシック”の名が示す通り、ブランドの伝統とエレガンスを体現するシリーズであり、時代を越えて愛される普遍的なデザインを現代的に解釈している。機械式の鼓動を感じながらも、オン・オフ問わず楽しめるバランス感が魅力だ。

ダイヤルは大胆に抜かれたスケルトンが特徴。中央の3つのオープンワークが軽やかな動きを生み、12時位置に配された音叉マークが「クラシック サットン」の品格を印象づけている。

外周部にはペルラージュ仕上げを施し、クラシカルな佇まいにモダンなアクセントをプラス。細部の意匠にまで手をかけることで、伝統と現代性が自然に溶け合うデザインへと昇華されている。

また、ケース径は従来の43mmから40mmへと小径化し、多列ブレスレットと相まって、腕になじむモデルへとアップデートを遂げた。

ケースバックは、ムーブメントの動きを堪能できる裏スケ仕様。マリンスター同様、精巧な機構を“見て愉しむ”ことができるのも魅力だ。

言うまでもなく、時を刻む機械の鼓動を眺める行為は、機械式時計のオーナーの特権であり、その喜びを日常の中で感じさせてくれる仕上がりとなっている。

■カシミヤの上質さに寄り添うエレガントなブルースケルトン

カシミヤのコートを主役にした、ラグジュアリーな冬の装い。インナーにはツイードベストとレザーシャツを重ね、異素材のレイヤードで奥行きをつくっている。その上質な素材感に負けない存在感を放つのが「96A331」だ。

深みのあるブルーダイヤルにスケルトンデザインが配され、クラシカルでありながらモダンな印象を添える。また、ステンレスブレスの硬質な質感が、柔らかなコート地と響き合い、装い全体を端正にまとめ上げている。

コート 29万7000円/ヘリル(にしのや)、ベスト 4万6200円/J.プレス オリジナルス(J.プレス & サンズ 青山)、シャツ 13万7500円/アルマ(ノウン)、パンツ 2万9700円/バーンストーマー(ヘムトPR)

▼上品さと抜け感を兼ね備えた、軽やかなグリーンモデル

グリーンダイヤルが印象的な「96A329」。鮮やかな表情の中にも穏やかさがあり、腕に乗せると想像以上にしっくりと馴染むのが特徴だ。

自然を想起させるこの色合いは、グリーンのニットとリンクすることで統一感が生まれ、スタイル全体をやわらかく包み込んでくれるだろう。

ブルゾン 13万2000円/アルマ(ノウン)、ニット 8万300円/ヘリル(にしのや)、パンツ 5万2800円/ニート(にしのや)

▼ホワイト×ネイビーの正統派モデルが冬のジャケットスタイルを引き立てる

ネイビーのレザーストラップに、ホワイトを基調としたダイヤルが映える「96A330」。クラシック サットンの中でも、もっとも正統派といえるデザインだ。ゆえに、ジャケットとシャツを合わせた硬派なスタイルにも、すっと馴染む。ホワイトとネイビーのコントラストが、装いに清潔感と知的な印象を添え、重くなりがちな冬のスタイルを軽やかに整えてくれるのだ。

そして、機械式としての完成度を考えれば、6万円台という価格も魅力的。手にした瞬間、そのバランスの良さにきっと納得できるはず。

ジャケット 7万2600円/J.プレス オリジナルス(J.プレス & サンズ 青山)、シャツ 4万8400円/マナベ(ヘムトPR)、タートルネックカットソー 3万3000円/ヘリル(にしのや)

■時代が変わっても、選ばれる理由がある。その確かさこそブローバの価値だ

日常に溶け込みながら長く付き合える一本を求める人にとって、ブローバの新作はまさに好適だ。堅実な機械式ムーブメント、緻密なデザイン、そして150年にわたって培われてきた信頼。そのどれもが、普遍的な時計づくりの価値を物語っている。

しかも、これほどの完成度を備えながら、すべて10万円以下という現実的なプライスレンジなのも特筆すべきポイントだ。気負わず選べて、長く愛せる。そんな“今の気分”に寄り添う時計がここにある。

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ブローバでは現在、「ブローバ 150周年記念キャンペーン」を開催中。2026年1月12日までの期間中、対象店舗でブローバの時計を購入すると、150周年ロゴ入りのオリジナルトートバッグがプレゼントされる。

ブラックのキャンバス地にシンプルなロゴをあしらったトートは、普段使いしやすいサイズ感で、ちょっとした外出にもぴったり。詳細はブローバ公式サイト、またはキャンペーン実施店舗で確認してほしい。

>> ブローバ 150周年記念キャンペーン

<取材・文/若澤 創 写真/村本祥一(BYTHEWAY) スタイリング/井上裕介>

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