モノ系Webメディア「GoodsPress Web」で10年近くオーディオを担当している円道です。なんて自己紹介をしていてなんなんですが、実は耳穴に突っ込むカナル型イヤホンとノイキャン機能があまり得意ではありません。
そもそも耳が塞がれるのが苦手なことや、無音や音楽だけより適度にノイズがある状態(カフェや深夜のファミレスみたいな環境)のほうが集中できる、ということも関係しているんだと思います。
だからもっぱら自宅ではヘッドホンを愛用中。在宅勤務時のオンライン会議なんかは必ずヘッドホンを使っています(もちろんイヤホンも持っていて外出時にはちょいちょい使ってますよ)。
そんな人間だからこそ、ここ1年ほどのオープンイヤー型発売ラッシュは歓喜。周りの音が聞こえつつ、音楽も聴ける。これ、まさに求めていた、ってやつです。
これまでも発表会などでたくさん試聴してきましたが、そろそろひとつオープンイヤー型を持とうかなと思っていまして。Amazonのブラックフライデーもあることだし、そこで買っちゃうのはアリかもなんて考えたわけですが、やっぱり買う以上は当然ながらちゃんと選びたい。いくら試聴したとはいえ、短時間だけではなかなか良さがわからないし、やはり実際に使う環境で試してみたい。
そこで「個人的なことで大変恐縮なのですが、もし可能ならサンプルを1週間程度お借りできないでしょうか」なんてご相談をしたわけです。お相手は、NTTソノリティ。“nwm(ヌーム)”というブランドでオープンイヤー型のイヤホンとヘッドホンを展開していて、以前発表会で試したオープンイヤー型ヘッドホン「nwm ONE」に衝撃を受けたことをよく覚えていました。
てなわけで、おそるおそるメールしてみると、なんと「OKですよー。なんならイヤホン2モデルも含め、3モデル試してみてください」と3つも送ってもらえることに。ありがてぇ。ホントすいません。

数日後には、ヘッドホンの「nwm ONE」に、耳掛け型イヤホン「nwm DOTS」、ネックバンド型イヤホン「nwm GO」が届きました。ではさっそく試していきますか。
■ストレスフリーな使用感
基本は在宅勤務なので、まずは「nwm ONE」(3万9600円)から。
▲新発売の新色ファントムグレイを発売前に送ってくれた。全体的にスケルトン仕様になっていて、ハウジングの内部の基盤が見えるのがガジェット感があっていい
音を出すハウジング部分は完全に耳から浮いています。だから家の中の音もしっかり聞こえる。ヘッドホンでこれって、やっぱり新感覚だわ。
気になる音質ですが、予想外に低音をしっかり感じます。低音は指向性が低いため、密閉しないとどうしても周囲に流れてしまいますが、そこまでの減衰を感じない。搭載している12mmと35mmとふたつのドライバーのうち、35mmのドライバーがウーファーとのことで、これがよく効いている印象。いい感じ。
▲PC作業中のお供に。オンライン会議でも使用
装着感も上々。側圧(締め付ける力)が絶妙で、キツくなく緩くもない。イヤホンと比べると当然ながら重さはありますが、それでも約185gとヘッドホンとしては軽い部類なので、慣れれば気になりません。またマルチポイント接続対応で2デバイスまで接続しておけるので、常にPCとスマホにつなげていました。
2日目以降は慣れてきたから、ズーッと着けっぱなし。家族との会話も問題なく、もちろん玄関チャイムもちゃんと聞こえます。
▲真剣な顔してますが作ってるのは…
だからランチを作る時も(ラーメンなんですが…)着けっぱなし。なんなら食べる時も着けっぱなし(誰もいないから許して)。近所のコンビニに行くときもそのままでした。それもこれも、着けていて快適だからなせること。決して横着だからというわけではありませんよ、決してね。
そもそも音楽再生時で約20時間駆動なので、これだけ着けっぱなしでも2~3日充電しなくてもいいわけです。ヘッドホンならではの魅力ですね。それによっぽど大音量にしないかぎり、周りに音が漏れていないのも確認したので、外出時も安心して着けられます。これは“PSZ”っていうNTTの特許技術の効果です(詳細は後述)。
あと、着けっぱなしだからこそ感じたのが、耳が蒸れないこと。ヘッドホンの弱点が蒸れやすいことだったから、これはうれしい。夏でも着けられるって、かなりの高ポイントかも。
在宅メインで最も長時間使っているのがヘッドホンだから、やっぱりこの「nwm ONE」が本命か?
■気になる音漏れも問題なし
お次は出勤時にイヤーフック型イヤホン「nwm DOTS」(2万4200円)をお試し。

メガネユーザーにとってイヤーフック型のイヤホンって相性悪いと思っていたんです。どうやってもメガネのテンプル(つる)と干渉してしまうので…。ところが意外や意外、問題ありませんでした。
「nwm DOTS」は基本仕様として、ズレ防止用に丸いシリコーン製のテールチップというパーツを取り付ける必要があります。これがメガネのテンプルと当たりそうだなーと思っていたら、どうも最近新たなオプションパーツが登場したとのこと。それがこの「テールフック」(1100円)です。
▲右がテールチップ、左がテールフック
▲フック部分に挿し込むだけでOK。シリコーン製だからイヤホンから外れることなく、耳裏にもしっかりフィット
イヤーフック型って、前から後ろにフックを回転させるように装着するんですが、テールフックにするとメガネに干渉せずスムーズに回ってくれます。これ、いい。
▲しっかりフィットして引っ掛ってくれるのにストレスは感じない
しかも結構長いから、しっかり耳に引っ掛かっている実感があります。なんと今なら、公式ストアで製品本体を購入すると、テールチップに加えこのテールフックも付属されるとのこと。両方あると、自分好みの付け方でフィット感を調整できるからありがたいですね。

街の雑踏も感じつつ、お気に入りの音楽やポッドキャストを聴く。ヌームって“耳スピ”(=耳スピーカー)っていうキャッチフレーズがあるんですが、まさしくそんな感じ。流している音楽が、日々活動している中でのBGMになり、ちゃんと聴くこともできる。
気になる音漏れは、電車の中で適切な音量なら、まったく問題ありませんでした(一緒に移動していた同僚に確認済み)。

メーカーの説明によると、要は「耳周辺狭い範囲に音が留まるから、音漏れしづらい」とのこと。
NTT独自の「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」技術。ある音波(正相)に対し180 度位相を反転させた波形(逆位相)を重ねると音が消える原理を応用。独自のハードウェア設計により耳元の一定エリアに音がとどまるため、耳をふさがなくても周囲への音漏れを抑えます。
[出展:nwmについて › テクノロジー https://nwm.global/pages/technology#personalized-sound-zone]
逆位相の音をぶつけるというのはノイキャンに近いイメージですが、それを空間に適応させるというのが新しい。ということで、移動時も安心でした。
■気持ちの良い装着感
最後は、最近ウォーキングから徐々にランニングへと移行し始めたからこそ気になっていたスポーツ向きイヤホン。ヌームの中ではネックバンド型の「nwm GO」(1万6500円)になります。
▲指一本でも重さを感じない、たったの約20g
ネックバンド型ワイヤレスイヤホンって、完全ワイヤレスが主流になる前は“ワイヤレスイヤホンといえばこれ”みたいな存在でした。使わない時に首にかけられるから個人的には好きなんです。
しかもこの「nwm GO」、とにかく軽い。たしかにこれなら体を動かしている時もストレスないかも。
▲メガネとの干渉もほぼ感じない。しっかり耳に掛かっているが、掛けているのを忘れるような軽い装着感
キャップをかぶっていても問題なし。ネックバンド部分が黒なので、目立たないのもうれしい。装着時の快適さは3モデルのなかでトップかも。さすがスポーツ向きだけはあります。
▲ランニングというよりはジョギング、むしろほぼ早歩きレベル?
お気に入りの曲を流していると、本当に気持ちよく走れます。それに、周囲の音が聞こえるってのは安全面を考えると大事。そしてIP55の防塵防水性能があるから、突然の雨でも汗をかいても問題なし。寒くなってきてほぼ汗をかかなくなりましたが、夏なんかはダクダクになるので助かります。あとネックバンド型だから、汗をごしごし拭きたい時に、首にかけておけるのもいい。
ちなみにこのネックバンド、肌当たりが良くてぐにぐに曲がるんですよ。こういう部分って装着感の良さ、気持ち良さに直結するから、かなり重要です。
■結局、どれを選んだのか?
ということで1週間、3モデルを使い倒してみたわけですが、まず思ったのが、着けっぱなしでいられるヌームって、オーディオデバイスではなくウエアラブルデバイスに近いなということでした。
「音楽を聴く」「動画を観る」「オンライン会議をする」そして「周りとコミュニケーションをとる」。自宅で家族と、会社で同僚と、お店で店員さんと、さらにはスマホを介してAIとだってコミュニケーションできる。これも、着けっぱなしだからこそ感じたことで、だからこそ装着感の良さって大事だなとわかります。
ちなみに「nwm ONE」と「nwm DOTS」は、“Magic Focus Voice(マジックフォーカスボイス)”という雑音が多い環境でも自分(話者)の声を特定し、さらにノイズを除去してくれる特許技術が搭載されています。
でも、いくらブラックフライデーでお買い得になるとはいえ、予算的には買えるのはひとつだけ…。
▲どれにするんだい?
1日ほど悩んだ結果、決めたのは「nwm ONE」でした。
まず新色ファントムグレイのスケルトンがかっこいい(笑)。そこかよ! と思うかもしれませんが、着けていて存在感があるヘッドホンだからこそ、見た目は大事。あと、基本が在宅勤務で仕事中はほぼ着けっぱなしと考えると、約20時間の長時間駆動は助かる。

装着感の良さという意味では3モデルどれも甲乙つけがたいものでした。ただ、「充電頻度が少なくて済む」だったり、「首に掛けられる」だったり(これは「nwm GO」もですね)、低音の効きが最も良いため「音楽をしっかり楽しめる」だったり、そういった部分も含めての“快適さ”だよなと実感。そういう視点から見た結論が「nwm ONE」でした。
ちなみに、お得なキャンペーンとして、nwm公式ストアでは、LINE公式アカウント友だち追加で耳スピが20%オフになるキャンペーンが実施されるとのこと。さらに、Amazonのブラックフライデーではそれぞれ約20%オフになり、「nwm ONE」は3万1482円に。「nwm DOTS」が1万8810円、「nwm GO」は1万3167円(すべて税込)になっています。気になっていたという人は、要チェックですよ。
>> nwm(ヌーム)
<取材・文/円道秀和(GoodsPress Web) 写真/逢坂 聡>

円道秀和|&GP編集部所属。担当ジャンルはITデジタル、オーディオビジュアル、ホビー他。好きなものはコーヒー、旅行、キャンプ、乗り物全般、カレー、ラーメン、アジアのローカル料理、小さいギア。好きが高じてSCAJコーヒーマイスターの資格を取得































