眼鏡の聖地・福井県鯖江市にある眼鏡市場のマザー工場「キングスター」に大潜入!

【メガネトップ20周年特集-後編】

ひとつの眼鏡を作るための工程は、なんと約250もあるという。眼鏡市場で販売する国内向けチタンフレーム商品を主に生産するのが、キングスターと呼ばれるマザー工場だ。

製造から販売まで一貫して行う眼鏡市場だからこそ、工程を見れば、“お客様第一主義”にそった職人の熟練の技術と品質管理の徹底度が見えてくる!

キングスター工場・次長/林さん
2000年に入社。店舗販売、商品部を経て2009年よりキングスター工場に勤務。2022年より次長として工場運営に携わる。

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「めがねのまち さばえ」として知られる福井県鯖江市では、国内生産の眼鏡フレームの約95%をシェア。ちなみに、福井県にある眼鏡の関連企業は216社にものぼるという。そんな鯖江で、約4万本/月を生産するのが眼鏡市場のキングスター工場だ。工場次長・林さんは語る。

「世界一、品質の高い商品を作ることに注力している工場で140名が働いています。ただ、眼鏡の工程は約250工程あると言われていますが、決してこの工場だけでは眼鏡は作れません。周辺には何社も関連工場があり、多くの人が関わることで眼鏡が出来上がっているんです」

キングスター工場では、新製品の設計から発送まで、一貫して行われている。その工程においては100分の1ミリ単位での精密さが求められているため、熟練した技術と、徹底した品質管理が求められるのが特徴だ。

「“お客様が安心して長く愛用できるもの=品質の良いもの”を、スタッフが胸を張って提案できるよう“お客様第一主義”で作ってきました」(林さん)

キングスターの徹底したモノづくりへのこだわりは、店舗でのお客様の声をフィードバックすることで商品開発に活かされ、改良を繰り返しながら、厳密な品質管理に反映されているのだ。

▼キングスター ここがすごい!

年間出荷本数:約200万本(委託生産含む)
国内生産のシェア:30%以上
工場で働く人:140人
製品が販売される店舗数:1035店
広さ:5670㎡

■キングスターが誇る“お客様第一主義”の生産工程

▼1[設計]:新作の企画を元に仕様を決定し、製図図面を作成

▲設計から販売まで社内で一貫して行う眼鏡市場は、工場内に設計部が存在し、年間200本近くを設計。新しい材質や構造のものは3Dプリンターで模型を作ってチェックしたりもする

▼2[プレス]:チタン材から切り出した材料を眼鏡の部品の形にしていく

▲眼鏡の材料となる長い棒状のチタン材をプレスし、切り出した部品の表面を削る“ 粗つぶし”と呼ばれる作業中。これで、より精度の高い部品にする。周りの金型を傷つけてはいけないので集中力が必要

▲眼鏡のどこの部位かお分かりだろうか? こちらは、“ブリッジ”と呼ばれる鼻に当たるパーツ

▼3[工作]:“治具”と呼ばれる加工用の道具を作る

▲こちらはリム(レンズ周りの部分)の治具。精密な部品を作るためには、精密な治具を作ることが肝心!

▲さまざまなモデルに合わせて「治具」と呼ばれる専用の加工用道具( 金型)を作っているところ。オイルを流し込んだ放電機のなかに銅を入れ、放電することで溶かしていく

▼4[切削]:切り出したパーツをミリ単位で研磨するなど、プレス品の2次加工

▲眼鏡の耳にかかる部分“テンプル”の合口を切断して いるところ。右上は、研磨する機械にかけて“バリ(※小さなでっ ぱりのこと)”を磨くことで1本1本をキレイにしていく工程。100 分の1ミリという単位の精密さを狙っているので、磨きすぎても、 角が丸くなりすぎてダメ。高い品質を保つため、できるだけ均一に するための技巧が光る

▲左が加工前のテンプルで、右が加工後のもの。こうした非常に細かい作業がすべて、より品質の高い製品へとつながっていく

▼5[組み立て]:部品を溶接(ロー付け)し、眼鏡の骨格(白枠)を作る

▲眼鏡のブリッジとリムを溶接(ロー付け)する工程。眼鏡の下に敷いた板が銅になっており、通電させることで接着する。接着剤となるのは“チクニ”と呼ばれる、チタン・銅・ニッケルの合金を使用

▲だんだん眼鏡の形になってきた! 部品と部品がねじれないよう、図面通りに付けるのが難しい作業だ

▼6[仕上げ]:眼鏡の骨格(白枠)を磨くなどの工程を経て完成品にする

▲工程の過程で出来てしまった細かいキズを、指先の感触を頼りに研磨していく。機械を当てすぎて金属が凹んでしまわないように慎重に行われる。このあと、全体的なツヤ出しも行う

▲赤いシールが付いている部分がキズ。まだ加工が必要と判断されたものに関してはキズがなくなるまで研磨をし、質感をあげていく

▼7[検査]:傷や歪みなどがないか最終的なチェックをする

▲図面を見ながら、図面通りに左右のバランスが取れていて、テンプルの開き具合が正しい角度か、鼻パッドの角度はOKかなどを確認する作業。ねじれの修正なども行われ、歪みがある場合はすべてを直していく。“ 調子を取る”工程と呼ばれるが、もっとも熟練した技術の職人が携わる。まさに画竜点睛。眼鏡の最終的な見た目はここで決まるのだ

▲パーツの傾斜角度なども最終確認。新型を出す場合は“ 破壊テスト”を行い、1万回の開閉ほか、ひねったりとかなり強い力を入れて壊れなければ、合格となる

▼8[梱包・発送]:梱包した商品を注文の通りに全国の店舗に送る

手際よく袋や箱に入れていく作業。箱に入れた商品はいったん棚に収められ、店舗からの発注にしたがって、棚から取り出されて発送。すべてバーコードで管理され、約4万本/月が全国の店舗に!

▲発送作業は、見惚れてしまうほどの迅速さで、てきぱきと行われていく

■直径わずか1.4ミリ。眼鏡の完成度を左右する小さなパーツは専門の工場で作られている

フクオカ精密は、眼鏡市場のネジ、ワッシャー、ヨロイ(フロントとテンプルをつなぐ部分)の2次加工などを行う、鯖江の関連企業のひとつ。ネジを作る際にも、チタンの熱を最小限にとどめるために、切削油と呼ばれる油をかけながら削ることで、刃物がヘタレにくくなるので、均一の品質が保たれるという。品質はこうした細部に宿るのだ。

▲鯖江の関連工場フクオカ精密(株)

▲ネジの直径はわずか1.4ミリ。ネジひとつをとっても、いくつもの工程を経て作られている

 

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<取材・文/GoodsPress編集部、撮影/河田浩明>

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