■靴磨きの前半は靴を長く履くためのお手入れ
伺ったのは、東京・青山にある靴磨き&修理専門店「ブリフトアッシュ青山」。今回は特別に、シニアクラス職人の北見さんに靴磨きの全ての工程を見せていただきました。これが靴を磨く前の状態です。どう変わるのでしょうか。楽しみです♪
▲つま先は傷が少し目立ちます
ブリフトアッシュ青山では、全部で「15の工程」で靴磨きを行っています。まずは靴紐を外すところからスタート。
1.紐を外す

「紐は全部外さず、一番下は残し、靴の中へ入れます。タンがくっついているタイプの靴は、紐を全部外してしまうと一番下の穴に紐が通しにくいので。そして、アルコールを付けたコットンで、靴の内側、特につま先の内側のホコリをきれいにしていきます」
2.ヤスリでコバを整える
▲新品の靴以外はぐるっと一周コバにヤスリをかけます
「次にコバ(靴底の横の部分)をヤスリで整えます。ここの部分は靴から出ている部分なので削れたり色がはげたりしやすい。この部分も硬い革なので、水を少しつけてヤスリをかけてなめらかにします」
3.馬毛ブラシでホコリを落とす
▲馬毛は毛足が長くて弾き飛ばす力が強いので、ホコリを落とす時に最適
4.以前に塗ったクリームやワックスを落とす
▲クリーナーを使ってすっぴんの状態に
「靴用のクリーナーと布を使って、以前に塗ったクリームやワックスを落とし、一度完全にツヤがなくなる状態にします。使用する布は専用のものもありますが、Tシャツやシーツなど、どんな布でもいいです」
5.コバ用のインクでコバに色を入れる
▲黒、こげ茶、茶色などのコバインクの中から靴に合うものを選んで使用します
6.乳化性のクリームで補色し、革に栄養を与える
▲クリームは全体にまんべんなく。一度に全て塗ってしまうのではなく、クリームを少し手にとってのばし…を繰り返しながら塗っていきます
「革に栄養を与えてくれる乳化性のクリームを指で馴染ませます。指で塗った方が体温でクリームがなめらかになり、馴染みやすくなります。このクリームは色がついているので、靴の色に合わせて選びます。革に栄養を与えつつ、色を入れてくれるので、履き続けた靴が補色されて色に深みが出てきます」
7.豚毛ブラシでクリームを浸透させる
▲クリームを革の中に浸透させたいのでかなり力強くゴシゴシとこすります。ここで力いっぱいブラシを入れているだけでツヤが出てきます
「工程6ではまだクリームをのせただけの状態なので、豚毛ブラシでしっかりブラッシングしてクリームを中に浸透させていきます。靴磨きではこの作業が一番大切。栄養をしっかり入れて革を柔らかくさせておくことが、靴を長持ちさせる秘訣ですので」
8.コバの隙間に色を入れる
▲コバとアッパーの間に乳化性のクリームで色を入れます。コバの隙間も補色
9.余分なクリームを布で拭き取る
▲表面に残ったクリームを空拭きします
「クリーナーの時に使った布で、表面に残ったクリームを落とします。表面に多少はクリームが残っているので、それをきれいに拭き取ります」
ここまでがお手入れ。ここから先がワックスを使っての仕上げです。






































