どこが進化した?「iPhone 14」シリーズへ機種変更するメリットをおさらい

■チップセットはiPhone 13 Proと同じ

iPhone 14/14 Plusは、チップセットに5コアGPU版のA15 Bionicを搭載します。これは、2021年秋モデルのiPhone 13 Pro/13 Pro Maxが搭載していたものと同じです。

ただし、実際にベンチマークアプリの「Geekbench 5」を走らせてみると、ベンチマークスコアが旧モデルと完全に一致するわけではありません。iPhone 13 Pro Maxと比べると、GPU性能に少し差があります。

▲Geekbench 5でのCPUスコア

▲Geekbench 5でのCompute(GPU)スコア

とはいえ、iPhone 14の性能はベンチマークスコアをみる限りかなり優秀。重めのゲームアプリを使ったとしても、一般ユーザーが不満に感じることはまずないと思います。

ちなみに、iPhone 14の最小ストレージは128GBから(これは13シリーズと同様)。256GB、512GBも選択できます。

iPhone 12以前のモデルでは最小容量は64GBだったので、「すぐ容量がいっぱいになって困ることが多かった」という人も少なくないでしょう。iPhone 14に機種変更した場合、最小容量でも約2倍のストレージ量があることになりますので、容量整理に煩わされる頻度も少し減ることでしょう。

 

■動画撮影時の手ブレを強烈に補正してくれるカメラ

ユーザー視点において、iPhone 14シリーズで注目しておきたいのは、カメラ機能の強化です。特に(1)Photonic Engineの対応、(2)アクションモードを有効にした動画撮影、などは目立つポイントと言えます。

▲背面カメラはメイン(12MP、26mm、ƒ/1.5)、超広角(12MP、13mm、ƒ/2.4、120°)のデュアル構成

iPhone 11シリーズ(iOS 13.2以降)では、「Deep Fusion(ディープフュージョン)」という画像処理機能(撮影時に露光時間の異なる計9枚の画像を合成する処理)によって、ノイズを抑え、ディティールの精細感をアップさせた静止画を実現していました。

iPhone 14シリーズのPhotonic Engineは、このDeep Fusionを応用・発展させた処理であり、センサーが取得したデータが静止画のデータに合成される過程の早い段階で、複数枚の画像合成を行うというもの。こちらもユーザーが操作として気にする必要はありません。

ざっくり言うと、光量の足りない箇所を自動で補正してくれる機能です。中低照度で撮影された場合に、超広角カメラで最大2倍、TrueDepth カメラで最大2倍、新しいメインカメラで2.5倍明るくなるとされています。

ただし、実際にiPhone 13とiPhone 14で静止画を撮り比べてみても、多くの場面で写り方はさほど変わりませんでした。

▲iPhone 13と14の作例比較。どちらも綺麗に撮影できているので、実感できる差は少ない

▲暗い箇所を拡大したもの。iPhone 14の方が水面に移る枝が明るく見える気がするが…

次に、動画撮影における「アクションモード」。これは、ユーザーが任意でオン・オフを切り替えて使う機能です。同機能をオンにすれば、撮影した動画が、まるでジンバルを使用したかのように、ブレのない仕上がりになります。

▲アクションモードはカメラアプリ内のUI(赤線囲み部分)でオン・オフを切り替えられる

これは従来でいうところの「手ぶれ補正」というレベルではなく、歩いて撮影したときに生じる上下の揺れなどをほぼ感じさせなくさせるという強力な補正です。もし撮影者が走ったとしても、画面の揺れは最小限に抑えられます。

歩きながら、iPhone 14でアクションモードをオンにして撮った動画(左)と、iPhone 13で撮った動画(右)と比べてみると一目瞭然です。

▲左がアクションモードありのiPhone 14で撮影したもの。右のiPhone 13と比べてガタツキが軽減している

一般的には、数年おきに新モデルを購入することになると思います。iPhone XSやXR、11などを愛用してきた人が、iPhone 14に機種変更したら、カメラ機能の進化を感じられるはずです。歩きながら動画を撮影する機会が多い人にとっては、iPhone 13からでも乗り換えて良いんじゃないかと思えるくらいです。

ちなみに、上述したほかにも、シネマティックモードで4K・HDRが撮影可能になっていたり、インカメラがAFに対応していたり、F値が変わっていたりします。細かな進化点はいくつもあるので、カメラ好きな方はチェックしてみると良いでしょう。

 

■バッテリー持ちはしっかり向上

iPhone 14シリーズはバッテリー持ちが向上しています。例えば、ストリーミングでのビデオ再生時間を従来モデルと比べてみると、以下の通りです。

  • iPhone 11:最大10時間
  • iPhone 12:最大11時間
  • iPhone 13:最大15時間
  • iPhone 14:最大16時間
  • iPhone 14 Plus:最大20時間

iPhone 13→14への機種変更をしても変化は1時間ほどですが、11→14へ機種変更したとすれば、変化は6時間分もあります。そもそも長く使った機種はバッテリーの最大容量も減ってしまうもの。最近バッテリー持ちが悪いと感じている人は、iPhone 14に変更することで、スタミナの悩みが改善されるかもしれません。

 

■衝突事故検出機能が追加

iPhone 14シリーズでは、新たに衝突事故検出機能も備えました。新しくなった加速度センサーを中心に、複数のセンサーを連動させ、事故の衝撃や、気圧の変化、音などを総合的に捉える仕組みです。

通知が表示されたのち、もしユーザーの操作がなければ自動で緊急SOS通報が発信されます。さすがに同機能は検証できていませんが、万が一に備える意味ではありがたい機能と言えるでしょう。

もちろん、日本国内の都市部においては、事故の当事者が緊急通報をせずとも、目撃者が緊急通報をしてくれる可能性が高いと思います。しかし、夜道や地方の人通りが少ない道を運転することが多い場合にとっては、そうとも限りません。そんな運転シーンが思い当たる人にとっては、同機能は“お守り”として心強い存在になりそうです。

*  *  *

パンチホール型のインカメラや48MPのメインカメラ搭載などがあったiPhone 14 Proシリーズと比べると、iPhone 14シリーズの進化はどうしても地味に見えます。

レビュー記事の構成としても、どうしてもiPhone 13と14の比較が多くなってしまうため、特徴は目立たなくなりがちです。

しかし、iPhone XRや11や12などから機種変更を検討する場合、ストレージやカメラ機能、バッテリー持ちなど、14シリーズで堅実な進化を感じられるポイントは多くあります。

円高で二の足を踏みやすいタイミングではありますが、手持ちの過去機種で困りごとが増えてきた場合には、買い替えを検討する価値は大いにあると思います。

>> Apple「iPhone 14」

 

<取材・文/井上 晃

井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter

 

 

 

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