ダラダラしながら動画を観たいならARグラス「Xreal One」はアリかも?

■現実的に使うには「固定視聴モード」への切り替えが必須

ただし、Xreal Oneを使って仮想のモニターを表示できるエリアの中央は、視野全体に対して、やや上方に偏っているように感じました。ゆえに快適に使うには、デフォルトのままではなく、「空間固定モード」への切り替えが欠かせません。

例えば、背筋を伸ばして、視線を水平な方向に向けてみてください。そこから顔の角度を変えずに、目線だけ少し上に向けます(前に手を伸ばして握り拳ひとつ分くらい)。別に数十秒使うなら問題ないですが、もしその視線の位置をキープしてYouTubeを20分観ろと言われたら、筆者は辛くてすぐにギブアップします。

ゆえに「空間固定モード」を活用して、仮想画面の中心位置を、視線をキープしやすい低めの位置に画面を表示し続ける工夫が必要というわけです。

調整なしでの表示位置イメージ

▲画面サイズや距離だけを調整しても、視線の位置が高くなった状態では、目の負担ゆえに長時間コンテンツを観るのは厳しかった

メガネの位置を下げようとしたときの見え方のイメージ

▲もし、メガネの位置(鼻での固定位置)を下げて、中央の位置を合わせようとすると、上部のフレームが邪魔になり、しかも画像の下端も画面外に見切れてしまいやすく、ほとんど見えなくなりやすい(もしテンプル部に自作の部品を追加するなどして、デバイスの角度を前傾させる処理ができれば、もう少し快適になるかも…)

▲現実的な解決策としては、「空間固定モード」を活用しつつ、なるべく画面の表示位置をギリギリ下端まで下げることで、視線の位置がなるべく並行になるようにするのが効果的だった。横向きの画面を表示させる状態なら、ある程度動画も観られると感じた

フレーム部にある赤いボタンを1度押しすることで、頭の向きに合わせて仮想の画面表示位置が移動する「追従モード」と、首の動きによらず一定の位置に画面を固定する「空間固定モード」の2つを切り替えられます。

もちろん、画面表示は下端が少ーしだけ見切れてしまうのですが、それでもかなり使いやすくなります。実際、この調整をすることで、筆者は数十分の動画も、数本視聴できました。

ちなみにXreal Oneに備わっているスピーカーは、Boseによるチューニングが施されていると謳うだけあって、なかなか良い感じ。筆者としても常用しているワイヤレスイヤホンを装着しているときと比べても体験差は少ないと思いました。

また、ディスプレイの解像度もとても良く、画質面でのストレスも一切ありませんでした。

Xreal Oneのボタン

▲右のフレームの下部に付いている赤いボタンを1回押しすることで、「追従」と「固定」の2モードを切り替えられる。2度押しすると設定メニューが表示される。長いボタンは輝度の変更や、メニュー表示時の上下選択など

▲赤いボタンを2度押しすると、Xreal Oneの画面に、こんな感じの雰囲気のオンスクリーンディスプレイ設定が表示される(※こちらは筆者が作成したイメージなので、UIの細部は異なる)。画面サイズや距離、IPDの変更、ウルトラワイドモードへの切り替えなど、各種設定の変更はこの画面を見つつ、フレーム部のボタン操作で行う仕組みだ

▲ちなみに、右のフレーム上部についているボタンを押すと、ディスプレイのオン・オフ切り替えが可能。オフにすると、仮想の画面が見えなくなり、普通のサングラスに近い雰囲気で、現実の空間がそのまま見える状態になる

*  *  *

Xreal Oneは、さまざまな利用法があるデバイスだと思いますが、筆者としては結局USB Type-Cポートを備えるスマートフォンに接続し、そのまま仰向けに寝っ転がって、ダラダラとストリーミング動画を観るのが一番良いかもなと思いました。

ディスプレイの解像度も、スピーカーのサウンドも良いです。しかも、布団で横になっていれば「もうちょっとフレームの角度がこうだったら…」という個人差の微調整も力技で行いやすいはず。

もちろん、価格は6万9980円と決して安いアイテムではないので、万人向けにオススメするものではありませんが、使い方のコツを掴めば、新しい体験を楽める一台ではあります。

なお、本稿では、細かいスペックなどについては割愛しましたので、興味がある場合にはメーカー公式サイト等でのチェックをお忘れなく。

>> XREAL

<取材・文/井上 晃

井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X

 

 

 

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