■DIYペイントは難しくない
塗装に用いたツールは「クルマを塗る」大仰なイメージより多くはない。ハケ、ローラー、水性塗料、バランサー(乾燥を遅らせる働きがあるうすめ液。水でも可)、非鉄バインダーα(鉄以外の素材に塗る下地液)、他はマステやグローブ、ウェス、ブルーシートくらいだ。
▲今回用意したタカラ塗料のDIYカーペイントの用品勢揃い。税込総額で2万7870円だった。カラーは「フレンチグレー」を3㎏(税込1万1930円)、水性塗料うすめ液「バランサー」(4750円)、「刷毛塗り全塗装用 刷毛・ローラーセット3人セット」(1万1190円)。このほかダスターやマスキング用ビニール、養生シートなどは別途用意しよう
結論から言うと、作業自体テクニックを要するか、つまり「難しいか」と聞かれれば、「かんたん」とは言えないが「難しくはない」。説明書をよく読み、手抜き、見落としなく進めればいい。以下に工程を追うが「それだけ?」と思うだろう。そう、やることはシンプルだ。
塗装前には油脂汚れなどを落とすべく洗車をして乾燥させておくこと。また降雨時の塗装はもちろんNGだし、暑すぎず寒すぎない日取りを選びたい。
■仕上がりは「下地処理が9割」!
▼ACTION-1
マスキングと足付け(やすりがけ)。ズバリこの工程が仕上がりを大きく左右することに、作業後に思い知った(笑)。マスキングは窓やウインカー、ライト、そのほか塗装しない部分をカバーしてゆく。この作業をいかに丁寧に行うかが肝要だ。テープが浮けばスキ間から塗料が入るし、まっすぐ貼ったつもりでも歪んでいれば当然仕上がりの塗り分けラインも歪む。
▲エブリイのような箱バンは直線基調であるためマステ作業はやりやすい。ただエンブレムや前後ライトなどの塗らない部品は外した方が作業性はいい
ボディの塗装面を600番程度の紙やすりでこすって荒らすことで、塗料の密着性を高める。むろん元の塗装をすべて除去する必要はない。表面を荒らすくらいでOKだ。
▲ツヤツヤボディに紙やすりをかける時は心が痛む(笑) 大きめのビニールなどでタイヤもカバーすべし
▼ACTION-2
マスキングと足付けがかなりの手間というのが実感だ。今回は窓から下をグレー塗装とし、元のボディ色である白との2トーン仕上げとするが、軽自動車とはいえバンタイプは表面積が大きいし、なにより屋根部分は高所作業となり大変だ。「バンタイプを塗ってみたい!」方、特にビギナーならば、2トーン仕上げを選択肢に入れるといいと思う。
▲前後の樹脂バンパーなど非鉄部品には塗料の密着性を高める「非鉄バインダーα」で下地処理しておく
足付けで出た削りカスや油分をふき取る「脱脂」作業を経て、樹脂バンパーなど鉄でない部品の密着性を高める「非鉄バインダーα」を塗る。非鉄部品で塗装するのは前後バンパーくらいだから、フタに付いているハケで充分作業できるだろう。そろそろ30分~1時間程度乾燥&一休みして、BESS見学といこう。
▲BESSでは家のほか小屋も設置している。写真は“建てるログ小屋”こと「IMAGO」とその内部
▼ACTION-3
いよいよ塗装だ。ゆっくり乾燥させたほうがきれいに仕上がるため、水性塗料にバランサーを混ぜる。
▲塗装に用いるタカラ塗料の用品一覧
塗装は5名の編集部員で、塗料、ハケ、ローラーを手にヤマケン号の各所に散開! ハケ、ローラーに塗料を含ませすぎず薄く手早く塗り広げるイメージで、まず全体を覆っていく。
▲1回目の塗装シーン。個性なのか性格によるものなのか、塗り手によって仕上がりに大きく差が出るところがおもしろい
オーナーのヤマケンはのちに「1回目を塗り終え時はこんな状態で大丈夫かと不安に思った」と言ったが、その通り、1回目は塗りムラが目につき心配かも知れないが大丈夫。レッツ重ね塗り!
▲1度塗りが右のスライドドアで、2度塗りが左の前ドア。ぜんぜん違うでしょ!
ここでランチとし1時間程度乾燥。戻って2度目の塗装をすると、ちょっと驚くくらい塗装面に均一性が出てムラがなくなっていく。「いいじゃん!」とヤマケン&ヒズフレンズ。
▲塗っていると自然に気持ちがノッていくのだ!
しばし後に「もう1回塗るぞ!」と3度目に着手する頃には、部員それぞれが塗装のコツをつかみ上達している。取材当日の東京は快晴&気温28℃と暑いくらいだったが、仕上がりが目に見えてよくなってくるので、みな気持ちがノッている。
そうそう「塗っちゃえクルマ! DIY塗装キャンプ」なんてイベントがあっても楽しそうだ。週末にキャンプ場に集まって、土~日でキャンプしながらクルマを塗装するのって、楽しいに決まってる!
▲3度目の塗装シーン。ハケさばき、ローラーさばきが上達しているぞ

































