■物理キーの数は妥当?

物理キーは18個ありますが、正直なところ、すべては使い切れていません。実際に使ってみると、「設定できる数」と「無意識で使える数」は別物。筆者の場合、最終的に常用しているのは12個ほど。それ以上になると、配置を意識しないと押せなくなり、効率が逆に下がってしまい、結果として使わなくなりました。「Keydial mini K20」は、キーが多いからそのまま便利、というタイプのデバイスではありません。自分が普段使っている操作が何個あるのか、その数が現実的に覚えられる範囲かどうか。そこを考えたうえで検討するのが良さそうです。
▲筆者のカスタマイズ。アプリごとに切り替えるプロファイル機能は混乱の元なので未使用
筆者はショートカットキーを6個、単独キーを6個と配置できているので、妥当な数かと思っていますが、こればかりは人によるところ、使ってみないと分からないところでもあるので一概に言えません。
■決定版とは言い切れないが確実に効率はアップした
正直に言うと、誰にでも無条件でおすすめできるデバイスではありません。普段からショートカットをそれほど使わない人や、操作を覚えること自体が負担になる人にとっては、オーバースペックに感じる可能性があります。あとはホイールを使っての細かい調整や操作をしたい人も別の選択肢があるかも知れません。
一方で、
- 日常的に複数のショートカットを使っている
- 原稿執筆や編集作業で細かな調整を繰り返している
- いちいちマウスから手を離す操作やマウス操作での微調整にストレスを感じている
- Enterなどキーボード右側のボタン操作を左手で行いたい
こうした人にとっては、作業の流れが確実に変わります。特に3つ以上のキーを同時に押すショートカットを多用しているなら抜群に作業が早くなるはず。ボタンひとつでできる快適さを知ってしまうともう元には戻れません。
▲ホイールを多用したい人は上下ひっくり返したポジションが使いやすい
ホイールは期待していたものではなかったですが、個人的には買ってよかったと思っています。少なくとも、コピペや元に戻すといった定番操作に加えて、EnterやBackSpace、Shift、Spaceを左手の最小限の動きで扱えるようになっただけでも、作業の快適さは確実に上がりました。
■余談:動画編集ではどうだったか
ちなみに筆者の場合、動画編集のために購入したような側面があります。なので、動画編集時の使い勝手も紹介しておきます。
動画編集は、Final Cut Proでの使用を前提にしていますのであしからず。結論から言うと作業の手数が減ったし、手元を大きく動かさずに作業ができるって思った以上に快適。
ブレード(Command+B)や切り貼りに直結する操作を近い位置にまとめることで、素材の分割と整理がテンポよく進みます。マウスを握った右腕をキーボードに戻す回数が減るだけでも、体感的なストレスはかなり軽くなりました。ちなみにホイールに期待していた横スクロールも、Shiftキーを配置することで対応。やっていることはこれまでのキーボードのShiftを押しながらマウススクロールと変わりませんが、最小の指の動きでできるようになったのは嬉しい。
一方で、加減が必要な操作はホイールが担当。タイムラインの拡大・縮小や、フレーム単位の細かい調整は、ダイヤル速度を低めに設定してホイールで行うのが相性良し。ただ、明るさなどのパラメーター変更は刻みが大きすぎてあまり使っていません。残念…。
総じて、動画編集における「Keydial mini K20」の強みは、切る・選ぶといった確定操作をキーに、拡縮やフレーム移動をホイールに任せられること。この役割分担をイメージできる人なら、編集作業の流れは確実に整います。
>>Huion
<取材・文/山口健壱(GoodsPress Web)>

山口健壱|キャンプ・アウトドアと動画担当。2年半ほどキャンプ場をぐるぐる回って、回り回ってGoodsPress Web編集部所属。“キャンプの何でも屋”としてキャンプを中心にライティング、動画製作、イベントMCなどを行う。工数の多い動画編集をどうにかして圧縮できないか四苦八苦しています。
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