■充電を移動プランに組み込むのがマスト
走行性能の次に気になるのが充電事情。充電方法は大きく2つあり、まず自宅に設置した充電設備を利用した充電。もうひとつが街中やSA/PAで見かける充電器を利用した充電です。
そもそも自宅で充電する場合、一般家庭用のコンセントからはできません。自宅で充電する場合は専用コンセントの設置が必要。夜間に充電しておけば、翌朝には100%にできるので、戸建てであれば間違いなく便利。所有するならぜひ設置したいと今回の検証を経て思った次第です。
▲普通充電器は約30分で数%だけしか充電できなかった。できれば急速充電器を探したいところ
もう一方の充電器を利用した充電については、普通充電器(3~6kWh)と急速充電器出力20〜150kW)の2つ。ただ、普通充電器は100%になるまで6時間以上かかることもあるので、出先であれば急速充電器を探して使うのが現実的。
▲充電器にも出力が様々あり、使用しているEVにより充電量が変わることも
急速充電は原則1回30分まで。車両側のバッテリー容量や充電器の出力によりますが、その30分でおおよそ残量0%から80%前後まで回復します。途中で止めることはできますが、80%前後まで充電するためには30分は必ずかかります。なので、時間に余裕をもった移動が必要になります。
また、充電ステーションが増えてきたとは言え、まだまだガソリンスタンドと比べるとその数は多くはありません。遠出をするなら出発前に目的地まで充電なしで行けるのか、途中で充電が必要ならどこでするかなど、プランをしっかり練っておくと安心です。街乗りオンリーであれば、生活圏内のどこに急速充電器があるかを頭に入れておくと良さそう。
急速充電器の場所をマップ上で検索できるアプリを活用する以外にも、各自動車メーカーの販売店に設置されていることも多いので、困ったときには訪ねてみると◯。なお支払いについては、スマホアプリやクレジットカード、QR決済などが可能な端末や、“充電カード”と呼ばれる月額料金を払うことで割安で充電ができるサービスなど、選択肢は様々。自宅と外出時、どちらで充電する機会が多いのかで選ぶと良さそうです。
▲普通充電は給電口上、急速充電器は給電口下を使用する。ノズルの形が違うため迷わない
ちなみに今回地味に手間取ったのは“充電できるホテル探し”でした。予約サイトの設備欄に記載がある場合もありますが、記載がないケースも多く、その都度ホテルの公式サイトを確認したり、電話で問い合わせたりする必要があります。このあたりは今後に期待したいところです。
■メーカーに直撃:日常使いでの「お金」と「安心」

無事に旅を終えた後、日産自動車の「サクラ」マーケティング担当の石田さんに、今回の旅で感じた疑問や、「維持費」と「トラブル」について直撃しました。
── 実際に872km走ってみて電気代の安さに驚きましたが、普段使いだとどれくらいお得なんでしょうか?
「サクラのバッテリー容量は20kWhなので、自宅充電の場合、電気料金のプランや地域にもよりますが、1kWhあたり約30円と仮定すると、空の状態から満充電にしても約600円程度で済みます。 ガソリン車よりも全然リーズナブルですし、自宅で寝ている間にスマホのように充電できます。さらにEVはエンジンオイルの交換も不要なので、メンテナンス費用も含めたランニングコストは劇的に抑えられますよ」

── 自宅に充電設備がないと導入は難しいですか?
「戸建ての場合は、自宅に専用コンセントを設置されている方が多く、そのうち約8割のオーナー様が10万円未満の工事費で施工されています。一方で、マンションにお住まいで自宅充電ができない方もいますが、そうした方は“生活圏内の充電”を活用されています。 今は全国に約4万口もの充電器があり、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどにも設置されています。“買い物のついで”に継ぎ足し充電することで、ご自宅に設備がなくてもお使いいただいていますね」
── もしうっかり充電し忘れて、電欠したらどうなりますか?
「まず、バッテリー残量が0%になっても、いきなり急ブレーキがかかったようにガツンと止まるわけではありません。出力は制限されますが、路肩に寄せる程度にわずかに移動する余力は残るように設計されています。その後、ニュートラル状態で停止します。 また、オプションの純正ナビには、目的地を設定すればナビ上に充電スポットを表示する機能があります。これらの機能を活用すれば、基本的に電欠のリスクは回避できるはずです」
* * *

755kmを走ってみて分かったのは、軽EVは万能ではないという当たり前の事実と、それでも使い方が合えば十分に成立するという現実でした。長距離を頻繁に走るなら慎重に考えるべきですが、日々の移動が中心であれば、軽EVは想像以上に快適で合理的な選択肢になります。少なくとも今回の755kmは、その判断材料としては十分な距離でした。
<取材・文/山口健壱(GoodsPress Web) 協力/日産自動車>
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