アナログとデジタルの“ちょうどいい間”を楽しめるFUJIFILM「X half」の魅力

■“ひと手間”が楽しい。撮ることに夢中になれる仕掛け

「X half」の最大の特徴は、「写真を撮る」という行為そのものへのアプローチにあります。なかでも印象的なのが、「フィルムカメラモード」と呼ばれる機能。好みのフィルムを選んで、撮影枚数を36枚・54枚・72枚のいずれかから選択。すると、そこから撮影がスタートします。

一度始めたら、設定した枚数を撮り終えるまで、撮った写真を確認することはできません。そして撮るたびに、カメラ上部のレバーをカチッと引いて、次のフレームへ。

まるで昔のフィルムカメラのような仕様に、最初はちょっと戸惑うのですが、この“手間”が意外と心地よかったりします。すぐに結果が見えないからこそ、シャッターを切る瞬間にちょっとだけ緊張感があって、「ちゃんと撮ろう」って気持ちにもなる。この便利さとは少し離れたこの仕様が、かえって撮影そのものの楽しさや、ノスタルジックな空気を運んできてくれるのです。

レンズは35mm判換算で約32mm。この焦点距離、実は「写ルンです」と同じなんです。そんなところにも、FUJIFILMがこのカメラに込めた、“ライフスタイルに溶け込むカメラ”という意図が感じられる気がします。

やや広めの32mmという画角は、スナップにもポートレートにも使いやすいちょうどいい広さ。スマホからのステップアップでも戸惑うことなく、すんなりと楽しめると思います。

「X half」は、縦構図が基本のカメラです。スマホのおかげで縦の写真もすっかり当たり前になったので、SNSとの相性もばっちり。

顔検出とか瞳AFとか、ちゃんと今どきの機能も入っていて、ピント合わせもスムーズです。そういうところは、きちんと現代っ子。

さらにユニークなのが、「2-in-1」機能です。「X half」という名前の通り、一枚撮影してからフレーム切り替えレバーを引くと、2枚1組の写真として記録されるしくみで、まるでハーフカメラのような楽しさがあります。

あとからアプリ上で、好きな写真を組み合わせることもできます。分割線の太さやデザインも選べるなど、機能面もかなり充実。

ハーフカメラのような2枚1組の構成は、ちょっとした物語を感じさせてくれたり、思いがけない組み合わせにクスッとしたり。撮っているときも、撮ったあとも、楽しみが続く仕掛けです。

■一枚の写真にたどり着くまでの時間ごと、まるっと楽しめるカメラ

「X half」は、写真を撮ることだけじゃなくて、その前も、後も、まるごと楽しませてくれるカメラです。見た目のかわいさや、撮るときのワクワクはもちろん、写りを確認するまでの“ちょっとしたドキドキ”や、誰かに見せたくなるような気持ちまで。そんな全部が、ちゃんとひとつの流れになっていて、気づけば「写真っていいなぁ」と思わせてくれます。

次回は、フィルムモードで撮った写真を見せながら、このカメラがどんなふうに“写真の時間”を広げてくれるのか、お話ししたいと思います。

>> FUJIFILM「X half」

>> 趣味カメラの世界

<取材・文・写真/田中利幸 モデル/久木田帆乃夏(@honoka_kukita)  取材協力/富士フイルムイメージングシステムズ>

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