秋まで待ち切れないぞ「GR Ⅳ」。その前に、もう一度「GR III」の楽しさを噛みしめておきたい

■「撮って出し」でもここまで変わる。“イメージコントロール”機能の底力

表現の幅をグッと広げてくれる“イメージコントロール”も、使っていて楽しい機能のひとつ。

「GR DIGITAL II」の頃とは比べものにならないくらい進化していて、JPEGでサクッと印象的な仕上がりになるので、撮ってすぐSNSにアップしたくなります。

イメージコントロールは、基本の12種類が用意されていて、そこからさらに自分好みに、彩度や色相、コントラストなんかを細かくいじれるようになっています。

今回はお天気に恵まれた中の撮影で、「ポジフィルム調」がバッチリハマりました。空の青さや、光の感じがどこか懐かしくて、モニターで仕上がりを見たときに、しばらく見入ってしまうほど。

▲ GR IIIx、シャッタースピード1/640秒、F4.5、ISO160、ポジフィルム調

ということで、ポジフィルム調で撮った一枚がこちら。晴天の順光で、空の青がパキッと強く出てるのに、どこかフィルムっぽい、懐かしい雰囲気があります。

なんだか、昔の旅行の写真を見返してるような気持ちになりました。

▲ GR IIIx、シャッタースピード1/100秒、F9、ISO250、ポジフィルム調

こちらも、本当にただのなんでもない風景なんですけど、不思議と目が止まる一枚になった気がします。

少し浅めの彩度に、ジリジリとした夏の陽ざし。強いコントラストがいい具合で、あの焼けつくような日の空気をそのまま閉じ込めてくれたような雰囲気に仕上がっています。

▲ GR IIIx、シャッタースピード1/15秒、F16、ISO100、ハイコントラスト白黒

コントラストを強めたモノクロにすると、なんだか一気に“ドキュメンタリー感”が増します。スナップシューターであるGRとも相性バッチリで、ただの看板でもちょっと意味深な雰囲気に。

今回はあえてシャッタースピードを少し落として、微妙にブレた感じを残してみました。不穏さがちょっとだけにじむ、そんな1枚になった気がします。

▲ GR IIIx、シャッタースピード1/125秒、F9、ISO1250、ハイコントラスト白黒

起動も早いので、散歩中に「あっ」と思った瞬間を逃さずパッと撮れます。本体はポケットに入るくらい小さいので、つい毎日持ち歩きたくなるんですよね。

「GR IIIx」の40mmという画角は、人の気配がふっと写り込むような、そんな街の雰囲気を切り取るのにぴったりです。

■“撮りたい”という気持ちに、いつでも応えてくれる一台

改めてGRを持って街を歩いてみると、普段なら通り過ぎていたはずの景色に目が止まるような、日常の中に潜む「撮りたい瞬間」を、さっとすくい上げられるのがGRの強みかもしれません。

「GR DIGITAL II」を使っていた頃も、たしかにそんな感覚がありました。でも、「GR III」や「GR IIIx」では画質も機動力もまるで別物。「これでいいや」じゃなくて、むしろ「これがいい!」と思える仕上がりになっているんです。

■“次の一手”はどうなる?「GR IV」に寄せる期待

「GR III」は、スナップシューターとしてはすでに完成の域にあると感じます。では、2025年秋に発売予定とされている「GR IV」には何を望むのか。

まず期待したいのがAF性能の強化。現行モデルでも顔や瞳の認識には対応していますが、動きのある被写体ではやや迷いや遅れを感じる場面もありました。特にポートレート用途で使うとき、人物認証の精度はもう少し高まってほしいと感じます。

もうひとつは、新しいセンサーとレンズによる画質面での進化。「GR III」、「GR IIIx」ともに描写力は申し分ありませんが、レンズ一体型だからこその最適化をさらに突き詰めて、“GRっぽさ”のブラッシュアップを期待したいところです。

いずれにせよ、次の「GR」がどんな景色を見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。

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<取材・文・写真/田中利幸 モデル/マナ(@_97ma09)  取材協力/RICOH>

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