レーサーレプリカ世代垂涎の新型登場! スズキ「GSX-R1000」が注目される理由とは

■レーサーレプリカからスーパースポーツへ

▲1994年型「GSX-R750SP」

「GSX-R750」は1992年からはエンジンが水冷化されます。レースでの戦闘力を高めるためにブラッシュアップも繰り返され、1994年には大径のTMRキャブやクロスミッション、乾式クラッチなどを装備した「GSX-R750SP」も登場しました。

▲2001年型「GSX-R1000」

その後、象徴だったダブルクレードルフレームがツインスパーに改められたり、フューエルインジェクション化されたりなどの進化を続け、2001年には排気量を拡大した「GSX-R1000」が発売されます。「GSX-R1100」は1998年をもって販売を終了し、1999年発売の「ハヤブサ」とこの「GSX-R1000」にその路線が受け継がれたといえます。かつてレーサーレプリカと呼ばれていたカテゴリーが、スーパースポーツと呼ばれるようになったのもこのマシンが登場した頃からです。

2003年からはスーパーバイク選手権の排気量上限が4気筒も1000ccに引き上げられたことで、レースでの活躍も「GSX-R1000」がメインとなります。初代モデルは最高出力163PSでしたが、モデルチェンジを経る中で2017年モデルでは202PS(欧州仕様)まで高められます。ただ、排出ガス規制に対応できないことから、北米など一部地域を除いて2022年をもって販売が終了していました。

▲2017年型「GSX-R1000R」

そんな中、発表されたのが新型の「GSX-R1000/R」。新型の投入はあってもサーキット向けのレースベース車に限られるのではないかと予想される中で、公道走行が可能なモデルとして登場してくれたことはうれしいニュースです。

▲新型「GSX-R1000」

新型の外観上の特徴になっているのは、近年流行のウィングレットを装備したこと。ダウンフォースを発生させ、コーナーからの立ち上がりなど加速時にフロントのリフトを抑制するパーツです。カーボンファイバー製で、仕向地によっては標準装備とされるとのことです。

エンジン内部はシリンダーヘッドからピストン、クランクシャフトに至るまで全面的に改良が施され、排出ガス規制に対応しながら高いパフォーマンスと耐久性を両立しているとか。電子制御も充実していて、車体の角度と車輪の回転数を検知して駆動力をコントロールする「ロールトルクコントロール」を搭載。リフトリミッターやトラクションコントロールとも連動して機能するので、コーナーでの安心感を高めてくれます。バッテリーは軽量・コンパクトなリチウムイオンです。

*  *  *

40年を超える歴史を重ねながら、レースシーンで鍛えられてきた「GSX-R」シリーズ。排出ガス規制がどんどん厳しくなるこの時代に新型をリリースしてくれたことは、バイクファンにとってはうれしい限りです。詳細なスペックや価格などは未発表ですが、国内での導入を心待ちにしたいと思います。

>> スズキ「二輪車」

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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