「ヂェン先生の日常着」を男性にこそ! 女性の間で絶大な支持を持つ台湾人服飾デザイナー・鄭惠中に、その変遷と「日常着」に込める思いを聞いた

■台湾から直接オンラインで購入できる「ヂェン先生の日常着」

ここまでに紹介したような思考・製法によって生まれる「ヂェン先生の日常着」は、レギュラーアイテムだけでも複数の服飾があります。たとえば台湾の公式オンラインサイト「時喜人文」より購入する場合、以下のようなアイテムがあります。

▲正方形シルエットTシャツ(M)NT$1500

【正方形シルエットTシャツ(M)】NT$1500(日本円で約7500円ほど)

筆者イチオシの日常着。その名の通り、正方形シルエットのTシャツ。Mサイズでもゆったりしていて、男性ならLサイズくらいまでの人がゆったり着こなせるはず。もちろん着心地も抜群。七分丈ほどの袖が、実に柔らかい印象を与えてくれ、春・夏・秋はTシャツの上にこれ1枚で随分とオシャレに。

▲マント厚手(ON SIZE)NT$4000

【マント厚手(ON SIZE)】NT$4000(日本円で約2万円ほど)

パーカーのようなマント。冬場、厚手のセーターに軽く羽織るのに良いでしょう。ワンサイズですが、こちらもゆったりしていて、S~Lサイズまでの人が自由に着こなせることでしょう。

▲開襟シャツ長袖薄地(M) NT$2000

開襟シャツ長袖薄地(M)】NT$2000(日本円で約1万円ほど)

「ヂェン先生の日常着」の定番アイテム。前ボタン式のシャツでカラーバリエーションも豊富。こちらもM サイズにして男性のS〜Lサイズまでの人が着られるはず。特に綿と麻の混紡を感じる自由な日常着です

▲冬バージョンの長袖ワークシャツ(M) NT$2000

冬バージョンの長袖ワークシャツ(M)】NT$2000(日本円で約1万円ほど)

袖口の広いゆったりとしたワークシャツ。厚手なので、冬場の室内着にぴったです。こちらもM サイズにして男性のS〜Lサイズまでの人が着られるはず。

リラックスパンツ厚手(M) NT$1500

リラックスパンツ厚手(M)】NT$1500(日本円で約7500円ほど)

ウエストゴムの入ったゆったりパンツ。イン・アウトを問わず着回せるオシャレな逸品。ガンガン履きまくることで「ヂェン先生の日常着」の真髄を感じられるかも?

これらは台湾の公式オンラインサイト「時喜人文」より購入した場合の価格で、別途送料が数千円分かかります。また、日本国内の取り扱い店でも同様のアイテムを購入することができますが、台湾からの購入よりも若干価格が割高になります。

ただし、日本からの別注品なども多くあり、また商品個々の問い合わせにも丁寧に応じてくれる取り扱い店が多いので、どちらが良いかは購入者次第といったところでしょう。

■「これからは服飾そのものだけでなく多くの人と接していきたい」

▲ヂェン先生の活動はさらなる未来へ

ヂェン先生によれば、今はまだまだ志半ばであり、これからも日進月歩で進歩していくと言います。

ここまでの前半生を振り返ると、台南で生まれ、服飾工場で模索し勉強していたのが第1の時代。そして、「ヂェン先生の日常着」そのものに思考を反映したのが第2の時代。これから先の後半はヂェン先生にとって、服を「媒体」として考えてさまざまな取り組みを行なっていくこれからの第3の時代。さらに、ここまでの3つのステップから、最終的には人々に癒しを与える第4の時代。……この4つこそがヂェン先生にとっての「これまでとこれから」だと言います。

「私が影響を強く受けた仏教では『無常』という『自分を忘れる』とか『命はいつでもなくなる』思考があります。当然奥が深い思考ですが、さらにこれからはキリスト教の思考に展開していきたいです。キリスト教でとても影響を受けたことは『自分だけが良ければいい』ということではなく、『自分と君の両方が良いことがいい』あるいは『みんな全員が良いことがいい』という思考です。

仏教は『無しの考え方』ですが、キリスト教は『有りの考え方』です。つまり、無しから有りへと思考を転換しながら、これから服飾そのものだけでなく、多くの人と接し、さまざまな活動をしていきたいと思っています」(ヂェン先生)

▲ヂェン先生にとっての「第4の時代」は、「無し」から「有り」の考えへ

日本では特に感度の高い女性から絶大な支持を得ている「ヂェン先生の日常着」ですが、「実は男性にこそ似合うのではないか」という筆者の考えについて、最後に意見を聞きました。

「先ほど言った通り、性別・職業・年齢をできるだけ限定しないように作っていますが、実は台湾では男性のほうが私の服を着ています。お坊さんの服を原型にしたものもあり、またお坊さんの中にも私の服を着ている方もいらっしゃいますよ」(ヂェン先生)

▲男性にも着て欲しい「ヂェン先生の日常着」

ヂェン先生にお聞きした話は、これまでは公式に語られる機会が極めて限られていたそうです。こういったことからも、その存在が一人歩きし、日本では特に結果的に「『ヂェン先生の日常着』は女性向けブランドだ」と誤解されていたところもあったようにも思います。

しかし、「ヂェン先生の日常着」は着る人を限定するものではなく、もちろん男性にも気軽に身につけられるもの。「くつろげて、自由で、そして欲張らない、平和な日常着」……それが「ヂェン先生の日常着」です。

<取材・文/松田義人(deco)>

松田義人|編集プロダクション・deco代表。趣味は旅行、酒、料理(調理・食べる)、キャンプ、温泉、クルマ・バイクなど。クルマ・バイクはちょっと足りないような小型のものが好き。台湾に詳しく『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)をはじめ著書多数

 

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