■操作感の心地よさとミニマルデザインのいい関係

コンパクトなサイズだからといって、操作感が損なわれていないのも、このカメラの魅力。レンズには絞りリングが備わり、指先でカチリと回すたびに心地よい手応えがあります。その質感が“カメラを操作する楽しさ”をしっかり思い出させてくれます。

日々の記録という目的では、意外と重要になるのが最短撮影距離です。本機は最短20cmまで寄れるため、被写体の質感をしっかり捉えるようなマクロ撮影にも対応。
ただし、最短距離で撮る際はレンズ先端を回してマクロモードに切り替える必要があります。慣れないうちは、マクロのまま通常撮影をしようとしてピントが合わず、少し戸惑うこともありました。
▲ソニー RX1R III、シャッタースピード1/2000秒、F2、ISO200、クリエイティブルック:ST
寄りの撮影でも、開放からピント面はしっかりとした解像感があり、シャープに写ります。開放F値は2.0とやや控えめではありますが、ボケを生かした表現も可能。背景のボケは滑らかで自然で、扱いやすさを感じました。

シンプルでミニマルなデザインながら、グリップはしっかり備えられています。
握りの深さはほとんどないものの、滑りにくいラバー素材で、思ったよりもしっかりとカメラを保持するのに役立ちます。

コンパクトなボディでありつつ、機能を割り当てられるカスタマイズボタンはしっかり用意されています。自分の撮影スタイルに合わせて設定を整えられる点は、大きな魅力です。なかでも便利だと感じたのが、シャッターボタン付近にデフォルトで設定されているステップクロップ撮影。
35mm単焦点のカメラでありながら、50mm・70mm相当の画角へワンタッチで切り替えられます。有効約6100万画素という高解像度を生かせば、70mm相当でも約1500万画素を確保でき、実用上の解像度としては十分。まるでズームレンズのように焦点距離を変えられる感覚で、気軽に使えるのが印象的でした。
この機能は、ぜひαシリーズにも搭載してほしいと思うほど。単焦点固定という制約を、高画素の力で柔軟に補ってくれる、非常に実用的な仕組みです。
■固定式モニターの潔さ

固定式のモニターは、ローアングルや自撮りでは少々使いにくさを感じる場面があります。ただ、その分ボディの厚みが抑えられ、全体のデザインもすっきりとしているため、大きな不満にはつながりにくい印象。
可動機構を省いたことで金属ボディの剛性感も高まり、手にしたときの質感や高級感にも寄与しています。

モニターが固定式だからというわけではありませんが、ファインダーが備わっているのも地味にうれしいポイントです。
個人的には、ファインダーを覗いて撮ると「撮影している」という実感がグッと高まるので、コンデジでありながらしっかりとしたファインダーを搭載しているのは好印象でした。
■普段使いでこそ光るフルサイズ
▲ソニー RX1R III、シャッタースピード1/2000秒、F3.2、ISO125、クリエイティブルック:FL
このカメラは、常に持ち歩きたくなり、ふとした瞬間にシャッターを切りたくなるカメラです。気軽に連れ出せるコンパクトさでありながら、画質はやはり見事。レンズ一体型だからこそ、センサーに最適化された緻密な描写が得られます。

そして、有効約6100万画素という解像度を、これほど手軽に持ち出せるようになったことに、カメラの進化を改めて感じました。
次回は、このカメラで特に気に入ったクリエイティブルック「FL」を紹介します。空や街並みをどんなふうに描き出すのか、作例とともにお届けします。
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸 モデル/野上桜禅(@iam._.on)>
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