2018上半期 注目製品ホンネレビュー[ドローン編]

▲(奥)DJI「Mavic Air」(手前)Raze Technology「Tello」

 

■カメラ&飛行性能が抜群な一般向けドローンの大本命

(写真奥)DJI
「Mavic Air」(14万3000円)

4K動画や1080p/120fpsのスローモーション動画などに対応。飛行中の機体制御を直感的に行える“ジェスチャー” 機能も搭載する。

●カメラ:有効画素数12MP
●飛行時間:最長約21分(無風かつ時速25kmの一定速度で飛行時)
●サイズ:W184×H64×D168mm(使用時)/W83×H49×D168mm(収納時)
●重さ:430g

▲アームを畳んで収納できるキャリングケースが付属。出っ張りのないスクエアなフォルムなので、バッグやポケットから出し入れしやすい

ここまで小さくて4K撮影がしっかりできる機体が、とうとう出てきてしまった…。それが、「Mavic Air」に対する正直な感想だ。2年前に登場して今でも利用している人が多い、空撮ドローンの定番機・DJI「Phantom 4」と比べると、そのスゴさが分かるだろう。カメラ性能はほぼ同等にも関わらず、サイズはおよそサイズは1/4。重さはわずか1/3しかない。たったの2年で、ここまで小型かつ軽量になったことに驚かされる。

▲安定感のある映像を記録できるのは、本体内の3軸ジンバルによる賜物だ。また、前後に備えるセンサーで障害物を能動的に回避できる

▲衝突による破損などを保護するプロペラガードが付属。簡単に着脱可能だ。また同機のアームは折り畳み式でコンパクトに持ち歩ける

もちろん本格的なプロ用に比べれば、カメラの絞りやセンサーサイズなどは劣るものの、パッと飛ばしてパッと撮影できる点を考えると、デジカメ気分で使えるドローンとしての完成度は高く仕上がっていると言える。むしろ、スマホやGoProを使って撮影した写真や動画と、一緒に閲覧したり編集したりすることを考えると、プロ用よりも相性はバッチリ! 質感などがしっくり合うし、現に違和感なく利用できている。

▲付属の送信機は操作性が高いのはもちろん、携帯性も抜群。スティックやケーブルを送信機内に収納できるほか、アンテナも小さく畳める

▲スティックが着脱&収納可能

そんな「Mavic Air」で頻繁に利用しているのが、360度写真を撮影できる機能だ。「ドローンで360度写真?」と疑問を抱くかもしれないが、自分の好きな位置に飛ばして設定を360度写真のモード「アステロイド」にすると、ドローンが勝手に回転しながら上下や左右に自動で向きを変えながら、34枚の写真を撮影。それをアプリ内で合成し、360度写真を作ってくれるのだ。

▲付属のACアダプターは、バッテリーパックとケーブルで直結可能。USBのコネクタ ーも備え、送信機を同時にチャージできるのが便利だ

▲360度撮影のおかげで、今までにない写真が撮れるようになった

複数の写真を合成して仕上げることから、容量の大きい高解像度なデータなので、全天球のレンズを備える360度カメラのちょっとしたモデルよりも高画質で残せる。もちろん飛行性能は上々。今までの同社ドローンで培った技術をしっかりと継承しており、操作性もホバリング性能も極めて高い。

▲収納可能な接続ケーブル付き

▲アンテナも展開&収納が可能

 

■トイのような見た目とは裏腹な優れた性能を隠し持つ

(写真手前)Raze Technology
「Tello」(1万4200円)

360方向を撮影しながら飛行する“EZ Shot”機能を搭載。記録時間は短いものの独創的な映像を収められる。着脱可能なプロペラガード付き。

●カメラ:有効画素数5MP
●飛行時間:最長約13分
●サイズ:W98×H41×D92.5mm
●重さ:80g(バッテリー含む)

Ryze Technologyブランドの「Tello」は、ドローンの購入を迷っている人に対して、間違いのない選択と言える。その理由のひとつが小型軽量な機体。手のひらサイズで本体重量は80gしかない。200g以下なので航空法の対象「外」となり、飛ばすこと自体が禁止されている地域、または人が密集している場所でなければ、モラルとマナーを守って遊べる。こうした200g以下の機体は決して珍しくはないものの、そのほとんどは性能が低かった。

▲機体の各部には5MP仕様の撮影カメラに加え、各種センサーを搭載。これにより、初めてドローンを操縦する人でも安定飛行を楽しめる

それに比べて「Tello」は、既存のトイドローンのようなルックスでありながら、トンデモない性能を誇る。ホバリング(空中で静止)させる際にはしっかり静止し、ほぼリアルタイムでカメラ映像の映像をスマホでチェックできる。初心者の練習用としてはうってつけだ。一方、ドローンの操縦に慣れた人にとって遊べる機能も充実。写真は5メガピクセル、動画は720pと、スペックだけ見れば現在のハイエンドなスマホに比べてカメラ性能は控えめに思うかもしれない。

▲着脱できるコンパクトな充電バッテリーを採用。チャージするには、USBコネクターで電源につないだ本機にセットするだけとシンプルだ

しかし実際に撮影してみると、ソフトウェアによる恩恵のためか、数値以上に美しく見える。しかも、動画は電子手ブレ補正が働くことから実に滑らかだ。さらにドローンの映像を見ながら飛ばし、家の中の椅子や机をくぐったり、自由自在に小人になって飛んだりする気分も味わえる。

▲自分を撮りながらの上昇だと、もやは"自撮り"のレベルを超えている

自動飛行の機能により「その場で360度回転して撮影」や「自分を撮りながら後退上昇」といったこともお手のもの。自撮りや集合撮影などに活用できるほか、スマホからすぐにSNSなどにシェアできる。より本格的に操作をしたければ、別売りではあるが、Telloに対応したiPhone用またはAndroid用のゲームコンロトーラーを利用するといい。物理スティック操作で細かな操作がしやすくなる。

 

本記事の内容はGoodsPress5月号26-27ページに掲載されています

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(文/稲田悠樹 写真/下城英悟[静物]、稲田悠樹[作例])

稲田悠樹/DRATION

ドローンが話題になり始めた2014年頃から、専門Webサイト「DRATION」を創設。現在、プロ用機材を使った空撮業務をはじめ、ドローンに関する幅広い仕事に携わる。

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