Appleを魅了した「マルニ木工」の職人技とデザイン【CRAFTSMANSHIP】

【特集】CRAFTSMANSHIP

広島の老舗家具メーカー「マルニ木工」のイスが、国内外で脚光を浴びている。深澤直人氏と協業した「HIROSHIMA アームチェア」は、その美しい造形でアップルをも魅了した。

 

■深澤直人氏の無理難題に完璧に応える技術と研鑽

2017年、アップルの新社屋アップル・パークで行われた発表会で、新型iPhoneと並び注目を集めたのが、ビジターセンターに大量に置かれたイスだった。そのイスこそ、マルニ木工が展開するマルニコレクションの「HIROSHIMA アームチェア」。このイスはアップル・パークに数千脚が納入されたという。

▲無垢材を削り出して成型される「HIROSHIMA アームチェア」。当初は月産40脚だったが、今では800脚に増加。これは機械のプログラミングの精密化と、職人技術が向上したため。職人が手で触るだけで、数値通りに仕上がっているか分かるようになったという

マルニ木工は、戦前の1928年に創業した広島の老舗家具メーカー。曲木の技術を活かした家具からスタート。創業以来「工芸の工業化」を掲げ、手仕事と機械化のバランスを追求し、“猫足” と呼ばれる曲面を多用したクラシック家具で、バブル期に成長を遂げた。

【次ページ】日本の職人技なくしては作れない「HIROSHIMA アームチェア」

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