■選手生活とともに内装をアップデート
免許を取得して以来、ダッジの3代目ラム バンしか所有したことがないと話すのは、2018シーズンまでプロのMTB(マウンテンバイク)選手として日本中を転戦していた青木卓也さん。最初に買ったのは後部窓のない前期型のラムバンで、12年ほど乗ったのち、現在の後期型に乗り換えた。
「18歳からMTB選手としてレースに出ていました。免許を取ってからはずっとラム バンで国内レースを転戦していて、北は青森から南は山口までまわりましたよ。周りの選手は機能的で信頼性もあるハイエースが多かったのですが、本場アメリカのMTBライダーたちがアメ車のバンで転戦しているのを見て憧れて、どうしてもこのクルマに乗りたかったんです」
外から見るとサイズ以外はいたってシンプルなワゴンだが、ドアを開けると後ろ1/3はリビングのように改造されている。
「レース期間中はここで過ごしていました。だからクルマはふたり乗りと割り切っていて、リビングのような快適な空間に自分の手で改造しました」
選手生活の中でアップデートされてきた青木さんのモーターホーム。今でもバンの後ろにMTBを載せ、山を走りに行く。
▲派手なペイントやステッカーでは飾らず、ノーマル然とした佇まいが青木さんの好み。しかし随所にこだわっており、ダンパーはビルシュタイン製に交換しリーフスプリングも1枚増やしている。また、より快適なタイヤを履くため、1インチだけ大きいホイールを入れた
▲MTBで走る時には専用の装備を身に付けるが、そういった場面でもモーターホームタイプのバンであれば着替えの場所に困ることはない

▲自転車を積むために、アメリカの大手アウトドアギア・ブランドであるYAKIMA製のバイクラックを車両後端に設置している。牽引などに使うヒッチ(連結器)部分に装着するラックで、青木さんが使うのは2台積めるタイプ。自転車を載せていない時にはゲート側に畳め、ゲートを開ける時には逆に下げておけるという優れもの
▲ボンベ式のコンロを設置し、いつでも豆を挽いて好きなコーヒーを淹れられる。緊張が続くレース期間でもリラックスできる空間を目指して作られたことが分かるレイアウト
▲テールゲートを開けて室内を見ると、長身の大人でも余裕をもって横になれるくらいの広さ。さすがはアメリカン・フルサイズワゴンといったところ。実際、自作だというソファの座面と背もたれをつなげれば広々としたベッドになるし、そのためテーブルも外してしまえるようになっている
▲サイドドアの内側にはツーバーナーを設置。調理をしない時には下のボードと位置を入れ替えてテーブルとして使う
▲もちろん自転車を整備するための工具やパーツも積んでいる。よほどの重整備でない限り対応できるというのだからかなり実戦的
青木卓也さん
18歳でプロライダーとなり、2018年まで18シーズンを戦った。バンの内装はテーブルや棚、ソファまでほとんどが自作で、大工仕事にも慣れている。こういった経験は、現在アメリカの自転車メーカー、トレックに努めて携わっている店舗開発にも活きているという
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本記事の内容はGoodsPress1.2月合併号110-111ページに掲載されています
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(取材・文/有家伊佐也 写真/山岡和正)
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