吉田由美の眼☆ハイブリッド王国の次なる野望!?トヨタはなぜ“エコ磁石”を開発するの?

先日、トヨタ自動車は“省ネオジム耐熱磁石”という新しい磁石を開発中であると発表しました。でも、省ネオジム耐熱磁石って何? なぜ、トヨタが磁石を開発するの??

トヨタといえば、同社の代名詞ともいえる「プリウス」を筆頭に、今やほとんどの車種にHV(ハイブリッド車)を設定するHV王国。さらにトヨタは、2025年までに、グローバルで販売する全車種を電動専用車、もしくは、専用車でなくても電動グレードを設定する予定と発表済みです。つまり近い将来、トヨタの全モデルが、HV、PHV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)、EV(電気自動車)のいずれかになるのです。

でも、クルマの電動化が進めば、その分、搭載されるモーターの数が増え、当然、モーターに使われる素材の使用量も増えていきます。HVのモーターには高価なネオジム磁石が使われていて、モーターの使用量が増えれば、ネオジム磁石の要である希少なレアアース(希土類元素)の“ネオジム”も、使用量が増えることになります。このままでは、原料は高騰する一方ですし、ネオジム自体の資源が枯渇する心配も。つまり、将来に向けてクルマの電動化をスムーズに進めるためには、ネオジムに代わる素材の開発が急務です。

実はHV王国のトヨタでは、そうした代替素材などを開発する部署“先端材料技術部”を、社内に設置しているのだとか。そこで、同部の担当部長・加藤 晃さんに、先頃発表された省ネオジム耐熱磁石のネタを中心に、いろいろな話をうかがってきました。

【次ページ】実は身近な存在だったネオジム磁石

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