先代からどこが変わった?フルモデルチェンジした新型スズキ「スイフト」の魅力に迫る!

2023年12月6日、日本市場では5代目、グローバル市場では4代目となるスズキ スイフトがフルモデルチェンジしました(初代スイフトはヨーロッパでイグニスとして販売されました)。発売はCVT車が12月13日(水)、MT車は2024年1月17日(水)になります。

Bセグメントコンパクトカーはトヨタ ヤリスや日産 ノート、トヨタ アクアなどが上位に名を連ねていて、スイフトは2023年4~9月期で1万2868台(27位)でした。強豪がひしめくセグメントであること、そしてモデル末期だったことを考えれば大健闘です。新型になったことで、商品力がどう高まったかを見ていきましょう。

■スポーティさを残しつつ、小粋なイメージに変貌


 

現在のハッチバックはエンジンルームを極力小さくし、フロントバンパーからAピラーにかけてなだらかにつながったワンモーションフォルムに近い形で、室内空間を広く撮りつつ空力性能を高めたものが主流です。そんな中、スイフトはハッチバックの王道であるベーシックな2ボックススタイルに近い形を採用してきました。これは新型にも継承されています。

新型は歴代スイフトが培ってきたワイド感のあるデザインを継承。ヘッドライトやグリル周りのシルエットは先代のイメージを踏襲しているように見えますが、全体の雰囲気は大きく変わったように感じさせます。その秘密はボンネット形状にあります。

先代スイフトのボンネットが1枚の板状の形状だったのに対し、新型スイフトはボンネットフードがボディに覆いかぶさるように端が曲げられている“クラムシェルデザイン”を採用。クラムシェルとは二枚貝のことで、ボンネットがボディに覆いかぶさることで二枚貝のように見えることから名付けられています。

クラムシェルデザインになったことでボンネット上面にパーティンググライン(金型の分割線)がなくなり、シルエットに共通性を持たせながらも先代とは雰囲気がガラリと変わりました。そしてボンネットフードのラインがそのままボディサイドからリアにかけてグルっと1周回るようにデザインされたことで上下の塊感が強調されています。

ヘッドライド内にはL字型のポジションランプが配置されました。昨今、LEDのポジションランプがウインカーを兼ねているクルマが多く、右左折時は片方のポジションランプがついていて、もう片方のポジションランプが消えてオレンジ色の光が点滅している光景をよく目にします。

新型スイフトはL字型ポジションランプの下にウインカーを配置しているので、ウインカー点滅時も片方のポジションランプが消えることはありません。この方式を採用したのはコスト面の理由かを開発担当者に聞いてみたところ、コストではなくL字のシグネチャーでしっかり表情を作りたかったからとのことでした。

ボディカラーは写真のフロンティアブルーパールメタリックと、やや緑がかった黄色になるクールイエローメタリックという2色の新色を含む、全9色を用意。フロンティアブルーパールメタリックとバーニングレッドパールメタリックにはブラックフーフの2トーン、クールイエローメタリックとピュアホワイトパールにはガンメタリックルーフの2トーンも用意されます。

先代までのスイフトは、スポーティさを前面に出していましたが、新型スイフトはクラムシェルを中心にしたキャラクターラインがボディ全体を包み込むような雰囲気を醸し出すことで、小粋なイメージが強調されているように感じます。実は市場調査をすると、スイフトはスポーティすぎて乗るのに気後れしてしまうという人(スイフトスポーツのイメージもあるのでしょう)が意外と多かったと言います。新型はそう感じていた人にも強くアピールできるデザインに仕上がったのではないでしょうか。


インテリアはインパネからドアトリムへと翼のように広がるオーナメントが目を引きます。ホワイトベージュのオーナメントには三角形の3Dテクスチャーが施されています。この柄はシート柄と共通性を持たせ、インテリアの一体感が演出されています。そしてインパネの中心部はブラックを配色。コントラストのあるカラー配置にすることで浮遊感が強調され、軽快さと先進性が表現されています。

■ドライバーの操作性が高められたインテリア

 


センター側のオーディオ、ルーバー、エアコンパネルは、ドライバー側に8度傾けられました。運転席側のスイッチはドライバー側に3度傾けられています。オーディオ付近は先代よりも手を伸ばす距離を50mm短縮し、操作性を高めています。

荷室は開口部の地上高を先代より低く設定。開口部の高さ、荷室の幅と高さも拡大することで使い勝手が高められました。

スペーシアやソリオといったパッケージング重視のスライドドアモデルほどではありませんが、収納類もセンターコンソールやドアなどの手が届きやすい部分に最適配置。小物を置く場所がなくて困ることはほとんどないでしょう。上級グレードになるハイブリッドMZのインパネにはType-AとType-CのUSB電源ソケットが計2個備わります。

ハイブリッドMZにはパーキングブレーキはスズキの小型車で初となる電動パーキングブレーキを新採用。そして停車中にブレーキペダルから足を離しても停車状態をキープするブレーキホールドも搭載されました。信号待ちや渋滞の中でも足が疲れにくく、楽に運転できる便利な装備です。

■先進安全装備の性能が大きく向上

先進安全装備は、最新の衝突被害軽減ブレーキであるデュアルセンサーブレーキサポートIIが全グレード標準装備となっています。単眼カメラとミリ波レーダーの検知エリアが広がったことで、交差点での右左折時の車両・横断歩行者や自転車の検知、交差点で側方から接近する車両も検知できるようになりました。

前後のバンパーにはそれぞれ4つのセンサーを内蔵。車庫入れなど低速で動いている時に障害物とぶつかりそうになるとこれまではエンジン出力を抑制して衝突を防いでいましたが、新型スイフトでは低速時もブレーキが作動して衝突の回避や衝突時の被害軽減を行います。

アダプティブクルーズコントロールは全車速追従に加え、渋滞時に前が詰まって停止した場合、停止状態を保持する機能も搭載しています。単眼カメラとミリ波レーダーの精度が上がったことで、カーブ手前でカーブが近づいていることを認識して自動で速度を抑制できるようになりました。

ハイブリッドMZにはミリ波レーダーと単眼カメラを使って前方の車両のライトや該当などの明るさを認識して、ハイビームの明るさや照らす範囲を調整するアダプティブハイビームシステムが搭載されます。

ナビ画面のサイドにはドライバーをモニタリングするカメラを設定。カメラが顔を認識して、目の開閉状態や顔の動きをチェックし、居眠り運転をしそうになったときや脇見運転をしている時に警告します。

■新開発エンジンを搭載。マイルドハイブリッド+5MTも投入

新型スイフトは、エンジンも刷新。新開発のZ12E型エンジンは燃焼改善と各種ロスの削減により燃費性能を高めています。また、低速からなめらかにトルクが上昇するため、特に街乗りでの軽快な走りを実現しているといいます。

ハイブリッドMZとハイブリッドMXにはマイルドハイブリッドシステムを搭載。ハイブリッドMXはCVT車だけでなく5MT車も用意されました。マイルドハイブリッドの5MTは国内初導入になります。

燃費性能はマイルドハイブリッドのCVT車がFFで24.5km/L・4WDで22.7km/L、5MTのFFが25.4km/Lになります。マイルドハイブリッドを搭載しないエントリーグレードのXGはCVTのみの設定で、FFが23.4km/L、4WDが22.0km/Lになります。

【Specifications】
● スイフト ハイブリッドMZ(2WD/4WD)
全長×全幅×全高:3860×1695×1500/1525mm
ホイールベース:2450mm
車重:950kg/1020kg
駆動:2WD/4WD
最高出力:60kW(エンジン)、2.3kW(モーター)
最大トルク:108N・m(エンジン)、60N・m(モーター)
動力用バッテリー:リチウムイオン
WLTCモード燃費:24.5km/L(2WD車)、22.7km/L(4WD車)
価格:216万7000円~(2WD)、233万2000円~(4WD)

>> スズキ「スイフト」

<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

 

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