
まずハンドル形状は、前モデルより幅を17.8mm短縮。手前方向へのベンドも1°ずつ増やされ、グリップエンドは6.5mmライダー側に近づいています。ハンドルの高さも5.6mm上がっていて、数値上はわずかな変化ですが長距離ツーリングなどで疲れが少なそう。それでいて、クルーザー的なポジションは維持されています。

また、シートの素材も高反発なウレタンに変更され、シート高はそのままに快適性を向上。リアサスペンションのバンプラバー形状も見直され、より乗り心地を高めています。この変更は、ステッチ入りのシートとなっている「Sエディション」でも同様です。
ほかにも純正アクセサリーに、ETC車載器やグリップヒーターも追加されていて、よりツーリングを快適にこなせる仕様とできるようになりました。
■Eクラッチの快適さは圧倒的
またがってみると、ハンドル形状が見直されたことでかなりグリップが握りやすくなっています。特にハンドルを大きく切ってUターンしようとした際に、外側のグリップが遠くなり過ぎないので、駐車場での切り返しでいきなり恩恵を感じました。
足付き性の良さは相変わらずで、身長175cmの筆者の場合、両足のかかとがしっかり接地した上に膝にも余裕があるので、小柄なライダーでも不安を感じることはなさそう。車重も「Eクラッチ」付きの「Sエディション」で175kg(スタンダードは171kg)なので、初心者ライダーでも負担なく乗り回せます。

発進時にもクラッチレバーを握る必要はなく、シフトレバーを踏み込んで1速に入れ、アクセルを開ければそのままスタートすることが可能。「Eクラッチ」搭載モデルは、以前に「CBR650R」に乗っていますが、クラッチの繋がるフィーリングは「レブル250」のほうがスムーズになっている印象で、車両の性格に合わせて街乗りやツーリングに向いた繋がり方になっているようです。

シフトアップやダウンの操作も、もちろんクラッチレバーを握らずにできます。それどころか、アクセルを開けっ放しでもシフトレバーを操作するだけで変速できるので、できのいいクイックシフターが装着されているようなもの。頻繁に変速する街乗りは圧倒的に楽ですし、長い時間走れば疲れの差はさらに大きくなるでしょう。

「Eクラッチ」のいいところは、操作が楽になっても自動変速のDCTやスクーターと違い、変速操作の楽しさは残されているところ。バイクを操る楽しみは残しながら、クラッチ操作のストレスだけを取り除いてくれるので、渋滞にハマった際にもわずらわしい半クラッチの繰り返しから解放されます。停止中も、ギアは1速に入れっぱなしでクラッチレバーを握らなくていいので、ツーリングの疲れやストレスが大幅に軽減されるのは間違いありません。

「レブル250」のスタンダードモデルは63万8000円に対して、「Eクラッチ」付きは69万3000円と、その差はわずか5万5000円(「Sエディション」は「Eクラッチ」付きのみで73万1500円)。この価格差なら「Eクラッチ」付きを選びたいと感じるライダーは多いことでしょう。
初めて「Eクラッチ」付きの「CBR650R」に乗った際に「ホンダのマニュアルミッション車全てに対応モデルを設定してほしい」と書きましたが、販売台数の圧倒的に多い「レブル250」に導入されたのは嬉しいニュース。心配になるのは、初めて乗るのがこのマシンだった場合、そのライダーは次に何に乗るのか? ということくらいですが、「Eクラッチ」対応モデルの選択肢が増えれば、そんなことを心配する必要もなくなるのかもしれません。
【SPEC】
ホンダ「レブル250 Sエディション Eクラッチ」
サイズ:2205×810×1090mm
重量:175kg
シート高:690mm
エンジン:249cc水冷単気筒DOHC
最高出力:26PS/9500rpm
最大トルク:22Nm/6500rpm
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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