高騰&品薄が止まらないからこそ大切に炊きたい「お米」 かまど炊きを再現した「釜炊き三昧・極」を試す

■スイッチポンの炊飯器よりは確かに手間がかかる

ただし、炊き方は一般的な炊飯器よりも少々手間が必要です。以下が「釜炊き三昧・極」での炊飯フローです。

1.米を洗い「特製釜」に入れる。水位線に合わせて水を入れ、2時間ほど浸水させる(急ぎの場合は夏場30分、冬場1時間)
2.ガスコンロの五徳の上に「かまど」を置き、その上に「特製釜」を置く。最後に「圧力蓋」で蓋をし、まず中火で加熱を開始。
3.吹きこぼれたり、蓋がカタカタと動き始めたら弱火にする。一定時間加熱する。
4.火を止めて蒸らす。

<沸騰後の炊飯時間と蒸らし時間の目安>
・1合の場合……沸騰後の炊飯時間=約5〜7分、火を止めた後の蒸らし時間=約15分
・2合の場合……沸騰後の炊飯時間=約6〜8分、火を止めた後の蒸らし時間=約15分
・3合の場合……沸騰後の炊飯時間=約7〜9分、火を止めた後の蒸らし時間=約15分

炊飯器よりも少々手間がかかるようにも思いますが、それでもなお美味しくお米を炊けるのであれば、これくらいどうってことはないでしょう。なんならこの炊飯の間、別の調理などをキッチンで行えば良いので、個人的にはなんの問題でもありません。

■カタカタと音を立てる蓋を開きたくなるが、グッと我慢

▲フロー通りに米を洗い浸水させた後…

▲ガスコンロに「かまど」を設置

▲中火で加熱スタート

というわけで前述のフロー通りに炊いていくことにしました。

筆者が炊いたのはごく一般的なお米の2合分。まずは中火にかけしばしそのまま放置。途中「蓋を開けて中を覗いてみたくなる」衝動にかられましたが、ここはグッと我慢です。

すると約10分ほどでカタカタと音を立てながら「圧力蓋」が動き始めました。この音と「圧力蓋」の動きが、なんか嬉しいですが、やはりグッと堪えて蓋が開けず、弱火にして約6〜7分。さらに火を止め約15分を待ち、いよいよ蓋を開けてみることにしました。

そこで見たものは、ツヤツヤで一粒ずつが立ち上がったお米! 一粒つまんで食べてみると、確かに甘味・旨みを強く感じることができました。

▲ムラなくツヤツヤに炊き上がりました

▲炊飯器よりもはるかに美味しいお米です

筆者は自宅で10万円ほどの炊飯器を、仕事場で調理取材用の5万円ほどの炊飯器を使っていますが、そのどちらよりもはるかに美味しい炊き上がりです。想像以上の美味しさを前に「ここまで美味しく炊けるとは!」とかなりの感動を覚えました。

■炊飯器で炊いたお米との差は歴然。もちろん冷めても美味

▲温かいうちはもちろん、冷めても美味しかったです

「釜炊き三昧・極」で炊いたお米の美味しさは言葉でうまく表現できませんが、言うなれば、「行列ができるおにぎり屋さんの、美味しいお米のよう」ということで伝わるかもしれません。ごく一般的なお米が、絶品のお米の味に変身したかのような錯覚を覚えたのです。

このお米は大切におかずと一緒に食べた後、おにぎりにしていただきました。冷めてもなお、普段の炊飯器で炊いたお米との強い差を感じ、おにぎりもかなり美味しくいただきました。

■美味しく炊ける秘密の一つは「釜の底面」にあった

あまりの感動で、後に製造元のウルシヤマ金属工業に問い合わせ。「釜炊き三昧・極」の秘密を回答を得られました。

「『釜炊き三昧・極』は釜の底面の丸みを帯びた形状が、加熱の際に理想的な対流を起こします。このことでお米を美味しく炊き上げることができます。

余談ですが、とある展示会で『釜炊き三昧・極』を展示し、『普段より美味しく炊き上げられますよ』とプロモーションしていたところ、別のメーカーの営業社員が、『そんなに言うなら使いたい』とご購入されました。

実際に『釜炊き三昧・極』で炊いたお米をご家族で食べたところ、ご子息が一言。『あれ? お米を変えた?』と言ったそうです」(ウルシヤマ金属工業・担当者)

つまり、筆者と同様の感想を持つ人が少なくない「釜炊き三昧・極」ですが、ウルシヤマ金属工業は最後にこうも話してくれました。

「10万円以上の高級炊飯器を使っている方にこそ、お試しいただきたいです」(ウルシヤマ金属工業・担当者)

お米の聖地であり、堅実でストイックな県民性でも知られる新潟のウルシヤマ金属工業が作り上げた静かな名品「釜炊き三昧・極」。「釜炊き三昧・極」で炊いたお米の味に慣れると、もはや炊飯器には戻れなくなるかも……そんな風にも感じる筆者でした。

<取材・文=松田義人(deco) 写真:中西ふみえ、松田義人>

松田義人|編集プロダクション・deco代表。趣味は旅行、酒、料理(調理・食べる)、キャンプ、温泉、クルマ・バイクなど。クルマ・バイクはちょっと足りないような小型のものが好き。台湾に詳しく『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)をはじめ著書多数

 

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