クラシカルなルックスで走りも機敏! トライアンフの新型「スピードツイン900」は上位モデルに迫る完成度

■「1200」との性能差は思った以上に小さい

またがってみると、車体がかなりスリムになっているのを感じます。タンクとシートの前方がかなりスリム化されているため、シート高は780mmですが足付き性は数値から想像する以上に良好で小柄なライダーでも抵抗なく乗ることができそうです。

排気音は2気筒らしく歯切れのいいもの。排気量が900ccあるので、重低音も効いていて迫力があります。2本出しのマフラーから排出されるエキゾーストノートを聴いているだけで気持ちが高まってきました。

270°クランクを採用していることもあり、低回転域からかなり力があって最高出力の数値から想像するより加速はかなり機敏。アクセルを軽く開けるだけで交通の流れをリードできる速さがあるので余裕を持ったライディングができます。「1200」とも乗り比べてみましたが、特に力不足を感じる場面はありませんでした。

倒立フォークとなったことで、フロント回りの剛性感が高まり、走りの質感はかなり向上しています。車重は212kgあるのですが、ハンドリングは軽快で重さを感じることもありません。重心位置が低く設定されているようで、左右へバンクさせる動きは軽く、ワインディングを走るのが気持ちいいマシンでした。

「1200」との大きな違いは、フロントブレーキがシングルディスクとなっていること。高速からのブレーキングでは、さすがに熱容量の違いを感じる場面がありましたが、シングルディスクであることがハンドリングの軽快さにも効いているようなので、どちらを優先するかは好みの分かれる部分かもしれません。

灯火類はLED化されていて、クラシカルな外観と現代的な機能を上手くバランスさせています。レトロな雰囲気のバイクに乗りたいけれど、走りの性能には妥協したくないというライダーにとっては、かなり有力な選択肢となりそう。「1200」との体感できる性能差はかなり小さく、むしろ「900」の軽快さを好ましく思う人も少なくなさそう。大排気量車ビギナーからリターンライダーまで幅広い層に勧められるマシンです。

>> トライアンフ「スピードツイン900」

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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