スズキ初のバッテリー駆動EV「eビターラ」は電動駆動モジュール「eAxle」搭載で身のこなし軽快! 選ぶ楽しさもあり

■加速の良さを感じさせる電動駆動モジュール「eAxle」

BYD傘下のFBDから調達するリン酸鉄リチウムバッテリーは、シャシーの一部の構造を担っています。これに、BluE Nexus(ブルーイーネクサス)から供給を受ける、モーター、インバーター、トランスアクスル一体化の電動駆動モジュール「eAxle(イーアクスル)」を組み合わせています。

トヨタが同じ車体を使って、自社ブランドでもBEVを発売するとされています。コンパクトBEVのセグメントで先んじたのがスズキというわけです。

FWD車はフロントにひとつ、AWD車は前後にeAxleを搭載。49kWhのバッテリーとの組み合わせでは106kWのパワーで前輪を駆動します。61kWhのバッテリーの場合、フロント用eAxleのパワーは128kWに向上。さらにAWDでは、リアに48kWhのeAxleが搭載されます。(トルクは未公表)

同様のシステムを持つeAxleでも、例えばレクサスが25年秋に発売を予定している「RZ」では167kWですから、だいぶパワーに差があります。

それでも、実際にドライブすると、後輪がクルマを押し出してくれる感覚がしっかりあって、加速の良さを感じられます。

スズキの開発者が「eビターラではあくまで運転のしやすさを狙いました」と話しているとおり、やたらスポーティではありません。ただし、加速感とステアリングフィールはよく合っている感じで、好ましい印象でした。

グレード構成は、前輪駆動(FWD)と、上のAWD。バッテリー容量は、前輪駆動用に49kWh。もうひとつ61kWhのものが、FWDとAWDに用意されます。つまり、パワートレインだけでみると、3グレード構成です。

同じタイミングで高出力のFWD車も運転しました。車重が4WDに対して100kg軽いだけあって、カーブなどでの身のこなしが軽快で、好ましいフィーリングです。街乗りの経験はまだないのですが、きっといい感じでしょう。

選ぶ楽しさがある。そこがeビターラの魅力でしょう。日本での発売は25年度中とのことです。

【Specifications】
Suzuki e-Vitara 4WD (Prototype)
全長×全幅×全高:4275×1800×1640mm
ホイールベース:2700mm
車重:1890kg
動力:電気モーター 前後各1基
駆動:全輪駆動
バッテリー容量:61kWh
最高出力:フロント135kW
最大トルク:307Nm
一充電走行距離:450km以上
乗車定員:5名
価格:未定

>> スズキ eビターラ

<文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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