■乗り味にも強い個性を感じる
同じエンジンを搭載したクルーザーというと、似たような乗り味になりそうなものですが、そこはやはりハーレーダビッドソンを代表する2モデル。走りについても明確な個性がそれぞれに与えられています。
共通するのはシート高の低さ(ブレイクアウトが665mm、ローライダーSTが715mm)からくる足付き性の良さくらいで、ライディングポジションにも違いがあります。

「ブレイクアウト」はフォワードコントロールと呼ばれる前に足を伸ばすようなステップ位置で、ハンドルは低く、前に腕を伸ばすような乗車姿勢。ノーマルでもカスタムチョッパーに乗っているような気分が味わえます。ただし、長時間のツーリングになると疲れを感じる部分もありそう。

一方「ローライダーST」はミッドコントロールと呼ばれるステップ位置で、ハンドルも少し高めで手前に引かれているのでツーリング向きのライディングポジション。フェアリングを装着していることもあり、ライダーの体に当たる風も抑えられていて長時間乗っても疲れは少なそうです。
このライディングポジションの違いとエンジンのキャラクター、そして車体の作りが2車種の乗り味の違いにつながっています。

「ブレイクアウト」はフロントフォーク(キャスター角)が寝ていて、直進安定性に優れた設計。真っ直ぐな道をエンジンの鼓動を感じながら流すのに向いていて、速度にかかわらず大きなピストンが動いているのを味わいながら走っていると細かいことはどうでも良くなるような魅力があります。

「ローライダーST」の方は、エンジンパワーもあるのでアクセルを開けると鋭い加速が味わえます。特に走行モードをレスポンスの良い「スポーツ」に入れると、大きな車体にもかかわらずキビキビと走ることができます。コーナーを“攻める”ようなマシンではありませんが、「ブレイクアウト」に比べると結構コンパクトに曲がれるので、立ち上がりの加速力を活かして峠道なども意外に楽しめそうです。

デザインから走りまで、異なる個性を持った2モデル。ハーレーダビッドソン ジャパンでは、どちらのモデルが好きかのアンケートも実施していますが、投票数が増えるほど支持は半々に別れているのだとか。個人的には、以前は「ブレイクアウト」の方が好みでしたが、エンジンがパワーアップしたことから2025年モデルでは「ローライダーST」の方が好印象でした。さて、今年はどちらのモデルが人気No.1の座に輝くのでしょうか。
▼SPEC
ハーレーダビッドソン「ブレイクアウト」
全長:2375mm
ホイールベース:1695mm
重量:309kg
シート高:665mm
エンジン:1923cc空油冷V型2気筒
最高出力:103PS/5020rpm
最大トルク:168Nm/3000rpm
価格:345万1800円〜
ハーレーダビッドソン「ローライダーST」
全長:2360mm
ホイールベース:1615mm
重量:323kg
シート高:715mm
エンジン:1923cc空油冷V型2気筒
最高出力:114PS/5020rpm
最大トルク:173Nm/4000rpm
価格:322万800円〜
>> ハーレーダビッドソン
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
【関連記事】
◆クラシカルなルックスで走りも機敏! トライアンフの新型「スピードツイン900」は上位モデルに迫る完成度
◆クルマ並の2Lエンジン!ハーレーダビッドソン“クルーザーモデル”の加速に酔いしれる
◆ハーレーを身近な存在にしてくれた新「X」シリーズの気になる乗り味
- 1
- 2



























