海外モデルの組み立てはパーツの洗浄から!【達人のプラモ術<タイガーⅠ編>】

POINT3:エッチングパーツにはメタルプライマーを塗布

キットには、真ちゅうのエッチングパーツ(ディテールアップのための薄い金属製のパーツ。プラでは再現しにくい薄い・細い・小さい部位の再現に使用)が付属しています。近年は、AFVモデルでも細部をよりリアルに再現するためエッチングパーツの使用が当たり前になってきました。ラジエターの冷却ファンカバーやエンジングリルのカバーは、切り出したエッチングパーツを箱状に折り曲げ加工が必要となります。また、接着には瞬間接着剤を使用し、塗装の際に塗料の食いつきを良くして塗膜をはがれにくくするためにメタルプライマーを塗布しておく必要があります。

▲キットには、エンジングリルカバー等を再現するエッチングパーツとアルミ製の主砲身、さらに真ちゅう製のスモークディスチャージャー(煙幕弾投射機)が付属

▲メタルプライマーを下地に塗装し塗料の食いつきをよくする

▲ラジエターカバーのエッチングパーツは、切り出して折り曲げ加工が必要。折り曲げにはエッチングベンダーを使う

▲山折り・谷折りの折りの曲げ方向を間違えた場合、無理して曲げなおすと歪んでしまったり破損する場合があるため要注意

▲エンジングリルにエッチングのカバーを取り付けた状態。取り付けには瞬間接着剤を使用

 

POINT4:下地塗装のサーフェイサーはさび止めの色に

装備品なども取り付けて組み上げた車体はサーフェイサーを使って下地塗装を行います。サーフェイサーというと一般的にはグレー、あるいは白を使うことが多いのですが、AFVモデルでは実車戦車の下地塗装に使われているさび止めのプライマー(暗い赤茶色)を再現したオキサイトレッド色を使うのが一般的です。今回はタミヤの「ファインサーフェイサーL (オキサイドレッド)」を使用しています。

▲組み上げた車体を「ファインサーフェイサーL 」で塗装した状態。厚塗りにならないように注意

 

POINT5:車内は先に塗装しておく

キットは、エンジンの冷却ファンと燃料タンク、さらには車体内部に横置きに納められた16本のトーションバーサスペンションがしっかり再現されていますが、完成後はほとんど見えなくなってしまいます。ですが、サーフェイサーで下地塗装のしたあと、車内色であるアイボリーホワイトで塗装して、見えない場所もバッチリキメておきましょう!

▲トーションバーとエッチングパーツを組み込んだラジエターユニットを取り付けたらアイボリーホワイトで車内を塗装しておく(ラジエター以外は完成後ほとんど見えません)

 

■車体の完成

キットは8種類の塗装バリエーションが選択可能になっています。作例は、初期型のタイガーⅠの中でも、1943年のマフラーカバーのない排気管を装着した車両をチョイスしました。選ぶ車両によって装備の有無や仕様の違いなど、細部が異なるので事前に説明書をチェックしておくことをオススメします。

▲牽引用ロープや工具類など車体上面の装備品等を接着、オキサイトレッドでの下地塗装が完了した車体。後部の排気管はカバーのないタイプで製作しているのが分かる

次回はドイツ重戦車の特徴的な複合転輪(接地圧を低減させるため転輪が千鳥式に配置された)、組み立て式の履帯と、そして88mm砲を装備した砲塔の製作を進めていきます。

【達人流!製作のポイント】

1/35スケールのタイガーは、人気が高いだけに、国内外のメーカーから中期型や後期型など様々なバリエーションが発売されています。今回選んだ初期生産型も、国内ではMMシリーズとしてタミヤがモデル化しています。海外メーカーではドラゴン、AFVクラブ、ライフィールドなどなど、同じ初期型のキットであってもメーカーによって捕らえ方の違いがあり、作り手としてはそれがまた面白くもあり製作意欲をそそるものです。後発となる今回のボーダーモデルのタイガーは、車体に詰まれた荷物やエッチングパーツ使った有刺鉄線などの臨場感あふれるアクセサリーなどが充実しており、海外メーカーの戦車を作ってみたいという人にはオススメのキットです。

>> 達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人>

 

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