【ホンダ ヴェゼル試乗】新ターボは2.2L級の力強さ!欧州仕込みの脚で走りも余裕

■ターボエンジンに合わせてボディ各部を補強

日本での販売が始まったヴェゼル ターボですが、実は、同じ仕様のクルマがヨーロッパ市場には先行して投入されていました。ターボユニットによって増大したアウトプットと、速度域が高い彼の地の交通事情に合わせて、ヴェゼル ツーリングはボディ各部が補強されています。

キャビン底部のセンターには、左右をつなぐクロスメンバーまで追加されていますし、ボディ前端はターボエンジン用のインタークーラーを追加するために、荷室床面付近は新しい排気系を吊り下げるために、それぞれツーリング専用の部品が開発されました。車重は1360kg。NAエンジンを搭載するグレード「RS」よりも、150kg重くなっています。ちなみに、パフォーマンスアップに対応し、燃料タンクの容量が、他グレードの40Lから50Lへと拡大されています。

ボディサイズは、全長4340×全幅1790×全高1605mm。ホンダいうところの「扱いやすいスマートサイズ」。ターボモデルは、車体下部にグレーメタリックのエアロパーツを装着。リアエンドの左右2本出しマフラーと、18インチホイールで、高い動力性能を予感させます。

車体色には、アルミフレークを使った特別な塗装構造を採用する“プレミアムクリスタルブルー・メタリック”を、ツーリング(とRS)の専用色として用意。また、無垢の金属のような輝きを見せる“スーパープラチナグレー・メタリック”が、新色として設定されました。ホンダの方によると、従来の無彩色一辺倒から「鮮やかな色にも人気が出始めている」のだとか。個人的には、特徴的な赤の“プレミアムクリスタルレッド・メタリック”も、「ヴェゼルには映える!」と思いました。

■ハイスピードクルージングなどで際立つ走りの良さ

オプションの本革シートがおごられた試乗車に乗って走り始めると、ヴェゼル ターボ、じんわり速い。わずか1700回転から最大トルクを生むフラットなトルク特性なので、ある程度予想はしていましたが、回転を抑えつつナチュラルに加速していきます。うっかりすると、ターボエンジンであることを忘れてしまうほど。

比較として、ハイブリッド仕様にも試乗したのですが、こちらは低回転域からモーターがググッと加勢してくれるので、むしろ“力強さ”が分かりやすい。ヴェゼル ハイブリッドの1.5リッターi-VTECは、132馬力の最高出力と16.3kgf-mの最大トルク、加えて、電気モーターが29.5馬力と16.3kgf-m。ホンダの方によると、「(システム出力は)だいたい2リッターのNAエンジン級」だそう。いうまでもなく、絶対的にはターボモデルの方が速いんですね。

ヴェゼル ターボは、街中でストップ&ゴーを繰り返すよりも、もう少しエンジンを高回転域まで使うシチュエーションや、悠々とハイスピードクルージングを楽しむ時などに、その良さが際立つのではないでしょうか。ボディがしっかりしている分、フットワークにも余裕がある感じですし。ちなみに、コーナリングの際、必要に応じて内輪にブレーキをかけて回頭性を高める“アジャイルハンドリングアシスト”機能を搭載するのも、ターボモデルの特権です。

2013年の登場以来、世界中で260万台を販売し、日本市場だけでも36万7000台がデリバリーされたヴェゼル。ホンダのラインナップの中でも、完全に主力モデルの1台に育ちました。昨2018年2月には、ビッグマイナーチェンジを実施してデザインを刷新。パワートレーンや、ホンダ版のブツからない技術(!?)たる“ホンダセンシング”も性能アップを果たしています。今回、新たにターボモデルをファミリーに加え、拡大するコンパクトSUV市場での有力プレイヤーとして、「もうひとがんばり」が期待されます。

<SPECIFICATIONS>
☆ツーリング ホンダセンシング
ボディサイズ:L4340×W1790×H1605mm
車重:1360kg
駆動方式:FF
エンジン:1496cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:172馬力/5500回転
最大トルク:22.4kgf-m/1700〜5500回転
価格:290万3040円

(文&写真/ダン・アオキ)


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