キットは発売から40年超。だからこそ必要となる丁寧な下地処理【達人のプラモ術<震電>】

■主翼端のヒケをパテで修正

主翼は、シンプルな上下2枚合わせですが、左右の翼端に大きなヒケができています。目立つ部分なので修正しないといけません。今回は修正にはフィニッシャーズ・ラッカーパテを使用してヒケを修正しました。通常のラッカーパテに比べて食いつきが良く、乾燥後にヒケることなく表面を均一に研磨仕上げられます。

▲キットは翼端上面部分に、左右ともにかなり目立つヒケ(窪み)が生じている。完成後も目立つ部分ではあるのでパテを使って修正が必要だ。パテはある程度厚塗りでも硬化後に肉ヤセがなく、表面が平滑に仕上がるフィニッシャーズ・ラッカーパテを使用した

▲フィニッシャーズ・ラッカーパテは乾燥も早いのがありがたい。一度に厚塗りせず薄く塗り乾燥→再び薄く塗布といった具合に塗り重ねていくことで、効率よく硬化させられる

▲パテの硬化後、フィニッシングパーパー600番→1000番の研磨でヒケの修正が完了した状態。パテを研磨する際にパネルラインの凸モールドが消えてしまうのは致し方ないのだが、凸モールドの再生は、難しいものではない。詳細は次回改めて解説する

 

■主翼と胴体の合わせ目の段差と隙間を修正

主翼を胴体と接着すると、なぜか右側のみに大きな隙間ができてしまいます。ここもまたパテを使って修正する必要があるのですが、できれば研磨は避けたい部分です。キットは凸モールドなので、硬化後にパテを研磨すると、同時にパネルラインの凸モールドが消えてしまうからです。

今回は凸モールドを生かしたまま製作を進めていますので、ここでは凸モールドを消さずに済むビン入りのサーフェイサーを使用して隙間を修正していきます。

▲主翼は上下を貼り合わせて接着。隙間ができないようにクリップなどで接着剤が固まるまで固定しておく

▲右主翼と胴体の付け根部分に0.3ミリ程度の隙間ができてしまう(矢印の部分)。パテを使い修正するのだが、位置的にパテが削りにくく、また研磨によりパネルラインの凸モールドが消えてしまう

 

■削るのではなく拭き取りで隙間を修正する

一般的なラッカーパテは練り状でチューブ入りのものです。今回はビン入りのサーフェイサー(成分的には液状のラッカーパテ)を使用します。液状なので筆でパーツの隙間などに塗り込むなど細かな修正に適したパテです。これ主翼と胴体の隙間に流し込んで隙間を修正していきます。

乾燥後にパテを盛った部分をヤスリで研磨して、隙間を埋め表面を整えるのですが、研磨することで凸モールドが消えてしまうのが悩みのタネです。しかし今回はヤスリでパテを研磨することなく(凸モールドを消すことなく)表面を仕上げる裏ワザで隙間の処理を進めます。

 

■裏ワザ!ラッカー塗料用薄め液でパテ拭き取る

今回、隙間を埋めるのに使用したのはビン入りサーフェイサーです。中身は液状のパテなので、筆で塗る、隙間に流し込むといったことができます。

ここでは、主翼と胴体の接合面にできた隙間にビン入りサーフェイサーを塗り込んだ後、1時間程度乾燥させます(表面が乾いた生乾き状態)。その後、綿棒にラッカー塗料用薄め液を含ませて、サーフェイサーが拭き取っていきます。

パーツ表面のサーフェイサーを拭き取っても、隙間の中にはサーフェイサーが残るので、研磨しなくても隙間を埋められて、パネルラインを傷めずに済むというワケです。

サーフェイサーは完全に硬化させた後でも拭き取ることはできますが、拭き取りが大変になるので、塗布後1時間前後で拭き取り作業を行うのがベターです。逆にあまり早く拭き取ると、隙間の中のサーフェイサーも溶けて抜けてしまうので要注意です。

またサーフェイサーは液状ということもあって“隙間”が0.3ミリ以上あるような場合には不向きです。どんどん流れ込んでしまい隙間が埋まりません。

それとサーフェイサーはラッカーパテの一種なので、硬化時にどうしても肉ヤセが生じます。そのため修正したい“凹み”が0.3ミリ以上あるような場合にも不向きです(パテ自体が縮むため硬化乾燥後に再び合わせ目が出てきてしまう)。

大きな隙間や凹みを修正する場合は、ポリパテなど肉ヤセしない修正アイテムを使います。

▲ビン入りのサーフェイサーを隙間部分に(3~4回)塗り重ねて埋めた状態

▲はみ出しは気にしなくてOK。この後1時間程度乾燥させる

▲乾燥後に綿棒にラッカー溶剤を含ませて、はみ出た部分のサーフェイサーを拭き取っていく。隙間内部のパテはそのまま残るので、ヤスリのよる研磨をしなくても隙間をキレイに埋められる。拭き取りの溶剤は必ずラッカー塗料の薄め液を使用すること(←大事!)。ツールクリーナーやエアブラシクリーナーはプラを溶かしてしまうので使用できない。できれば事前にパッチテストをすることをお勧めする。今回はタミヤラッカー塗料用薄め液を使用している

▲ラッカー薄め液ではみ出ているサーフェイサーを拭き取る。隙間に流しこんだ部分が溶けて取れてしまったら再度サーフェイサーを塗り込んでやればOK

▲胴体両側の空気取り入れ口のリップパーツも隙間と段差が生じるので、同じくサーフェイサーで修正していく

▲同様に主翼に取リつける垂直尾翼の付け根も隙間と段差が生じるので、サーフェイサーで修正

▲劇中仕様の機体には。離陸時プロペラが地面に接触するのを防ぐ垂直尾翼の補助輪が付いていいないで。忘れずにカットしておく

 

【次ページ】パテにもいろいろありまして

この記事のタイトルとURLをコピーする