パーツはバラバラだがディテールがスゴいインテリアを製作【達人のプラモ術<米海軍PACV後期型>】

■操舵手席の製作

艇内のフロアとバルクヘッド(隔壁)は、下地を黒サーフェイサーで塗装した後、Mrカラーのダークシーグレーで塗装しました。塗装指示はないのですが、バルクヘッドの消火器×2は赤で塗装しています。また配電盤部分は黒で塗装したのですが、後部のベンチシートを取り付けたら見えなくなってしまいました。

各シートはほとんど点着けなので、後から外れないようにしっかりと接着固定します。

操舵手席とレーダ手席には、それぞれ組み上げた計器盤とレーダースコープを取り付けます。こちらもデカールでメーターやスイッチ類が再現されており、リアルな仕上がりになります。

▲艇内のフロア、組み上げたシートは、黒サーフェイサーで下地塗装。その後ミディアムグレーで塗装している

▲レーダースコープ

▲こちらは計器盤。レーダースコープと同様に細かい分割となっているが、パーツの精度高いのでカチッと組み上がる

▲隔壁に取り付けた操舵手席の計器盤。メーター類がデカールで再現されており、リアルに仕上がる。左側にはレーダースコープを支えるV型のステーを取り付けている

▲フロアパーツの前隔壁に計器盤とレーダースコープ取り付けた状態。レーダースコープは上下に可動するが、接着固定した方が良い。操舵手席とレーダー手席の背面にある複雑なアブソーバーパーツにも注目

▲後部隔壁と弾薬箱を取り付けた状態。艇内は色味が少ないので、赤く塗った消火器が良いワンポイントとなる。壁面下の配電盤は黒で塗装したのだが、シートを取り着けたら見えなくなってしまった

▲シートの配置が完了。まだシートベルトは取り付けていない

▲完成したフロアとシート類。シートベルトはまだ未塗装状態

▲シートべルトを塗装して艇内フロアが完成

▲左右の隔壁を塗装して取り付ける

▲PACVの艇内が完成。ここまでの製作には2日を要した

▲完成したフロアを艇体に仮組した状態

▲キャビンのルーフを取り付けてしまうとほとんど見えなくなってしまうが、ルーフを接着しなければ完成後も内部を見られる

 

■水陸両用艦艇ならではの一撃離脱が得意だったPACV

PACV(Patrol Air Cushion Vehicle)は、ぶっちゃけホバークラフトなんですが、前回も書いたように稼働率が悪いとか、エンジン音が大きく存在をすぐに察知される、撃たれ弱いといった弱点があり、ベトナム戦争では本格的な運用はされなかったとのことです。

とはいえ、メコン川の流域や支流、三角州といった河川哨戒艇がアクセスできない湿地の浅い水域においてその性能を発揮。何よりもそのスピード、機動性、搭載された火力による哨戒任務に加えて、捜索、破壊、他の水上艦艇の護衛、偵察、医療避難、重火器の輸送、歩兵の直接火力支援、アメリカの特殊部隊や南ベトナムレンジャーの作戦任務に使われたようです。

従来の艦艇が侵入できず、ヘリコプターでも着陸できないような場所でも侵入できるため、夜間の待ち伏せや襲撃に積極的に使用されました。エンジン音がうるさく存在がすぐに察知されてしまうのですが、水上から直接上陸攻撃が可能なACVは、夜間奇襲攻撃作戦で性能を発揮し、高速性能を活かした一撃離脱戦法で打撃を与え、敵の反撃受ける前に水上に離脱したそうです。

▲水上でしか活躍できなかったPBR(河川哨戒艇)と違い、夜間戦闘時に高速で水上からそのまま上陸、スピードを活かした敵拠点への一撃離脱攻撃がPACVの戦法だった

 

■意外にも古くからあるホバークラフトのプラモデル

今回ゲッコーモデルのPACVを作っていて「ホバークラフトって新鮮だなぁ」などと思っていたんですが、実はかなり古くからあったんですね、ホバークラフトのプラモデル。

メーカーはエアフィックス(イギリスの模型メーカー)で、1960年代に1/144スケールでB.H.C.S.R.N4ホバークラフトと1/72スケールでSR-1Nホバークラフトをキット可していました。

B.H.C.S.R.N4ホバークラフトは、1968年に英国とフランスにまたがるドーバー海峡で運行していた自動車搭載が可能な高速大型ホバークラフトです。SR.N1(Saunders-Roe Nautical 1)は、英国国立研究開発公社の後援を受けたサンダース・ロー社が1959年に製造した試作ホバークラフトです。イギリスはドーバー海峡でフランスと隔たっていることから、ホバークラフトの開発に力を入れていたんでしょうね。

模型店の棚でよく見かけたキットですが、達人的には残念ながらどちらも作ったことがありません。古いキットだけに現在は入手が難しいようです。

エアフイックス
「SR-N1 ホバークラフト(Vintage Classics)」(2700円~)
スケール:1/72

エアフィックス
「B.H.C.S.R.N4ホバークラフト」(2800円~)
スケール:1/144

 

■次回は艇体の完成を目指します!

と言うワケで今回はここまで、次回は艇体の完成を目指しつつ、やっぱり欲しいフィギュアを紹介していきます。お楽しみに。

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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