収納サイズにもこだわりアリ!人気コンパクト焚き火台「ピコグリル」開発秘話

■軽量コンパクトながらも十分な耐久性の秘訣はバネ用ステンレス鋼にあり

また、強度もピコグリル開発のこだわりポイント。

▲太めの薪を2、3本入れても難なく使える。しかも、わざわざ薪を割らなくてもいい

太い薪を載せても問題なく、熱を入れても変形に耐えられる、そして何より長いこと使える。小型・軽量でありつつも十分な耐久性を持たせるため、とにかく素材を探しては試す日々だったそう。

試行錯誤を繰り返す中で目をつけたのがバネ用ステンレス鋼。錆びによる腐食に強く、取り扱いやすく、強度も高いのが特徴です。

▲火床の底の熾火っていい。夜、灯りを落として熾火のゆらめきを眺める時間のなんと贅沢なことか。

とはいえ、さすがにハードに使いこなせば故障もします。そんな時でも安心のアフターケアもばっちり。正規販売店のPikari Outdoor-shopでは火床やフレームを単体パーツとして販売しているので、より長く愛着を持って使い続けられるようになっています。

「火床やフレームなど交換可能なパーツやアイテムであれば、弊社で販売しています。スイスが本国なのでなかなか難しい部分もありますが、STC社も『長く愛用してほしい』と協力してくれていて、パーツがない場合でも可能な限り対応できる体制を取っています」(Pikari Outdoor-shop 光山さん)

キャンプ仲間で愛用者のAも「ガシガシ水洗いをしたり使いすぎで火床に穴や亀裂が入ってしまいましたが、フレームは変わらず使えるので買い替えはもったいない。公式のパーツ販売で火床だけ買えるため、パーツ交換しながら使い続けられるのが本当にありがたいです」と話していました。

 

■環境保護への強い意志

小さくて軽い、収納サイズも小さい。しかも強度も十分。これ、実は環境への配慮も意図したデザインなのだそう。

「小さければその分必要な材料も少なくて済みます。材料が少なければ、材料を作るためのエネルギーも減る。収納サイズを小さくできれば、輸送も省エネ。ひとつの道具を長く使うことができれば、もちろんその方が環境負荷は低くて済みますから、長期間の使用に耐えられるギアでありたかったのです。だからこそ、使用している素材はオールステンレス。すべてステンレスなのでリサイクルも非常に簡単です。これはピコグリル398に限らず、STC社のすべての商品で共通しています」(STC社 ブルーノ氏)

▲焚き火後の火床裏面。このテンパーカラーが“自分専用”感があり、たまらない

使用する際は「火床が薄く重心も低いので、厚めの耐熱シートを使うのがおすすめ。実際に少し苔を焦がしてしまったので。もしカーボンフェルトを使うなら、フェルトにたまに水をかけてあげると良かったですね」(キャンプ仲間 A)とのこと。低めの焚き火台は芝生を焦がしてしまうこともあるので、神経質になりすぎる必要はありませんが、地面への遮熱対策を考えながら使うとより良いでしょう。

 

■実はピコグリル498、760は日本発祥だった!?

遠くスイスのブランドですが、実は日本のキャンパーたちの声がピコグリルの開発に大きく関わっているんだとか。

▲日本のファミキャン、グルキャン需要を受けて開発された760。みんなで火を眺めるも良し、それぞれ料理を作るも良しの抜群のサイズ感

「2012年の取り扱い開始以降、最低でも週に一回は販売状況や日本市場の様子をSTC社に共有しています。より良い商品開発に活かしてほしいというのがその狙いでした。実際、ピコグリル498やピコグリル760は日本のニーズを汲み取った商品です。『焚き火調理をもっと本格的に楽しみたい』というソロキャンパーの声が498に、『大人数でのキャンプでも使えるサイズ感がほしい』というファミリーやグループキャンパーの声が760を開発する原点になりました。」(Pikari Outdoor-shop 光山さん)

本国スイスではハイキングシーンでの使用が多く、収納性や調理に特化した239が人気。

そんな中、日本のグルキャン文化やファミリー需要、焚き火調理を要望するピコグリルユーザーの声を吸い上げてSTC社に共有したことで、五徳位置を変更できる焚き火調理機能を強化した498や、ひと回り大型の複数人で焚き火を囲めるサイズ感の760の開発に繋がったというのです。

▲調理機能が強化されたピコグリル498。五徳の高さを変えられるので、火力調整が難しい焚き火調理も造作ない

ちなみにピコグリルはヨーロッパ諸国、アメリカ、その他の国々でも販売されているなかで、日本での愛用者が特に多いとのこと。日本のキャンプスタイルとスイスのそれにはどこか共通点があるのかもしれませんね。

*  *  *

発売当初は物珍しさもありましたが、それ以上に使い勝手の良さやアフターサービスの手厚さがここまで人気になった秘訣なのかもしれません。

商品に関係のない話といえばそれまでなんですが、完全な余談を少し。

きっとピコグリルを取り扱いたい会社はたくさんあっただろうに、これだけ人気になっても日本の正規販売店は2社のまま。

この理由をブルーノ氏に聞いてみたところ、「確かにさまざまなショップから取引のお話をいただいたこともあります。ですが、ピコグリルを世に出してから、日本市場に広めてくれたのが今の2社なんです。そんな彼らを守りたい」そう話してくれました。

他にも「取り扱い開始時から為替価格が2倍近くになっているけど、値上げを抑えるのにSTC社も一緒になって協力している」なんて話も聞きました。なんというかこう、職人気質というか人情というか、この取材をする中で、より一層ピコグリルを好きになりました。

>> ピコグリル

>> Pikari Outdoor-shop

 

>> [連載]The ORIGIN of the CAMP GEAR

<取材・文/山口健壱

山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)

 

 

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